人工乳房製作者「ブレスト・アーティスト」について

No.2 人工乳房製作者を養成で乳がんサバイバーの就労支援も!

林 かおり ブレストケア京都株式会社 代表取締役社長
(2018年03月)
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修了生が、すでに製作者として活躍

 「ブレスト・アーティスト養成スクール」を始めたのは、ブレストケア京都の創業から1ヶ月後の2014年10月のこと。製作者を育てるため、養成スクールを始めることは会社を起こす前から決めていたそうです。

 乳がんなどで胸を喪失した方が使用する「人工乳房」の製作者の養成を目的とするコース(Aコース)は第1部と第2部に分かれていて、第1部は1回5時間の講座が12回あり、製作工程について実習を交えながら学んでいきます。第2部は製作・渉外業務を含む約6ヶ月の育成カリキュラムとなっています。

 「どの部分の技術が難しいというよりは、1つ1つの工程が後の作業へと大きく影響をするため、すべての工程で、集中力を持続しなければならないところが、製作において一番大変なところでしょうか」(林さん)


ブレスト・アーティスト養成スクールの様子

 人工乳房の製作者は全国でも数少なく、技術を身につければ大変な強みとなります。もし製作者として技術のレベルが達しなくても、営業や商品開発、製作の補助として、ブレストケア京都で働くという道が拓けています。現在、4期生がスクールの第1部で学んでいて、1.2期生の中にはすでにブレスト・アーティストとして活躍している人がいます。

「受講者のうち乳がん経験者はだいたい半分くらい。乳がんを経験した人は病気への理解が深く、この仕事においては大きな強みになります。病気がきっかけでやむを得ず離職する場合も多いので、そうした人たちの就労支援や雇用創出につながればと考えています」(林さん)

『乳がん患者さんの支えになりたい』 受講生の想い、強く

 取材にうかがった日、第1部のカリキュラムをすでに修了した3期生と、ブレスト・アーティストとして活躍する2期生が工房にいて、話を聞かせてもらうことができました。

   2期生の神田さん(29歳)は2年前に乳がんを罹患、養成スクールに参加したのは1年半前のことでした。現在は治療を続けながらブレスト・アーティストとして働いています。

 「自分の胸を作りたいと思ったのがスクールに入ったきっかけでした。当時は辛い気持ちでいることも多かったのですが、自分の人工乳房を製作したら、不思議と前向きな気持ちになれたんです」

 「良いものを作りたい気持ちで、今は無我夢中。こうして作っている最中にはお客様の顔が浮かんできます。先日納品した時もお客様の喜ぶ顔が見られて、心からうれしかったですね」

 神田さんのやりがいに満ちた優しい笑顔が、とても印象的でした。


粘土成形の作業をする神田さん
様々な角度から形やバランスを確認しながら、ていねいに作業を進める

 3期生の加納さん(20歳)は造形系の専門学校を出て、すぐに養成スクールに参加。これまで学んできたことをすぐに仕事に活かしたいという希望に加え、お祖母様が乳がんだったことも影響していると言います。

 「とても難しいですが、楽しく学んでいます。ブレスト・アーティストは乳がんの人の役にたてる、大変やりがいのある仕事だと思います」と話してくれました。


加納さんほか3期生は
持ち歩ける小さいサイズの人工乳房を製作

 「昨日会社を辞めてきました」と話してくれたのは3期生の榊原さん(55歳)。保険会社の窓口担当だった榊原さんは仕事柄、乳がんの人に会うことが多く、人工乳房のスクールに興味を持ったのだそうです。

 「今後は技術を学びながら、ブレストケア京都で働くことになりました。会社を辞めるのは勇気が入りましたが、みんな『いいね』と笑顔で送り出してくれたんです。私の55歳での転身を『うらやましい』と言ってくれる人も多かったですね」

 また「ブレスト・アーティスト養成スクール」には自分自身の乳房パッドや人工乳房を製作するコース(Bコース)もあります。

 「自分の手で失った乳房を再生させることと、仲間との出会いで、みなさん気持ちが整うことが多いようです」(林さん)

 2017年度の「人工乳房製作者の養成スクール(Aコース)」の開催は現在未定ですが、詳細情報について希望の方はWEBサイトの問合せフォーム より連絡を。

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