乳がんとともに生きる人を理解する

No.3 治療前に医師に聞いておきたいこととセカンドオピニオン

青木 美保 帝京大学医学部附属病院 帝京がんセンター 認定遺伝カウンセラー
(2016年07月)
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 治療を決めるときに、医師に何を聞けばよいのでしょう

 治療方針を決める前に、最初に何をすればいいでしょう

 同じ乳がんであっても、がんの病状や治療方針はひとりひとり異なります。治療に対する医師の考えや勧めも聞いて、治療選択肢、治療の目的、メリット、デメリット、治療期間、費用などについて医師と話し合い、十分納得したうえで治療方針を決めましょう。

 治療を決める前に、自分自身の事情や希望、人生における価値観を明らかにして、医師に伝えておきましょう。そうすれば、医師はあなたに合った最善の手術や治療選択肢を提案しやすくなります。また、あなた自身もより納得のいく治療を受けることができるようになります。

 たとえば、「自分は何を一番優先したいのか、一番大切なことは何か、今後どういう生活を送りたいか、仕事はどうしたいのか、乳房は残したいかなどを、事前にしっかり考えて、希望を医師に伝えるのです。また、乳房再建を考えているならば、手術前にそのことを主治医に伝えましょう。再建も含めて乳がんの術式を検討したほうが、より満足した結果が得られるでしょう。

 医師への質問をリストアップしましょう

 外来の最中に、医師への質問を考えるだけの時間的・精神的な余裕はおそらくないでしょう。ですので、限られた時間をできるだけ有効に使うためにも、事前に医師に尋ねたい質問を紙に書いて持参することをお勧めします。医師の前では誰でも多少は緊張するものです。質問リストを見ながらなら、医師の前でも落ち着いて質問できるでしょう。どうしても緊張するなら、質問リストごと医師に渡して、答えてもらってもいいでしょう。

 通常の外来時間内で終わりそうにない説明などを求めるときは、お互いに余裕をもって話ができるように、別に時間を取ってもらえないかお願いしてみましょう。

 医師への質問

一般的に治療前に医師に聞いておきたいことを、下記にリストアップしてみました。

■わたしのがんの病状(大きさ、広がり、悪性度など)を教えてください

■先生はどのような治療内容を考えていますか、その根拠を教えてください

■その治療のメリット(がんの縮小・消失効果、再発防止効果など)は何ですか

■その治療のデメリット(副作用など)は何ですか

■先生は、その治療の経験がどの程度ありますか

■これまで同じ治療を受けた患者さんの治療効果は、どの程度ですか(がんの縮小やがんの消失を認めた人の割合など)

■その治療は、どのくらいの期間続ける必要がありますか

■その治療には入院が必要ですか、費用はどのくらいですか

■ その治療は日常生活や仕事にはどのような影響がありますか

■ほかにはどのような治療選択肢がありますか。それぞれのメリット、デメリットは何ですか

■治療は遅くともいつまでに決めることが望ましいですか

■自分の事情や希望(副作用の強い治療は避けたい、再発の可能性を低くしたい、胸を失いたくない、仕事は続けたいなど)に合った治療はどれですか

 妊娠や出産などの配慮のいる質問

 すぐに結婚しようと考えている人や、子どもがほしいと思っている人にとっては、乳がんという診断や治療は大きな問題になります。妊娠や出産に関する希望を主治医に伝えて、率直に相談してみましょう。治療によっては、妊娠能力に影響するものもあります。

 医師との話し合いではメモをとりましょう

 医師の説明内容をすべて理解して、覚えておくことは、誰にとっても難しいことです。 そのときはわかったつもりでも、十分に理解できていないこともあるでしょう。医師が質問に答えてくれた大事なことは、メモしておきましょう。そうすれば、いつでも見返すことができますし、あとで分からないことがあれば、再び医師に質問する、または自分で調べることもできます。また、医師の説明を録音したいときは、事前に了解を得ておきましょう。

 わからない専門用語は聞き返しても問題ありません

 がんの治療には高い専門性が必要ですので、医師はつい専門用語を使うこともあるでしょう。その専門用語がわからなければ、遠慮しないで、その場で医師に聞き返しても問題ありません。また、わからない専門用語は、医師に紙に書いてもらいましょう。そうすれば、あとで自分で調べることもできます。

 医療記録のコピーをもらおう

 自分の病状をより理解できるように、検査や診断などの医療記録のコピーをもらっておくことをお勧めします。このような医療記録は、本来患者さんが知っておくべき情報が多いにもかかわらず、専門用語や英語で書かれていることが多く、一般の方には本当にわかりにくくなっています。それは、これらの医療記録が患者さんに手元に行くことを想定して書かれていないからです。患者さんも医療チームの一員であるならば、医療記録は一般の方にもわかりやすい表現に変えていくべきでしょう。



  セカンドオピニオンを検討すべきでしょうか

 セカンドオピニオンとは?

 最善の診断、治療、検査を受けるために、ほかの医師の意見を聞くことを、「セカンドオピニオン」といいます。今ではセカンドオピニオンは決して特別なことではありません。自分の命を左右するかもしれない診断や治療に少しでも多くの情報を得たいと思うことは、患者さんにとっては当然のことで、医療者はその気持ちを尊重すべきでしょう。セカンドオピニオンをする医師にとっては大変な仕事ですが、それによって見落としを減らし、より良い診断や治療に役立てることができます。セカンドオピニオンにより、患者さんが主治医の治療方針に納得できれば、安心して治療に臨むことができます。結果的に、主治医との信頼関係を築くことにもなるでしょう。

 セカンドオピニオンを誰に聞くか

 医療の進歩するにしたがって、さまざまな治療法が選べるようになっています。一方、医療の進歩とともに医師の専門性は細分化して、医師によって専門や経験がまったく異なるために、診断や治療に対する考え方も異なることや、診療レベルに差があることはよくあることです。そのため、セカンドオピニオンでは、どの病院に行くかよりも、どの医師に相談するかが重要になります。

 どんなときにセカンドオピニオンを検討するのですか

 セカンドオピニオンは、診断を確認したいとき、主治医が提示した以外の治療選択肢を知りたいとき、主治医から提示された複数の治療法のうちどれを選ぶべきか迷っているとき、治療法や使用できる薬の種類などを知りたいときなどがあります。

 セカンドオピニオンは、即主治医や病院を代えることではありません。しかし、自分が納得できる治療がほかの病院でしか受けられない場合は、転院になることもあります。最初から主治医や病院を代えたい場合は、セカンドオピニオンではなく、通常の受診手続きを踏むことになります。

 セカンドオピニオンの費用

 セカンドオピニオンには、主治医からの紹介状と、これまでに行った多くの画像検査や病理検査などの情報が必要になります。セカンドオピニオンをする医師はそれらの多くの検査結果を事前に読み直す必要がありますので、楽な仕事ではありません。そのため、病院にもよりますが、一般的には30分~1時間程度かかります。保険外診療になりますので、病院にもよりますが、1回約1~3万円程度の費用がかかります。

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