2020年02月12日

乳がんになっても入浴を楽しむための環境づくり 〜専用入浴着をつけて、温浴施設で入浴してみた〜

キーワード:ライフスタイル
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東京都豊島区にある「東京染井温泉Sakura」では、
専用入浴着のレンタルを行っている

 乳がんになり、乳房切除の手術を受けた女性たちにとって、入浴は大きな課題です。温泉旅館などの大浴場では、他の人の目が気になって旅をあきらめてしまうという人も少なくありません。

 ここ数年、全国的に広がりを見せている手術の傷あとをカバーする専用入浴着をはじめ、乳がんになっても入浴を楽しむための取り組みをご紹介します。

着けていることを忘れる使い心地 ほかの人の目も不思議と気にならない

 取材に先立ち、実際に専用入浴着を着けて入浴してみたいと思い、東京都豊島区にある「東京染井温泉Sakura」に行ってみました。

 受付で「入浴着を」と口にすると「使い方のご説明はいたしますか? こちらはリバーシブルとなっておりまして......」とやさしく、手際良く対応してくれました。


株式会社ブライトアイズが開発した専用入浴着「バスタイムカバー」
(温浴施設用のリバーシブルタイプ)

 現在、専用入浴着はいろいろな会社で製造・販売されていますが、こちらでは、衛生面において国から認められた株式会社ブライトアイズの「バスタイムカバー」を330円でレンタルできます。

 脱衣所で着用してみると、まずその軽さに驚きました。ふんわりとしたシルエットなので、傷への圧迫感はありません。そして洗い場で体や髪を洗っても、水やお湯でさっと流すだけで泡が付着することもなく、濡れても重くなることもないので、次第に着けていることを忘れていました。

 湯船に使っている時は、周りの人からいつもよりも多く見られていましたが、まったく気になりませんでした。私は約20年前に乳がんで右胸の部分切除術を受け、変形が残っていますが、自分としてはすっかり受け入れているつもりでいました。

 それでも入浴着で隠れているというだけで、これだけ気持ちが楽になるのなら、傷あとが気になって入浴することをためらっている人にとってこの差は大きいはず、と感じました。

専用入浴着を歓迎する温浴施設を増やす取り組みを


認定NPO法人 J.POSH (日本乳がんピンクリボン運動)が配布する
専用入浴着での入浴を歓迎するポスター

 今回訪問した「東京染井温泉Sakura」は、正しい乳がん知識の普及、乳がん検査の啓発活動などを行っている認定NPO法人 J.POSH(日本乳がんピンクリボン運動)のWEBサイトに掲載されている「専用入浴着を着用して入浴できる日帰り温泉施設リスト」を参考にして行ってきました。

 J.POSHでは、2010年に乳がん手術経験者が傷あとを気にせず大浴場に入浴できるようにする取り組み「温泉ウェルカムネットワーク」を設立。2014年に「J.POSHピンクリボン温泉ネットワーク」に名称変更され、2019年3月現在、全国で111の宿泊施設が参加しています。

 参加している宿泊施設では、入浴着の使用許可やレンタルのほか、貸切風呂、露天風呂付き客室、大浴場の間仕切り、脱衣所の工夫といった配慮を導入しています。

 「心身をリフレッシュするのに温泉は最適です。病気は大変なことですが、前を向いて進むためにもどんどん温泉を楽しんでほしいと思っています。そのためにJ.POSHでは温浴施設のみなさんが専用入浴着を歓迎しようという運動をともに推進してきました。今後、もっと専用入浴着を歓迎する施設が増えるように努力していきます」 と答えてくれたのはJ.POSH理事の平田以津子さん。

 現段階ではすべての施設で専用入浴着が利用できるわけではありませんが、こうした活動をきっかけに、全国で増えてきています。

 傷あとが理由で、好きな温泉や旅をあきらめてしまっている人は、ぜひピンクリボン温泉ネットワークの参加施設や専用入浴着を歓迎する施設を利用してみてください。

ピンクリボン温泉ネットワーク(認定NPO法人 J.POSH WEBサイトより)
専用入浴着を着用して入浴できる日帰り温泉施設リスト (認定NPO法人 J.POSH WEBサイトより)
東京染井温泉Sakura
専用入浴着「バスタイムカバー」 株式会社ブライトアイズ

■取材・文/瀬田尚子
出版社勤務を経て、フリーランスのライター・編集者に。医療・健康分野を中心に雑誌、書籍、WEBメディアなどで取材・執筆を行う。
(日本医療・健康情報研究所)

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