2020年01月29日

ジャパンキャンサーフォーラム2019 講演「リンパ浮腫」より (2)~リンパ浮腫の予防と治療の最新情報~

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登壇した一般社団法人日本リンパ浮腫学会理事長で
貝塚病院・乳腺外科部長の北村薫先生

 2019年8月、国立がんセンター築地キャンパス研究棟にて開催された「ジャパンキャンサーフォーラム2019」(主催・運営:認定NPO法人キャンサーネットジャパン)。

 本フォーラムにてて行われた貝塚病院・乳腺外科部長・一般社団法人日本リンパ浮腫学会理事長の北村薫先生の講演「リンパ浮腫 〜リンパ浮腫学におけるエビデンスと実臨床のギャップ」(共催・一般社団法人日本リンパ浮腫学会)をもとに、リンパ浮腫の予防と治療に関する最新情報を紹介します。

ガイドラインと実際の治療の間には、ギャップも

 2018年に発行された「リンパ浮腫診療ガイドライン 第3版」にも記載されていますが、肥満は上肢のリンパ浮腫の危険因子であり、体重管理指導はリンパ浮腫の治療に有効であることがほぼ確実です。

 さらに圧迫をした状態でのエクササイズ(負荷運動)は上肢リンパ浮腫の発症率を下げ、すでに発症した人でも、エクササイズにより症状がひどくなることはないという事実が最近明らかになり、こちらも同ガイドラインに記載されています。

 「体重管理」と「運動」は、このようにエビデンスがあるにも関わらず、実際の治療の現場ではまだあまり取り入れられていません。一方、エビデンスが無いにも関わらず、治療の現場で避けられている、または逆に積極的に行われていることがあります。

 例えば、血圧測定や採血は医療の現場で避けられてきたかと思いますが、これらによってリンパ浮腫が悪化するというエビデンスは存在しません。また飛行機に乗ることも悪化すると言われてきましたが、そういうデータはありません。

 セラピストが行う「用手的リンパドレナージ」については、上肢リンパ浮腫の予防においては、ガイドラインの推奨グレードはC1「科学的根拠がないので、勧められない」、治療においてはC2「行うことを考慮してもよいが、十分な科学的根拠がない」とされています。

 また「リンパ管静脈吻合術」「血管柄付きリンパ節移植術」「脂肪吸引術」といったリンパ浮腫に対する外科治療については質の高い研究がないため、すべて推奨グレードC2「行うことを考慮してもよいが、十分な科学的根拠がない」となっていて、まだ外科治療を積極的に勧められる状況ではありません。

【科学的根拠に基づいた、リンパ浮腫指導管理(予防)】
<優先順位 高>
◎感染リスクの回避...皮膚合併症の予防・治療、スキンケア
◎体重管理...肥満の予防、標準体重の維持
◎運動

<優先順位 低>
△シンプルリンパドレナージ(セルフケア)

【科学的根拠に基づいた、リンパ浮腫複合的治療】
<優先順位 高>
◎圧迫療法
◎圧迫下の運動
◎体重管理

<優先順位 中>
○用手的リンパドレナージ(セラピストが行う)
 ...圧迫との併用が原則、真に必要な症例を見極める必要あり

■取材・文/瀬田尚子
出版社勤務を経て、フリーランスのライター・編集者に。医療・健康分野を中心に雑誌、書籍、WEBメディアなどで取材・執筆を行う。
(日本医療・健康情報研究所)

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