2019年09月27日

大豆イソフラボンが乳がんサバイバーの骨粗鬆症を減少 乳がん治療が骨密度を低下

  • twitterでつぶやく
  • 乳がん治療と乳房再建の情報ファイル

 食事で大豆食品を多く摂ることが、閉経前の若い乳がんサバイバーの、骨粗鬆症性による骨折のリスクを低下させるという研究が発表された。

大豆の栄養の機能性が注目されている

 乳がんは、日本で女性に2番目に多く、米国でも女性に2番目に多いがんだ。女性の8人に1人が生涯に乳がんと診断される。

 一方、大豆は、良質のタンパク質を多く含む食品だが、それ以外の成分の機能性も注目されている。日本人は、大豆イソフラボンを含む豆腐、みそ、納豆といった食品をよく摂食している。今回の研究は、日本人にとっても興味深いものだ。

 乳がんの治療で、女性ホルモンであるエストロゲンを抑制することで、骨粗鬆症の発症リスクが高まるおそれがある。エストロゲンには骨を保護する役割もあるからだ。また、乳がんの治療の多くは、早発閉経を引き起こし、骨密度を低下させるおそれがある。

 これにより、乳がんサバイバーの骨粗鬆症による骨折の発生率は、同じ年齢層の女性に比べ高くなることが知られている。女性の骨折リスクを減少するための研究が多く行われている。

大豆が若い乳がんサバイバーの骨折リスクを77%低下

 イェール医科大学の研究チームは、BMI(体格指数)、運動習慣、および大豆食品の摂取が、乳がんサバイバーの骨折リスクにどう影響するかを研究している。このほど、20~75歳の間に新たに乳がんと診断された5,042人の乳がんサバイバーを対象に調査を行った。これらの女性の52%が閉経後だった。

 参加者を対象に、診断後の18ヵ月、3、5、10年目にフォローアップ検査を行った。10年間の研究期間を通じて、乳がんサバイバーの3.6%で骨粗鬆症による骨折が確認された。

 その結果、大豆の摂取量が多いと、若い女性の骨粗鬆症による骨折のリスクが77%低下し、さらに運動が加わると、高齢の女性の骨折のリスクが大幅に低下することが明らかになった。

大豆イソフラボンに更年期障害の改善や骨粗鬆症の予防の効果

 乳がん治療に使われる薬であるタモキシフェンの長期使用により、全体で骨折のリスクが37%減少したことも示された。乳がんのホルモン療法で使われる薬のうち、タモキシフェンは閉経前・閉経後に関わらず使用される薬。エストロゲン受容体へ結合することを妨げることで、乳がんの増殖を抑える。

 タモキシフェンは、「選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)」に分類される薬で、エストロゲン受容体に結びつき、エストロゲンの作用を妨げる(エストロゲンの拮抗薬として働く)だけでなく、エストロゲンの作用をまねる(エストロゲンの作用薬として働く)効果もある。

 一方、大豆イソフラボンは、大豆に多く含まれるフラボノイド。大豆イソフラボンには、更年期障害の改善や骨粗鬆症の予防効果があるとされる。エストロゲンに似た構造をしており、エストロゲン受容体と結合して女性ホルモンに似た弱い働きをする。

 エストロゲンが不足した状態で、大豆イソフラボンが補助的に働くことで、予防・改善の効果を得られると考えられている。イソフラボンが豊富に含まれる大豆食品は、天然のSERMだとも言える。

定期的に骨の状態を検査してもらうことが大切

 「閉経期は骨量減少のリスクが高い期間であることが知られています。乳がんを発症した若い女性の骨折リスクについてのデータは比較的少ないので、今回の研究は重要な貢献をすると思われます」と、イェール医科大学のエブリン シュウェイ氏は言う。

 「とくに大豆食品の摂取による保護効果に示した調査結果は、骨粗鬆症のリスクの高い女性に適切に介入する、新たな治療法の開発につながります」としている。

 なお、乳がんの治療は長期にわたるので、定期的に骨の状態を検査してもらうことも大切だ。

Soy foods linked to fewer fractures in younger breast cancer survivors(オックスフォード大学出版 2019年5月21日)
Soy Food Consumption, Exercise, and Body Mass Index and Osteoporotic Fracture Risk Among Breast Cancer Survivors: The Shanghai Breast Cancer Survival Study(JNCI Cancer Spectrum 2019年5月21日)
(日本医療・健康情報研究所)

関連ニュース・トピックス

ニュース・キーワード

ニュース・トピックス
イベント・セミナー情報
11月27日(水) 東京都
患者さん・一般の方向け
乳房再建を自分の言葉で話す会(NJH)
11月27日(水) 宮城県
患者さん・一般の方向け
仙台医療センター がんの痛み教室
11月28日(木) 東京都
患者さん・一般の方向け
徳洲会乳がん第21回勉強会「痛みのあれこれ」
11月28日(木) 広島県
患者さん・一般の方向け
呉医療センター・中国がんセンター 2019年度 乳がんサロン
11月29日(金) 東京都
患者さん・一般の方向け
四国がんセンター 憩いのサロン ~AYA世代のためのサロン(40歳代までの方)〜
オピニオン
働く女性と乳がん -がん治療と乳房再建のいま-
辻 直子(セルポートクリニック横浜医師、杏林大学形成外科非常勤講師 )
がんと就労~本人と職場を支える産業看護職のより良い支援とは~
錦戸 典子(東海大学大学院健康科学研究科)
病気になっても仕事を続けるための支援
荒木 葉子(荒木労働衛生コンサルタント事務所)
乳がんとともに生きる人を理解する
青木 美保(帝京大学医学部附属病院 帝京がんセンター 認定遺伝カウンセラー)
キチンと手術・ホンネで再建(KSHS)~乳がんぶっちゃけ話~
溝口 綾子(一般社団法人KSHS 代表 )
遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)のいまとこれから
中村 清吾(昭和大学医学部 外科学講座乳腺外科学部門教授、 昭和大学病院ブレストセンター長)
がん治療を楽にする口腔ケア
百合草 健圭志(静岡県立がんセンター 歯科口腔外科部長)
「がんと就労」広がる病院内での就労相談
近藤明美 (近藤社会保険労務士事務所)
がん治療と仕事の「両立支援」を考える~産業保健師の乳がん経験~
横山 淳子(パナソニック健康保険組合 保健師 )
トップページ 治療と乳房再建の基礎知識 乳がんと診断されたら 乳がんの治療について 乳房再建について 治療と仕事 医療費・制度 乳がん患者会 全国マップ ニュース・トピックス イベント・セミナー情報 オピニオン アンケート 調査・統計 このサイトについて お問い合わせ