2019年07月08日

知っておきたい「男性乳がん」 乳がん患者の約1%は男性

キーワード:基礎知識 治療 調査・統計
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検査・治療方法は女性の乳がんと同じ

 乳がんは女性だけの病気と思われがちですが、乳がん患者の1%未満は男性です。女性に比べて薄いですが男性にも乳腺はあり、そこに悪性腫瘍ができることがあります。

 厚生労働省が2019年1月に発表した「全国がん罹患者数」によると、2016年に新たに乳がんと診断された男性は674人(女性が9万4千848人)。年齢別で見ると60代以上が547人と多くを占めており、発症年齢は女性より5〜10歳高くなっています。

 現在、男性乳がんだけを対象とした検査・治療法はなく、女性の乳がんと同じ方法で行われています。

 乳腺外科を受診し、マンモグラフィー、超音波検査、MRI検査、生検などを実施、がんが発見されたら、ホルモンレセプター検査やHER2検査を行い、サブタイプを調べ、センチネルリンパ節生検、CT、骨シンチなどで転移の有無を確認したのち、病期と治療法が確定します。男性乳がんの病期は女性の乳がんと同じです。

 治療についても手術、放射線治療、薬物療法(ホルモン療法、抗HER2療法、化学療法[抗がん剤])と女性乳がんに準じた方法で行われています。

医療者も参加する男性乳がん患者の交流会で、悩みの共有を


「第5回男性乳がんの会 メンズBC」にて、
昭和大学病院乳腺外科・沢田晃暢准教授のレクチャー

 男性乳がん患者はその数の少なさから、同病の人になかなか会う機会がないのが現状です。厚生労働省発表の「全国がん罹患者数」を見ると、2016年に男性乳がんを発症した人が一番多いのは東京都で61人、一番少ないのは島根県の1人でした。

 47都道府県全てに男性乳がん患者はいるものの、1桁という県も多く、同じ男性乳がんの人に会うのは稀であることがうかがえます。

 さもすれば孤立しがちな男性乳がん患者を支援し、この病気への理解を広める活動として、認定NPO法人「キャンサーネットジャパン」は、2018年1月から男性乳がん患者の交流会「男性乳がんの会 メンズBC」(BCはBreast Cancerの略)を年4回を目標に開催しています。

 第5回メンズBCは、東京都品川区の昭和大学病院で行われ、男性乳がん患者10名と家族2名が参加しました。会の前半では、昭和大学病院の沢田晃暢准教授が男性乳がんに関する世界の研究事例などを紹介。

 「男性乳がんについての情報を得たいと前々から探していたので、こうした機会があることは大変ありがたいです」と参加者の方が笑顔で話してくれました。

 後半では、国立がん研究センター中央病院 乳腺・腫瘍内科の下村昭彦医師、隈病院の藤島成医師が加わり、参加者からの治療や副作用に関する質問、生活上の悩みに耳を傾けました。

 副作用で悩む患者さんに対し、腫瘍内科医である下村医師は
 「患者さんがその治療をしている目的にもよりますが、デメリットのない治療は無いので、担当医とよく話をすることが大事だと思います」 とアドバイス。

 「患者が他の病院でセカンドオピニオンを受けたら、担当医は嫌な気持ちになるのでは」という問いには、
 「患者さんはよくそうおっしゃるけれど、医師は気にしない」(沢田准教授)
 「むしろ納得してから治療を受けてほしいと考えている」(藤島医師)
と回答、なかなか聞くことができないドクターの本音にふれることができました。


参加者の話に耳を傾け、アドバイスをする
藤島医師(左)、沢田准教授(中央)、下村医師(右)

 開会前は少し緊張した雰囲気でしたが、帰りにはみなさん柔らかい表情になって楽しそうに話をしていた姿が印象的でした。

※第6回メンズBCは、ジャパンキャンサーフォーラム2019のプログラムの1つとして、8月17日(土)15:00〜16:30に国立がん研究センター築地キャンパス 研究棟にて開催されます。

ジャパンキャンサーフォーラム2019
認定NPO法人キャンサーネットジャパン 「男性乳がんの会 メンズBC」

■文/瀬田尚子
出版社勤務を経て、フリーランスのライター・編集者に。医療・健康分野を中心に雑誌、書籍、WEBメディアなどで取材・執筆を行う。
(日本医療・健康情報研究所)

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