2016年09月13日

第1回おさいふRing
がん患者の「お金の悩み」をサポート

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 がん患者の抱える「お金の悩み」をサポート!
 聖路加国際病院「おさいふRing」

 ますます長期化、高額化の傾向にあるがん治療において、多くの人が直面するのが「お金の問題」です。

 「いくらかかるのか」「いつまで続くのか」と将来に対して不安を抱いても、誰に、どこで相談したらいいのかわからない。

 そうした悩みを持つ人たちをサポートするために、2015年7月から聖路加国際病院で始まったのが「おさいふRing」です。第1回では、「おさいふRing」でファシリテーターを務めるファイナンシャルプランナーの黒田尚子さん、社会保険労務士でファイナンシャルプランナーの豊島絵理子さん、聖路加国際病院相談支援センターの看護師、橋本久美子さんに、「おさいふRing」という取り組みについてお話しをうかがいました。


(左から橋本久美子さん、黒田尚子さん、豊島絵理子さん)

 長期化、高額化するがん治療に、増していくお金の不安

 「おさいふRing」はファイナンシャルプランナー、社会保険労務士、看護師MSW(医療ソーシャルワーカー)をファシリテーターとして、聖路加国際病院内で行われる少人数のグループワークです。講義、グループでの話し合いを通じて、それぞれの抱えるがん治療とお金の問題をサポートする取り組みです。

 「がん治療が長期化、高額化する中、病院でお金の相談を受けることの意義」をライフワークとしているファイナンシャルプランナーの黒田さんの考えに、聖路加国際病院乳腺外科の山内英子ブレストセンター長が賛同。治療と仕事をサポートする活動「就労Ring」の派生という形で、2015年度から試験的に実施し、7月から本格的にスタートしました。  「病院という場で、医療従事者と連携して行っていますので、患者さんが病気や治療のことを説明しなくても、わかってもらえるというのは大きな利点かと思います。患者さんにとって、いちいち話すのは面倒だし、やっぱり苦痛ですから、それが無いだけでも安心して参加できるんです」(黒田さん)

  参加する方の動機は「医療費はなんとかなるが、住宅ローンや教育費、生活費が捻出できない」「ホルモン治療中だけど、なんとなく職場にいづらくなってきた」「貯金がどんどん少なくなっていくので、運用も含めて何かいい方法はないか」と様々ですが、今は経済的に追い詰められてはいなくても、このままだと数ヶ月先、数年先に困ることになるのではと漠然とした不安を抱えている人が多いといいます。

 また乳がんの場合、罹患年齢が比較的若いため、独身でご自身の収入で親御さんの生活を支えている場合も多く、病気のことを誰にも伝えられずに悩んでいる方もいるそうです。

 「おさいふRingのようなグループワークの大きなメリットはひとりで悩みを抱え込まなくなることです。心の中でモヤモヤと思っている悩みも口に出すと楽になれますし、他の人と共有しあえる良さもあります。参加者のみなさんもいろいろ工夫なさっていて、私たちも『なるほど』と思うことがあるんですよ」(黒田さん)

 自分の力で、お金の問題を解決できるように

 

 経済的な問題を解決しようとインターネットで調べてみても、様々な情報が氾濫していて、いったいどれが正しい情報なのか、自分にとって役立つのかを判断するのは難しいものです。そうした中、なんのしがらみのない中立的な立場の専門家に相談できるのは大きいと黒田さんは言います。

 おさいふRingでは、がんの経済的リスクに備える方法である公的制度や民間保険についてわかりやすく情報を提供した上で、参加者それぞれのケースについて話し合い、解決策を探っていきます。

 「たとえば民間保険で、最近は罹患者の方も入れる商品が増えていますが、『入ったほうがいいの?』と保険会社の人にたずねても、中立的なアドバイスというわけにはいきませんよね。また税金や社会保険といった公的制度の存在は知っていても、仕組みが複雑な上に、手続き先もそれぞれ異なることもあって、自分が使える制度なのかどうかがわからないんです。特に大手企業に勤めている人は、全部会社がやってくれるので給与明細すら見ないし、ほとんどの人が確定申告もしたことがない。でも、こうしたお金のことって知っているのと知らないのとでは大違いなんです」(黒田さん)

 「がんの治療は長いので、ひとつ問題を解決したとしても、また次々と違う問題が出てきます。でも、おさいふRingに参加した方は、いろいろ相談できる場所があるというということをわかっていますから、自分の力で解決できるようになるんです。」(豊島さん)

 おさいふRingへの参加をきっかけにファイナンシャルプランナーという仕事に興味を持ち、勉強をしている人もいるそうです。

 またそこまでいかなくても、参加者にとって自身のお財布事情を立ち止まって考えるいい機会になっていると橋本さん。

 「大人になってから『あなたのお財布、大丈夫?』って言われるのって、なかなかないですからね。お金のことをちゃんと考えるきっかけとして、困った時にちょっと立ち寄れる場として、おさいふRingを利用してくれたらと思います」(橋本さん)

次回のおさいふRingは、
2016年9月21、28日の18:30〜19:30(2回で1コース)。その後2016年11月、2017年3月に開催されます。(参加無料)

おさいふ Ring (聖路加国際病院 がんに関するご相談)

■取材・文/瀬田尚子
出版社勤務を経て、フリーランスのライター・編集者に。医療・健康分野を中心に雑誌、書籍、WEBメディアなどで取材・執筆を行う。
(日本医療・健康情報研究所)

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