がん治療と仕事の「両立支援」を考える~産業保健師の乳がん経験~

No.5 病気を受け入れる 乳腺外科受診 精査~結果説明

横山 淳子 パナソニック健康保険組合 保健師
(2019年10月)
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精密検査に訪れた病院での安心感

 精密検査のため病院に行くと、乳腺外科の待合室には、たくさんの方が座っていました。「こんなにたくさんの人が診察に来ているんだ。」とそれだけでびっくりしました。

 ご夫婦、親子連れの方も多かったように思います。中にはつらい治療を乗り越え、検査結果に喜んでいる方や結果を聞いて涙ぐんでいる方がいらっしゃいました。

 私の場合は、健診センターでの医師が主治医でしたので、緊張はするものの安心感がありました。とにかく主治医の言うとおり精密検査を受けることを優先させました。

 主治医も、私の仕事を考え、土曜日や半日、時間休で対応できるようにとスケジュールを配慮してくれました。

そんなに頑張らなくていいんだ

 主治医から精密検査の結果を聞き、やはり「がん」であると告げられました。そして最初に言われた言葉が「きちんと治療すれば根治できます。仕事を辞めないでください。」でした。

 この言葉を聞き、「今は、がんと就労の両立の時代なんだ。」と思いました。

 私の場合は、乳房を切除し同時に仮の乳房(エキスパンダー)を入れる乳房再建術と抗がん剤治療を勧められました。精査してみると、当初の診断と違い、根治ができることに安堵したのを覚えています。

 主治医から「がんは長い間かけて大きくなる。」と聞き、「今までの生き方ではうまくいかなかったのか。」ときょとんとしてしまいました。

 「そんなに頑張らなくていいんだ。自分のことをもっと考えて一からやり直そう。」と、少し肩の荷が下りたような気持ちになりました。

希望をくれた病院スタッフの言葉

 その後、執刀医からも説明を受け「根治できます。前向きにいきましょう。」と力強く言っていただきました。

 忙しい中を縫って家族への説明も丁寧にしてくださり、この先はどうなるかわからないけれど、先生やスタッフの方々の誠実さ、笑顔、必死に救おうとしてくださっている姿に、この病院で先生方を信じて治療を受けていこうと決意できました。あとは運命にまかせるしかないと思いました。

 患者の立場からするとあいまいな言葉は不安をあおりますが、「持てる力を最大限に発揮し、ここまでやります。」といった言い方は希望を与えるように感じました。

 また、病院を決める基準として、清潔さといった環境面、スタッフの態度、いきいきとした活力があるかなどから、居心地が良く、病院に行くのが楽しくなる、テンションが上がるといったことも重要かと思いました。

心強い職場の上司の存在

 職場では、治療方針が決まるまでは、上司(産業医)だけに詳細を話していましたが、上司の配慮で、病院受診を優先させていただきました。

 受診後は、毎回、上司に話を聞いてもらい、相談に乗ってもらうことで、より冷静に状況を受け止めることができました。特に、この時期は自分の気持ちが定まっていないことと、家族には心配をかけたくないという遠慮もあり、職場上司の存在はとても大きかったです。

 上司も私の病状含め今後の仕事内容に不安があったかと思いますが、病気を理解しようとしてくださり、今までと変わりなく仕事の相談をしてくださいました。

 私は、自分自身を認めてもらえ、頼りにしてもらえているように感じられ、これからの生活や治療に向け、前向きな気持ちになれました。上司にとても感謝しています。

乳腺外科受診 精査~結果説明 まとめ

<主治医から>
「仕事を辞めないでください」

<がん告知から得たこと>
・自分のことを考える生き方
・肩の荷が下りたような気持ち

<執刀医>
・「根治できます。前向きにいきましょう」
・忙しい中を縫っての家族への説明

<言葉の力>
・あいまいな言葉は不安をあおる
・「持てる力を最大限に発揮し、ここまでやります」といった言い方は、希望を与える

<主治医を決める基準>
・主治医やスタッフを信じられるか、命を預けようと思えるか
 「必死に。誠実に。笑顔。」があるか
・運命の流れにまかせる

<病院を決める基準>
・環境面、スタッフの態度・活力
・居心地のいい場所、病院に行くのが楽しい、テンションが上がる

<職場上司のサポート>
・受診のたびに相談し、冷静に状況を受け止めることができた
・理解しようとする姿勢、今までと変わりない態度に前向きな気持ちになれた

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