2021年09月27日

放射線療法を受けたら人工物での乳房再建はできないってホント?〜KSHS 第3回岩平ゼミ「乳房再建と放射線」から〜( 3 )

キーワード:乳房再建
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一般社団法人KSHSが主催する「岩平ゼミ」で講師を務める
ブレストサージャリークリニック院長の岩平佳子先生

 一般社団法人KSHS (キチンと手術・ホンネで再建の会)が主催する「人工物(シリコンインプラント)による乳房再建」がテーマの少人数セミナー「岩平ゼミ」。第3回は「乳房再建と放射線」について、講師を務めるブレストサージャリークリニック院長の岩平佳子先生が詳しく解説をしてくれました。

 放射線療法後の人工物による乳房再建では、皮膚の状態が大きく変化することから合併症が起こる可能性があります。この記事では、どのような合併症が起きるのか、そして乳房部分切除術(温存)をした人の人工物再建について紹介します。

 ★前回の記事は<コチラ>

放射線療法後の人工物による乳房再建で、起きる合併症

 エキスパンダーを入れている期間に起きる合併症として、以下の2つがあります。

1.皮膚が赤くなるなど、色調が変化する

 「1については、よく感染と間違えられるのですが、放射線照射された皮膚が伸ばされるという刺激を受けることによって、血の巡りを回復しようとした結果、起こります。エキスパンダーの水を少しだけ抜くことで血管への負担が減り、元の肌色に戻ります。もし色調の変化が起きた場合は、すぐ来院してもらい、注意深くチェックした上で対応していかなければなりません」(岩平先生)

2.皮膚が裂ける

 「放射線照射された皮膚は、血行不良、皮膚が薄くなっているという理由から皮膚が裂けてくることがあります。『縫えばいい』と思うかもしれませんが、弾性線維が硬くなった皮膚は、1箇所を閉じようとすると他の箇所に力がかかってしまい、裂けるリスクがあります。エキスパンダーの水をすべて抜いて、縫えそうだったら縫いますし、難しそうであれば傷が塞がるのを待って、またマッサージから始めます」(岩平先生)

 そして放射線療法を受けた場合は、再建後にもより注意が必要です。

 「再建後、数年たってから、突然皮膚が薄くなって裂けてしまう例もあるので、10年、15年と長期でフォローする必要があります。また放射線療法を受けると、被膜拘縮(インプラントの周りにできる被膜が厚く硬くなり、乳房の皮膚が縮んで変形する)が起きやすいこともわかっています」(岩平先生)

乳房部分切除術(温存)をした人の人工物再建

 乳房部分切除術(温存手術)の場合、もともとの乳房の大きさやがんの大きさや場所などによって術後の形状は異なりますが、乳房が変形する、乳輪乳頭の位置がずれるという可能性があります。

 また乳房部分切除術(温存)は、残された乳房内の再発を予防するために術後に放射線照射を行うため、整容性の悩みを抱えたまま、あきらめる人が少なくないのが現状です。果たして温存でも人工物再建はできるのでしょうか。

 「シリコンインプラントにはいろいろな形状、大きさがありますので温存にも対応することは可能です。小さな凹みであればエキスパンダーを入れずにいきなりシリコンインプラントを入れますが、凹みがある程度の大きさであれば、エキスパンダーを入れて皮膚を伸ばしてからインプラントに入れかえることになります。」

 「皮膚をつまむことができるのが大切で、つまむことができない硬い状態であれば保湿マッサージから始めるのは全摘の場合と同じです。放射線照射をしているのであれば、温存、全摘にかかわらず、毎日の保湿マッサージは一生続けていきましょう」(岩平先生)

 第4回岩平ゼミは、10月9日(土)に開催されます。テーマは「乳輪乳頭温存後の乳房再建」。乳輪乳頭を残して乳がん手術をしたけれど、位置がずれている、シワになっている、壊死してしまったなど、お悩みのある方が対象です。

一般社団法人KSHS[キチンと手術・ホンネで再建の会]
医療法人社団ブレストサージャリークリニック

■取材
・文/瀬田尚子
出版社勤務を経て、フリーランスのライター・編集者に。医療・健康分野を中心に雑誌、書籍、WEBメディアなどで取材・執筆を行う。

(日本医療・健康情報研究所)

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