2021年09月24日

放射線療法を受けたら人工物での乳房再建はできないってホント?〜KSHS 第3回岩平ゼミ「乳房再建と放射線」から〜( 2 )

キーワード:乳房再建
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一般社団法人KSHSが主催する「岩平ゼミ」第3回の様子

 一般社団法人KSHS (キチンと手術・ホンネで再建の会)が主催する「人工物(シリコンインプラント)による乳房再建」がテーマの少人数セミナー「岩平ゼミ」の第3回「乳房再建と放射線」が7月10日に催されました。講師を務めるのはブレストサージャリークリニック院長の岩平佳子先生です。

 「放射線療法を受けると人工物(シリコンインプラント)による乳房再建はできない」とよくいわれていますが、「決してできないことはない」と話す岩平先生。この記事では、放射線療法後の乳房再建において重要なこと、岩平先生が手術前に確認するポイントについてご紹介します。

 ★前回の記事は<コチラ>

皮膚が指でつまめる柔らかさを保つことで、合併症の可能性を減らす

 「放射線照射をしたけれど、人工物で乳房再建をしたい」という患者さんに対し、岩平先生が重要視しているのは、皮膚が指でつまめるのかどうかです。

 「照射後の肌は変化して元に戻ることはありませんが、皮膚が指でつまめるくらい柔らかい状態を保つことで、皮膚が裂けたりするといった合併症を減らすことはできます。そのために必要なのが皮膚ケア、つまり保湿マッサージです。汗と脂が出なくなったのなら外側から補給すればいい」

 「当院ではマルホ株式会社の『ヒルドイドソフト』というスクワラン入りの軟膏(処方箋医薬品)を勧めていますが、保湿剤になるなら、シンプルなボディオイルなど、何を使ってもかまいません。大事なのはマッサージをすることです」(岩平先生)

【保湿マッサージのコツ】

・マッサージは、朝夕1回ずつ、1~2分間行います(難しければ1日1回でも)
・保湿剤を全体塗ってから、皮膚をつまんだり、揺らしたりするように動かします
・マッサージを開始するタイミングは、放射線照射が終了してかゆみや赤みがとれた時点で
・放射線照射した肌は再建後も合併症の恐れがあるので保湿マッサージは一生続けましょう
・目指すのは皮膚が指でつまむことができる柔らかさ

 保湿マッサージは、放射線療法が終わって間もなく始めるのが理想ですが、照射後何年か経過してからでも大丈夫とのこと。

「半年間がんばってマッサージをすれば、乳房再建ができる皮膚の状態になる可能性が高いです」(岩平先生)

さわりもしないで『放射線照射しているから、人工物再建は無理』というのは絶対におかしい


プレストサージャリークリニック院長・岩平佳子先生

 岩平先生が放射線療法後の乳房再建において、患者さんに対し、手術前にチェックする項目は以下の通りです。

【手術前にチェックすること】

・放射線照射後のケア...照射後のケアはちゃんとしているか
・軟部組織(脂肪)の残り方:もともと痩せている、手術でたくさんとってしまった場合、被膜拘縮が起こりやすい
・放射線照射に対する皮膚の強さ
・健側の大きさ:エキスパンダーで皮膚を伸ばす際、小さい方が再建側への負担も少ない
・再建に対する想い、熱意:合併症が起こりえることを覚悟し、そうなった場合再建を断念する、もしくは自家組織再建(広背筋皮弁法)に移行するかを考えておく

 「繰り返しになりますが、放射線療法後の乳房再建において一番大切なのは皮膚がつまめるかどうかです。だからさわりもしないで『放射線照射しているから、人工物再建は無理』というのは絶対におかしいと思います」(岩平先生)

 続いては、放射線療法後の乳房再建で起こりえる合併症と、乳房部分切除術(温存)をした人の人工物再建について、具体的にご紹介します。


参加者のみなさん、体感会のモデルさんと一緒に。
前列中央は岩平佳子先生、前列右は一般社団法人KSHS代表理事の溝口綾子さん

一般社団法人KSHS[キチンと手術・ホンネで再建の会]

医療法人社団ブレストサージャリークリニック

■取材
・文/瀬田尚子
出版社勤務を経て、フリーランスのライター・編集者に。医療・健康分野を中心に雑誌、書籍、WEBメディアなどで取材・執筆を行う。

(日本医療・健康情報研究所)

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