2021年08月27日

放射線療法によって起こる皮膚の変化〜2021年8月開催E-BeCオンラインセミナー「放射線療法とスキンケア」( 1 )

キーワード:治療
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 NPO法人エンパワリング ブレストキャンサー(E-BeC) が毎月開催している「乳房再建手術Hand Book」シリーズのオンラインセミナー。

 2021年8月は、久留米大学放射線腫瘍センターの淡河恵津世教授による「放射線をあてた皮膚ってどうなるの? ―放射線照射後のスキンケアー」が開催されました。

 乳がん治療において、手術、薬物療法に並ぶ3大治療のひとつである放射線療法は、大きく効果が期待できる治療法です。乳房部分切除術(温存)後、乳房切除術(全摘)後で再発のリスクが高い場合、そして再発がんや遠隔転移の治療でも放射線療法は行われています。

 一方、放射線療法で放射線を照射した皮膚には様々な症状が現れます。この記事では淡河先生のお話の中から、放射線療法後の皮膚に現れる症状についてご紹介します。

放射線療法とは、どのような治療なのか?


安全に治療を行うため、照射の角度など治療計画を
コンピュータで三次元的に作成し(②)、治療装置に転送する(③)

 放射線療法は、患部に放射線をあてることでがん細胞のDNAに損傷を与え、死滅させることを目的にした治療です。体の外から放射線をあてる外部照射が一般的で、照射中に痛みはありません。体にしるしをつけるのは治療をする時の体の位置や傾きを一定にするためです。


 乳房部分切除術(温存)後はがんをとった乳房全体に、乳房切除術(全摘)後は全摘した胸壁と同じ側の鎖骨のリンパ節領域、そして必要があれば胸骨の裏側にある内胸リンパ節領域が放射線の照射範囲になります。

放射線療法が、皮膚に及ぼす影響と具体的な症状

 放射線照射はがん細胞のDNAを損傷するだけでなく、照射範囲の皮膚細胞のDNAに損傷を与えるなど様々な影響を及ぼします。こうした放射線照射による症状(有害事象)は、放射線療法開始から終了後3ヶ月以内に起きる「急性期」と放射線療法終了後数ヶ月以降から起きる「晩期」に分けて考えます。

 【急性期:放射線療法開始〜終了後3ヶ月】

 皮膚によく起こる有害事象は放射性皮膚炎です。

 「やけどとは違い、放射線は皮膚の深い部分に影響を及ぼすものなので、照射してからすぐではなく、照射後7〜10日後くらいに発症します。具体的には日焼けしたような状態で、赤みやカサカサ、かゆみ、ほてり、色素沈着といった症状が現れます」(淡河先生)


 この放射性皮膚炎は一過性の症状で、適切なケアにより症状を軽減できます。

 【晩期:放射線療法終了後数ヶ月〜】
 照射によって皮膚細胞のDNA損傷が起こり、以下のような症状が現れます。

 ①毛嚢(毛包)、皮脂腺、エクリン汗腺がダメージを受け、汗や皮脂が出なくなり、かなりドライスキンな状態になる


エクリン汗腺から出る汗には尿素や乳酸など保湿作用のある成分が含まれ、
皮膚を潤す役割が。また皮脂にも皮膚の水分を保持し乾燥から
皮膚を守る役割がある。

 ②血管内皮細胞(血管の内側を覆う薄い細胞)がダメージを受け、毛細血管が萎縮し、皮膚が薄くなる(皮膚の菲薄化)

 ③皮膚が硬く、もろくなる

 「晩期の有害事象は、出現すると治癒することは少ないのですが、適切なケアを続けていくことで、皮膚の状態を安定させることができます」(淡河先生)

 次回の記事では、急性期と晩期、それぞれの症状に合わせたケア方法をご紹介します。

NPO法人エンパワリング ブレストキャンサー(E-BeC)

■取材
・文/瀬田尚子
出版社勤務を経て、フリーランスのライター・編集者に。医療・健康分野を中心に雑誌、書籍、WEBメディアなどで取材・執筆を行う。

(日本医療・健康情報研究所)

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