NPO法人エンパワリング ブレストキャンサー(E-BeC) が毎月開催している「乳房再建手術Hand Book」シリーズのオンラインセミナー。
2021年8月は、久留米大学放射線腫瘍センターの淡河恵津世教授による「放射線をあてた皮膚ってどうなるの? ―放射線照射後のスキンケアー」が開催されました。
乳がん治療において、手術、薬物療法に並ぶ3大治療のひとつである放射線療法は、大きく効果が期待できる治療法です。乳房部分切除術(温存)後、乳房切除術(全摘)後で再発のリスクが高い場合、そして再発がんや遠隔転移の治療でも放射線療法は行われています。
一方、放射線療法で放射線を照射した皮膚には様々な症状が現れます。この記事では淡河先生のお話の中から、放射線療法後の皮膚に現れる症状についてご紹介します。
放射線療法とは、どのような治療なのか?
安全に治療を行うため、照射の角度など治療計画を
コンピュータで三次元的に作成し(②)、治療装置に転送する(③)
放射線療法は、患部に放射線をあてることでがん細胞のDNAに損傷を与え、死滅させることを目的にした治療です。体の外から放射線をあてる外部照射が一般的で、照射中に痛みはありません。体にしるしをつけるのは治療をする時の体の位置や傾きを一定にするためです。
乳房部分切除術(温存)後はがんをとった乳房全体に、乳房切除術(全摘)後は全摘した胸壁と同じ側の鎖骨のリンパ節領域、そして必要があれば胸骨の裏側にある内胸リンパ節領域が放射線の照射範囲になります。
放射線療法が、皮膚に及ぼす影響と具体的な症状
放射線照射はがん細胞のDNAを損傷するだけでなく、照射範囲の皮膚細胞のDNAに損傷を与えるなど様々な影響を及ぼします。こうした放射線照射による症状(有害事象)は、放射線療法開始から終了後3ヶ月以内に起きる「急性期」と放射線療法終了後数ヶ月以降から起きる「晩期」に分けて考えます。
次回の記事では、急性期と晩期、それぞれの症状に合わせたケア方法をご紹介します。
・NPO法人エンパワリング ブレストキャンサー(E-BeC)
■取材
・文/瀬田尚子
出版社勤務を経て、フリーランスのライター・編集者に。医療・健康分野を中心に雑誌、書籍、WEBメディアなどで取材・執筆を行う。
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