2021年04月23日

乳がん手術で失った乳頭・乳輪の再建〜E-BeCオンラインセミナーより〜( 2 )

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   セミナーの後半で、参加者からのたくさんの質問に答える
   東京医科大学病院形成外科の小宮貴子先生

 2021年4月3日に開催されたNPO法人E-BeCのオンラインセミナー「乳頭・乳輪再建~動画で学ぼう! あなたにあった再建方法~」。

 東京医科大学病院形成外科の小宮貴子先生がセミナー内で解説した「乳頭・乳輪の再建」の主なパターン5種類のうち、今記事では残りの3つについて、それぞれのメリットとデメリット、またどういう人にその方法が向いているかを紹介します。

【主な再建パターンは5種類】 1.乳頭:タトゥー+乳輪:タトゥー
2.乳頭:局所皮弁+乳輪:タトゥー
3.乳頭:移植+乳輪:タトゥー
4.乳頭:移植+乳輪:移植
5.乳頭:移植+乳輪:陰部皮膚移植

乳頭:移植+乳輪:タトゥー

 乳輪はタトゥー、乳頭は健側のものを半分切って移植するというパターンです。「リアルさ」「メンテナンスの手間」「体への負担や影響」の3つのバランスが良く、一番多くの患者さんに選ばれています。

 施術の流れとしては、まずタトゥーで乳輪を作り、1ヶ月後に乳頭の移植をします。乳頭の形は人それぞれなので、幅の広い場合は直角に、高さのある場合は先端を切り、切った後は縫って形を整えるので、見た目にも切ったことはほとんどわかりません。タトゥーは自費ですが移植手術は健康保険が適用されます。

 乳頭のサイズが小さい人の場合、授乳の際、赤ちゃんが吸いつきにくいという問題が出ることがあります。しかしある程度の大きさがあれば、健側の乳頭からしっかりと母乳は出るので、この方法ができるかどうか、まずは専門医に相談をしてください。

【メリット】
・再建側の乳頭がリアル

【デメリット】
・乳輪は、1〜2年ごとに再染色が必要
・人によっては健側の授乳に問題が出ることも

【向いている人】
・健側乳房の乳頭サイズが直径1cm以上

乳頭:移植 + 乳輪:移植

 乳頭も乳輪も健側から移植するパターンです。健側の乳輪は外側を輪っか状に、乳頭は半分切り取り、再建側に移植します。一度の日帰り手術で終わり、メンテナンスも少なくて済みます。

 健側の乳頭の傷はほとんどわかりませんが、乳輪の傷は少しわかります。費用については健康保険が適用され、授乳については3のパターンで記載した通り、乳頭のサイズが小さい人の場合は授乳に問題が生じる場合もあります。

【メリット】
・再建側の乳頭・乳輪がリアル
・一度の日帰り手術で完成
・少しのメンテナンスで済む

【デメリット】
・健側乳輪の傷
・人によっては健側の授乳に問題が出ることも

【向いている人】
・健側乳房の乳頭サイズが直径1cm以上
・健側乳房の乳輪サイズが直径1.5cm以上

5.乳頭:移植+乳輪:陰部皮膚移植

 乳頭は健側から、乳輪は鼠径部(足の付け根)や陰部の皮膚を移植するパターンです。健側の乳輪が小さい人に向いている移植方法です。4と同じく、一回の日帰り手術で終わり、メンテナンスも少なくて済みます。

 建側の乳輪に近い色の皮膚を移植するので、微妙に色が違う場合があります。費用については健康保険が適用され、授乳については3のパターンで記載した通り、乳頭のサイズが小さい人の場合は授乳に問題が生じる場合もあります。

【メリット】
・再建側の乳頭がリアル
・一度の日帰り手術で完成
・少しのメンテナンスで済む

【デメリット】
・健側と再建側の乳輪の色の差
・人によっては健側の授乳に問題が出ることも

【向いている人】
・健側乳房の乳頭サイズが直径1cm以上
・健側乳房の乳輪サイズが直径1.5cm以下

 講演の締めくくりにあたり、乳頭・乳輪の再建を行うには、健側と再建側の乳房の状態を総合して判断しなければいけないので、「どの方法がいいのか」を専門医と相談する必要があると小宮先生。

 「相談の際、『私はどうしたい』という要望を医師に伝えていただくほうが良いと思います。医学的にいい方法と違う方法を患者さんが希望されている場合は、どれだけ患者さんの意見を取り入れて再建できるかが、形成外科医の腕の見せ所、工夫のしどころだと思いますので、ぜひ専門医に相談をしてください」

 E-BeCでは、2021年5月9日(日)に富山大学附属病院の佐武利彦先生を講師に迎え、第9回E-BeCオンラインセミナー「乳房再建手術Hand Book」シリーズ「4S(Scarless・Softness・Symmetry・Safety)を目指した脂肪注入による乳房再建」を開催。

 脂肪注入による再建がどのような最終結果を目指しているのか、わかりやすくお話いただきます。

NPO法人エンパワリング ブレストキャンサー(E-BeC)

■取材
・文/瀬田尚子
出版社勤務を経て、フリーランスのライター・編集者に。医療・健康分野を中心に雑誌、書籍、WEBメディアなどで取材・執筆を行う。

(日本医療・健康情報研究所)

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