2021年04月23日

乳がん手術で失った乳頭・乳輪の再建〜E-BeCオンラインセミナーより〜( 1 )

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情報の少ない「乳頭・乳輪の再建」は、注目度の高いトピック

 乳がんの手術で乳頭・乳輪を切除しても、再建をすることができます。施術のタイミングは乳房再建でふくらみを作ってから約半年後、乳房の状態が落ち着いた頃です。一部を除き健康保険が適用となり、日帰り手術も可能です。しかし、どこの病院でも乳頭・乳輪の再建を行っているわけではなく、まだまだ情報が少ないのが現状です。

 「乳房再建手術」への正しい理解の普及と、患者さんのQOL向上をめざして活動するNPO法人エンパワリング ブレストキャンサー(E-BeC)では、2021年4月3日、東京医科大学病院形成外科の小宮貴子先生を講師に迎え、オンラインセミナー「乳頭・乳輪再建~動画で学ぼう! あなたにあった再建方法~」を開催しました。


  東京医科大学病院形成外科の小宮貴子先生

 「乳頭・乳輪の再建については、昨年8月にもセミナーで取り上げましたが、病院であまり説明されないことも多く、E-BeCのウェブサイトでもアクセスの多いトピックです。」と話すのは、E-BeC理事長の真水美佳さん。今回のセミナーにも国内外から多くの方が参加し、注目度の高さがうかがえます。

 前半では「乳頭・乳輪の再建」の主なパターン5種類について、動画も用いながら、小宮先生がわかりやすく解説。後半では参加者から寄せられた20以上の質問にも、ていねいに答えてくださいました。

5種類の再建パターン どんな人に向いている?

 セミナーで小宮先生が解説した「乳頭・乳輪の再建」の主なパターンついて、それぞれのメリットとデメリット、またどういう人に向いているかを紹介します。

【主な再建パターンは5種類】 1.乳頭:タトゥー+乳輪:タトゥー
2.乳頭:局所皮弁+乳輪:タトゥー
3.乳頭:移植+乳輪:タトゥー
4.乳頭:移植+乳輪:移植
5.乳頭:移植+乳輪:陰部皮膚移植

1.乳頭:タトゥー+乳輪:タトゥー

 医療用タトゥーで、立体的に見えるように乳頭と乳輪を皮膚に描くパターンです。医療用タトゥーとは、一般的な刺青とは違い顔料に金属が含まれていないため、MRI検査も問題なく受けることができます。一方、色素が徐々に薄くなるという特性があるため、1〜2年ごとの再染色が必要になります。またタトゥーは健康保険の適用はなく、自費となり、費用は施設によって異なります。

 このパターンの一番の利点は健側の乳房にメスを入れることなく、タトゥーのみなので、体への負担や影響が少なく済みます。そして処置が日帰り1回でも済む手軽さも大きな魅力です。また健側乳房にメスを入れないため、授乳を希望する人にも適した方法です。「乳頭・乳輪の再建でどうしようか迷ったら、この方法がいいかもしれません」(小宮先生)

【メリット】
・健側乳房や他の部位にメスを入れない
・体への負担や影響、リスクが少ない

【デメリット】
・立体的に描くが、実際は平坦である
・1~2年ごとに再染色が必要

【向いている人】
・手術はしたくない、もしくは術式に迷ってしまう人
・気軽に作りたい人
・授乳の予定がある人

2.乳頭:局所皮弁+乳輪:タトゥー

 乳輪は1と同じくタトゥーで、乳頭は局所皮弁で再建するパターンです。局所皮弁とは乳頭を作る部分の皮膚を切って立ち上げ、丸めて縫い合わせることで乳頭を形作る方法です。健側乳房にメスを入れないため、授乳を希望する人に適しています。

 まずタトゥーで乳輪を作り、1ヶ月後に局所皮弁の手術、さらにその1ヶ月後に作った乳頭をタトゥーで色付けするという流れです。タトゥーは自費ですが局所皮弁手術は健康保険が適用されます。

【メリット】
・健側乳房にメスを入れない

【デメリット】
・乳頭の高さが、時間の経過とともに低くなる
・タトゥーは1〜2年ごとに再染色が必要
・乳房の形が歪んでしまうため、大きい乳頭は作れない

【向いている人】
・健側乳房の乳頭サイズが直径1cm以下
・授乳の予定がある人

 3~5のパターンについては、次回、「乳がん手術で失った乳頭・乳輪の再建( 2 )」 にて紹介します。

NPO法人エンパワリング ブレストキャンサー(E-BeC)

■取材
・文/瀬田尚子
出版社勤務を経て、フリーランスのライター・編集者に。医療・健康分野を中心に雑誌、書籍、WEBメディアなどで取材・執筆を行う。

(日本医療・健康情報研究所)

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