2021年04月21日

10年経ったら、インプラントの入れ替えって必要?〜KSHS第2回岩平ゼミ〜( 2 )

キーワード:乳房再建
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ブレストサージャリークリニックで行われた第2回「岩平ゼミ」の様子

インプラント入れ替え時の選択肢

 前回の記事ではインプラントの入れ替えを検討する3つのポイントを紹介しましたが、いざ入れ替えようとなった場合、以下のように選択肢が2つあります。

<入れ替え時の選択肢>
■1.そのまま入れ替え
・再建時にエキスパンダーが正しい位置で、よくふくらんでいた
・一次一期再建のように、エキスパンダーを使っていない場合は、今より小さくていいのなら、そのまま入れ替え

■2.エキスパンダーからやり直す
・再建時にエキスパンダーが正しい位置で、よくふくらんでいなかった
・健側乳房の下垂が大きい
・放射線を照射していた、感染や炎症の経験がある場合

 「これから入れ替えようとするなら、再建時にエキスパンダーがどういう状態だったか、またどのように伸びていたかを振り返ることが重要です。」

 「私が施術した患者さんについては、最初の再建時のエキスパンダーが正しい位置でよく膨らんでいれば、ちょっとシリコンが破損していたり、被膜拘縮が進んでいたりした場合でも、被膜ごと取り除いてそのまま新しいシリコンに入れ替えています。ですが、エキスパンダーが正しい位置でよく膨らんでいなかった人、健側乳房が垂れている人、または感染や炎症が起きてインプラントが上方に行った状態で時間が経過している人は、もう一度エキスパンダーからやり直します。」

 「乳がん手術後、エキスパンダーを使わずにインプラントを入れる『一次一期再建』では、今より小さくていいならそのまま入れ替えます。ある程度の大きさが欲しいという人はエキスパンダーからやり直すことをお勧めします」(岩平先生)

一番大切なのは、「何が目的か」を考えること


参加者のみなさんの質問に答える岩平佳子先生

 学会はあくまでも「推奨する」だけなので、10年経過したら必ずインプラントを入れ替えなければならないということではない。経過年数を問わず、以下の「入れ替えを検討するポイント」に当てはまった場合、主治医もしくは専門医に相談するのがいいのではと、岩平先生。

【インプラントの入れ替えを検討するポイント】 1.インプラントの破損の指摘
2.健側乳房の下垂、縮小
3.被膜拘縮Ⅲ度以上

 「今日、クリニックに、再建して19年目の人が定期検診にいらっしゃいましたが、超音波で検査しても破損とかなく、他にも全く問題はありませんでした。ご本人も入れ替えるつもりはないし、私も入れ替えの必要はないとお伝えしました」(岩平先生)

 そして入れ替えるのであれば、一番大切なのは「何が目的か」を考えることだと岩平先生は言います。

 「きれいにしたいと思うのなら、合うものを入れるためにエキスパンダーを使わなければいけないかもしれません。またインプラントが回転することを考慮するなら、ラウンド型(おわん型)のインプラントを使うという選択肢もあります。アナトミカル型(しずく型)でなければ美しい乳房ができないわけではありませんが、どうしてもこだわりがある人はアナトミカル型を使えばいいです。」

 「そしてBIA-ALCL(ブレスト・インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫)が怖いからリスクを限りなく小さくしたいということであれば、まだ患者が出ていないスムースタイプのインプラントを選ぶのがいいと思います」(岩平先生)

 入れ替えるにしても、どのインプラントを選ぶか、それとも自家組織にするかなどさまざまな方法がありますが、目的やどうしても譲れない点をはっきりさせることで、より納得できる施術へとつながるのではないでしょうか。

 第3回岩平ゼミは7月10日(土)に開催。テーマは「乳房再建と放射線」です。放射線治療しているが人工物再建を希望している人、再建後に照射している人、これから照射予定の人などが対象です。

一般社団法人KSHS[キチンと手術・ホンネで再建の会]
医療法人社団ブレストサージャリークリニック

■取材
・文/瀬田尚子
出版社勤務を経て、フリーランスのライター・編集者に。医療・健康分野を中心に雑誌、書籍、WEBメディアなどで取材・執筆を行う。

(日本医療・健康情報研究所)

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