がんになった人とどう関わればいいのか? 「寄り添い方」のヒントが詰まったハンドブック
「がんになった友人や家族、仕事仲間にどう接したらいいのかわからない」という話をよく耳にします。「良かれと思ってやったことが相手を傷つけてしまった」、また反対に「関わり方がわからないから、なんとなく距離を置いた」という人も多いようです。
この簡単ではない悩みに対して、大きなヒントとなる冊子「がん罹患者にかかわる方必携 『寄り添い方』ハンドブック」(A5判 70ページ)が一般社団法人がんチャレンジャー(代表理事:花木裕介、所在地:千葉県柏市)より2020年5月、発刊されました。
2017年11月に、ステージ4の中咽頭がんと診断を受けた代表理事の花木さん。2018年9月に復職後、産業カウンセラーとしてのノウハウを活かし、出版・ブログ執筆による情報提供や無料メール相談を開始。2019年11月には「がんという病気に挑戦する方や、がんに罹患しながらも人生の挑戦を諦めない方を後押しするため、『人が人に寄り添う社会づくり』に貢献していく」というミッションを掲げた一般社団法人がんチャレンジャーを設立しました。
一般社団法人がんチャレンジャー、代表理事の花木裕介さん
花木さんがこれまで受けた相談で多かった「がん罹患者とどのように関わればいいのか分からない」「どんな言葉をかけたら喜んでもらえるのか知りたい」という声に応えるべく、花木さん自身の経験と、産業カウンセラーの観点を生かしたこのハンドブックの制作・普及を発案。クラウドファンディングで資金を募り、発刊に至りました。
SNSでつかえる、たった一言で思いが伝わる言葉
このハンドブックには、がんにかかった人がどのように関わってほしいのか、語りかけるような文章で綴られています。
内容を抜粋すると「良かれと思って何かを勧めることは、時に罹患者の希望を無視し、本人を追い込んでしまうこともある」「会って話がしたいと言われてもアドバイスが欲しいのではなく、ただ話を聞いて欲しいだけということが往々にある」
「『かわいそう』といった同情や、『わかるわかる』といった同調は、敏感な心の状態になっている罹患者にとっては気になるものなので、避けておいたほうが無難」
これらはいつものコミュニケーションにも通じるところがあり、がんにかかったことがない人でも自然に納得し、実践できるものだと感じました。

さらに、花木さんが治療前や復職後など、いくつかのターニングポイントで「たったひと言」にも関わらず救われた文章が、ハンドブック内で紹介されています。SNSでメッセージを伝える時に大変参考になるかと思います。
<治療前・治療中>
【職場編】
・ずっと待っているよ。
・一人じゃないよ。
・また一緒に仕事しよう!
・席を開けて待っているよ!
【知人・友人編】
・応援しているぞ!
・ブログ、読んでいます!
・治ったら美味しいものを食べに行こう。
・何かできることがあったら、いつでも声をかけて。
【親族編】
・一緒にがんばっていこう。
・遠くからずっと祈っています。
<復職後>
【職場編】
・おかえり!
・待ってたよ。
・信じてたよ。
・まだ無理はしすぎないでね。
【知人・友人編】
・完全回復したら飲みに行こう。
・焦らず、ゆっくりな。
【親族編】
・一つ一つ戻していけばいいから。
・何か困ったことがあったら、いつでも連絡しなさいね。
(「がん罹患者にかかわる方必携 『寄り添い方』ハンドブック」から一部を抜粋)
『寄り添い方』ハンドブックの無料配布を実施
一般社団法人がんチャレンジャーでは、ハンドブック完成を記念し、2020年5月25日(月)より、先着による完成品無料配布企画を実施。
主に管理職や人事・総務担当、産業保健スタッフ、医療従事者などがん罹患者にかかわる際のノウハウを浸透させる役割を担っている人を支援することを目的とし、対象は民間企業や医療機関など、がん罹患者にかかわる方が所属する組織となっています。また、身近にがん罹患者がいる個人の方には、PDFデータで同様の情報を提供しています。
■「がん罹患者にかかわる方必携 『寄り添い方』ハンドブック」(A5判 70ページ)無料配布
〇無料配布期間:2020年5月25日(月)より、先着につき、在庫が無くなり次第終了。
〇対象者: 民間企業や医療機関など、がん罹患者にかかわる方が所属する組織
〇申込方法:以下URLより組織名、担当者名、送付先住所および希望部数をお知らせください。
※個人様のPDFデータ希望の場合も以下よりお申し込みください。
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一般社団法人がんチャレンジャー
■取材・文/瀬田尚子
出版社勤務を経て、フリーランスのライター・編集者に。医療・健康分野を中心に雑誌、書籍、WEBメディアなどで取材・執筆を行う。