
アデランスは、乳がんに罹患したことのある全国の女性515人を対象に、「乳がんとアピアランスケアに関する意識調査」を実施した。治療と仕事を両立している女性が多い一方、外見のケア(アピアランスケア)についての悩みが多い現状が浮き彫りになった。
乳がんで辛かったのは「精神的な不安」 「外見の変化」も
近年、がん医療の進歩により、社会とのつながりを保ちながら治療を続けることができるようになり、外見のケア(アピアランスケア)の重要性がいっそう高まっている。 がんやがん治療により、脱毛や皮膚・肌の変化、手術痕など外見に変化が起こることがある。アデランスは、そうした外見の変化に悩む人のQOL(生活の質)向上を目的に、JIS規格に適合した医療用ウィッグの販売や、病院内へのヘアサロン出店などの取り組みを行っている。 10月は乳がんの早期発見・治療を促す「ピンクリボン月間」。乳がんへの意識が高まるこの時期に、乳がん経験者を対象にアピアランスケアに関する意識調査を実施した。 その結果、乳がんに罹患した際に辛かったこととして、「精神的な不安」を挙げた女性が64.9%ともっとも多いという結果になった。続いて「手術による乳房切除」(46.2%)、「経済的な負担」(35.0%)となっており、精神的な部分だけでなく、外見の変化や経済面でも、がん治療による負担が大きいことが示された。 また、もっとも辛かったことを1つだけ尋ねたころ、同様に「精神的な不安」(33.4%)挙げた女性がもっとも多かった。また、「手術による乳房切除」(21.9%)や「脱毛」(11.7%)といった外見の変化が、「経済的な負担」(7.8%)や「体の痛み」(7.6%)よりも上位に挙げられた。 さらに、乳房切除や脱毛、皮膚の変化、爪の変形・変色といった治療による"外見の変化"に関する回答をした人は合計で36.5%に上った。
治療と仕事を両立している女性が半数超
乳がんへの罹患後、仕事は継続したか尋ねたところ、「治療をしながら仕事を続けた」と回答した人が59.0%に上り、約6割の人はがん治療をしながら、仕事も続けており、治療と仕事を両立している女性が多いことが分かった。 一方で、「仕事は退職した」(20.1%)との回答も多く、治療と仕事の両立にはハードルがあることも窺える結果になった。 「治療をしながら仕事を続けた」と答えた女性に対し、治療と仕事を両立するうえで苦労をしたことを尋ねたところ、もっとも多かったのは「苦労したことはなかった」(36.5%)だった。受け入れる企業側の体制や、一緒に働く同僚の理解の高さが窺える。 一方、苦労を感じた人の中では「脱毛など外見の変化へのケア」(19.8%)と回答した人がもっとも多い結果になった。「上司や同僚に病気のことを伝えづらかった」(17.8%)、「通勤が大変だった」(15.2%)、「治療の副作用で業務に支障をきたしてしまった」(14.7%)も上位に挙げられた。
半数が外見の変化を経験 アピアランスケアで多いのは「ウィッグの着用」
乳がんに罹患した際、外見の変化があったか尋ねたところ、「あった」と回答した女性は48.3%で、約半数が何らかの外見の変化を経験している。 外見の変化でもっとも気になったところとして、半数以上が「脱毛」(53.0%)を挙げた。続いて、「手術による乳房切除」(23.3%)、「手術痕」(13.3%)との回答が多かった。 外見の変化が「あった」と答えた女性に、外見の変化へのケア(アピアランスケア)として行ったことを尋ねたところ、もっとも多かったのが「ウィッグの着用」(63.5%)という回答だった。続いて「医療用帽子の着用」(38.6%)、「メイク」(19.7%)、「ネイルのケア」(18.5%)が挙げられ、とくに脱毛へのケアを多くの女性が行っていたことが明らかになった。 ウィッグを着用することによる変化を尋ねたところ、約7割の女性が「外出できるようになった」(69.0%)と回答。「他人の目が気にならなくなった 」(33.5%)、「気持ちが明るくなった」(25.3%)との回答も多かった。
医療用ウィッグ「ラフラ」 病院内ヘアサロンも展開
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