2019年08月27日

第27回日本乳癌学会学術総会にて開催 患者セッション「医師への注文」

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 2019年7月11日〜13日に東京都新宿にて開催された日本乳癌学会学術総会の中で、患者主導のイベントとして、患者セッション「医師への注文 〜患者は治したい、治してほしいのです〜」が7月12日に行われました。

 日本乳癌学会学術総会は、基本的にはドクターをはじめ、医療関係者に向けた催しですが、こうした患者セッションのほか、患者さん向けプログラム、市民公開講座などが開かれ、乳がん治療の最新情報のほか、患者さんにとってためになる情報を得ることができます。


講演を行ったがん研有明病院 副院長 乳腺センター長の大野真司先生

 患者セッション「医師への注文」を主催したあけぼの会は、1978年に創立した乳がん患者会の草分け的存在です。

 第1部は講演会として、2人のドクターが登壇されました。一人目はがん研有明病院 副院長 乳腺センター長の大野真司先生です。講演のテーマは「世界の乳がん治療は今」。

 乳がんにおいてはサブタイプ分類に基づいた治療が行われていますが、「今後は遺伝子検査によって、不必要な抗がん剤治療は行わないなど、治療の個別はさらに進んでいく」(大野先生)など世界的な治療の流れのほか、トリプルネガティブ乳がんの人を対象とした新薬の話題など、最新の乳がん治療の情報について、一般の人にもわかりやすく解説していただきました。


講演を行うJCHO久留米総合病院院長の田中眞紀先生

 二人目に登壇されたのはJCHO久留米総合病院院長の田中眞紀先生です。講演テーマは「乳がん専門医が乳がんになって」。明るい語り口で、先生ご自身のプロフィール、乳がんが見つかったきっかけ、検査、治療の詳細、副作用のことなど、包み隠さず話してくださった田中先生。

 「病気にふりまわされない。病気は自分の生活の一部で、それがたまたま乳がんであっただけ。社会の役に立てるような仕事をしていきたい」という力強い結びの言葉がとても印象に残りました。


パネルディスカッションの司会はあけぼの会名誉会長のワット隆子さん

 第2部では、大野先生、田中先生と患者代表として司会のあけぼの会名誉会長・ワット隆子さんほか3名が参加し、パネルディスカッション「医師のひと言が患者を救う」が行われました。患者からの悩みや質問に、大野先生、田中先生が答えていきます。

 「再発が分かった時に、主治医は延命治療の話ばかりで、治そうとは言ってくれない」という悩みに対して、大野先生は「私の尊敬するポルトガルのドクターが『Incuable ,but treatable』とおっしゃっていたのですが、完治できなくても、治療はできる。患者さんに嘘はつけないけれど、希望を与えるのが医師の役目だと思っています」と語ると、会場からは「つらい治療をがんばれるような、元気づけてくださるような一言がほしかった」という声があがりました。

 また重篤な副作用を発症した方からは「治療を行う前の副作用の説明がなかった」という話がありましたが「新薬の副作用については、医者も把握しきれてはいないということを、患者さんにも知っておいてほしい。それから『説明してくれない』と後から言うのではなく、患者さんからも、もっと話し合いを持つようにしてほしい」と大野先生。

 パネルディスカッションの最後には、田中先生から「患者さんを元気にする、その人生を全うしてもらうために治療があるんです」と力強い言葉が。

 重く厳しい悩みや質問が多かったにもかかわらず、大野先生、田中先生、そして名誉会長のワット隆子さんほか、パネラーのみなさまの人柄からか、明るく前向きなパネルディスカッションとなりました。


パネルディスカッションの様子

 第27回日本乳癌学会学術総会市民公開講座が9月15日、埼玉県のウェスタ川越にて開催。女優の生稲晃子さん、虎の門病院臨床腫瘍科の高野利実先生の講演が行われます。

第27回日本乳癌学会学術総会市民公開講座

 10月5日には、あけぼの会全国大会in名古屋「医師への注文、患者への注文~乳がんを最大限、治すには何が大事か~」が名古屋市公会堂にて開催されます。

あけぼの会全国大会in名古屋「医師への注文、患者への注文~乳がんを最大限、治すには何が大事か~」

 問い合わせ先はあけぼの会事務局 福岡県福岡市博多区千代5-1-4-620
 Tel/Fax 092-651-1751(月・火・木10:00~16:00)

■取材・文/瀬田尚子
出版社勤務を経て、フリーランスのライター・編集者に。医療・健康分野を中心に雑誌、書籍、WEBメディアなどで取材・執筆を行う。
(日本医療・健康情報研究所)

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