
田中美樹さん(右)と浜野直也さん(左)
―――――1974年、日本ではじめてがん保険を販売したアフラックは、社会に対しがんに関する啓発活動を積極的に行うとともに、社内におけるがん治療と就労の両立支援について、力を入れています。
数ある取り組みの中でも、2017年12月に発足した、がんを経験した社員によるコミュニティ「All Ribbons」の活動は画期的といえるでしょう。アフラック人事部の田中美樹さん、浜野直也さんに「All Ribbons」の活動の中心となる「ピアサポート」について、具体的な内容をうかがいました。
がん治療と就労の両立体験談は、生きた教材
「All Ribbons」では、がんを経験した仲間としてピアサポート(※)を行っています。(※)症状や悩みなどについて同じような立場にある仲間=英語「peer」(ピア)=が、自分の体験や行動、考えなどを披露し、互いに語り合い、支え合うことで回復を目指す取り組みのこと
まずご紹介したいのは、メンバー自身の治療と就労の両立体験談の公開です。社内イントラネットにがん種・年代・性別のみが表記された匿名で掲載されていて、社員なら誰でも読むことができます。
「仕事で苦労したこと」「工夫したこと」「職場での伝え方」など、両立する上で大切なことについて書いてもらっています。メンバー本人のありのままの想いを自身の言葉で寄せてもらっており、リリース後は両立しながら頑張っているメンバーの想いを知った社員から、大きな反響がありました。
一般的な話ではなく、アフラックで働く仲間の事例ということが貴重であると感じています。がんに罹患した本人、もしがんになったらと不安に感じている人、さらに上司・同僚の立場としてどう対応したらいいのか。あらゆる社員にとって、この体験談は活きた教材となっています。
働き方やキャリアについて、匿名で相談できる
がんに罹患した社員からの働き方やキャリアに関する相談に「All Ribbons」のメンバーが対応する窓口も設置しています。相談者がイントラネット上にあるポータルサイトからメールで相談内容を送ると、健康管理室の産業医が仲介し、「All Ribbons」に回答依頼を送ることで、匿名での相談も可能としています。「All Ribbons」からの返信に対しても、健康相談室が仲介し、戻します。
また、相談者は両立体験談を読み、相談にのってほしい「All Ribbons」メンバーを選ぶこともできます。
がんと診断されると「仕事をやめなきゃいけない」と思って早期に退職をしてしまう「びっくり退職」が起こるケースも多いといわれていますが、「All Ribbons」による相談窓口を社員に周知することで、がんに罹患した社員の悩みを一緒に解決する手助けができると考えています。
→3へ続く
出版社勤務を経て、フリーランスのライター・編集者に。医療・健康分野を中心に雑誌、書籍、WEBメディアなどで取材・執筆を行う。
関連ニュース・トピックス
- コロナ禍の影響は患者の経済環境にも! (一社)ピアリング「第2回新型コロナウィルス感染症(COVID-19)感染拡大によるがん患者さんへの影響緊急実態調査」アンケート結果を公開
- お寺で、がんカフェ。 宗教を問わず、不安や悩みを抱える人たちの居場所として
- 乳がんとコロナ 気になる疑問に医療者が答える オンライン市民公開講座「コロナ禍における乳がん診療」⑵
- 通院や治療に対する不安を軽く オンライン市民公開講座「コロナ禍における乳がん診療」⑴
- 「低脂肪食」が女性の健康に大きく貢献 がんや糖尿病、心臓病のリスクが減少
- 生活を朝型にする乳がんリスクを減少できる 睡眠障害はホルモン分泌に影響
- 乳がんになっても入浴を楽しむための環境づくり 〜国が認めた専用入浴着「バスタイムカバー」の生みの親 乳がんサバイバー・加藤ひとみさん〜
- がんになった人とどう関わればいいのか? 「寄り添い方」のヒントが詰まったハンドブック
- ウォーキングなど運動習慣のある人はがんのリスクが低い 大腸がんは14%低下 乳がんは10%低下
- 【若年性乳がんサポートコミュニティ Pink Ring®に聞く】⑵~オンラインイベントの成功に必要なこと~