歌舞伎の世界も『普段が大事』
体操の後は、特別企画として芝居の魅力を講演する橋吾さん
「歌舞伎体操教室」では、最初に45分ほど体操をした後、特別企画として芝居の話を30分ほど橋吾さんからうかがいます。この日のテーマは「義太夫狂言に迫る!」。ちょうど橋吾さんが出演中の「通し狂言 平家女護島」にちなんで、義太夫狂言の楽しみ方、演じる側としてのおもしろさ、難しさなど、役者ならではの視点が含まれた、大変興味深いお話でした。
「歌舞伎の世界に入り『普段が大事』、つまり普段の生活が芝居に出るということを学びました。これはみなさんにとっても同じで、姿勢や動きを普段から意識するだけで、意外なほどに見た目が変わってくると思います。電車の中で立っているときなど、生活の中のふとした瞬間に、歌舞伎体操で行った『正しい姿勢』や動き、ポーズなどを思い出してやってみてください」と橋吾さん。
一般向けのほかにも、幼稚園や保育園、小学校、中学校、シニア、障害のある方、企業研修でも歌舞伎体操教室や歌舞伎ワークショップを行っているとのこと。
「できない動きがあれば無理をすることはありません。私が大好きな歌舞伎から得たものをみなさんにお伝えし、新しい気づきや出会いがあればうれしいです」(橋吾さん)
橋吾さんの動きの美しさやよく通る声、キラキラした笑顔を見ているだけでも、何だか元気になれる歌舞伎体操。体力づくりや体幹を鍛えられるという利点もありますが、ふと鏡に映った自分を見たときに美しい姿勢ができていたら、前向きな気持ちで1日を過ごせそうですよね。機会があれば、ぜひ参加してみてください。
どこでも!いつでもできる!歌舞伎体操の動きをご紹介
<おうちで手軽に歌舞伎体操 「箱割」のポーズ>イラスト提供:カリフォルニアプルーン協会
普段から気軽にできる歌舞伎体操として、体幹を鍛え、お腹まわりの引き締めが期待できる「箱割」のポーズをご紹介します。簡単な動きですが、お腹にかなり効きますよ。
【箱割のやり方】
1. 肩幅より広めに足を開き、正面向きに立ちます。腕は横に開き、つま先は斜め外に向けます
2. 上半身の姿勢はそのまま動かさず、膝と尻が同じ高さになるまで、腰をゆっくりと真下に落とす
3. そのままの姿勢で10秒ほどキープ
【ポイント】
・重心は丹田(おへその下)のあたりに
・膝は直角に曲げ、足の下に箱を作るイメージで
・背中が丸まったり、上半身が前傾姿勢になっておしりが突き出さないように注意
■関連
医学博士が考案した和のエクササイズ「歌舞伎体操」で 美しい姿勢と強い体幹を手に入れる!(1)
■協力

歌舞伎体操を指導して下さいました歌舞伎役者の中村橋吾さん。師匠は八代目中村芝翫さん。
<プロフィール>中村橋吾(歌舞伎役者/屋号成駒屋)
山形の一般家庭から歌舞伎の世界に入る。1998年より国立劇場第15期歌舞伎俳優研修生。2001年中村橋之助(現・八代目芝翫)に入門。歌舞伎座をはじめ、平成中村座、コクーン歌舞伎、海外公演で活躍。2013年名題昇進。2014年第20回日本俳優協会奨励賞受賞。2018年カリフォルニアプルーン協会初代ブランドアンバサダー就任。
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なりきり歌舞伎体操
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中村橋吾の橋吾談
■取材・文/瀬田尚子
出版社勤務を経て、フリーランスのライター・編集者に。医療・健康分野を中心に雑誌、書籍、WEBメディアなど