国立がん研究センターの調査(2012年)によると、がん患者さんの約3人に1人は就労可能年齢(20歳から64歳)。治療のため会社を辞めざるを得なくなるなど、働く世代のがん患者さんにとって「仕事との両立」は大きな問題です。2012年に発表された第2期がん対策推進基本計画に、個別目標として「がん患者の就労を含めた社会的な問題」への取り組みが含まれて以来、「がん患者さんへの就労支援」をとりまく状況はどのように変化し、今後どのように変わっていくのでしょう。
2009年から「がん患者さんへの就労支援」に取り組んできた社会保険労務士で、乳がん経験者でもある近藤社会保険労務士事務所代表・近藤明美さんにお話をうかがいました。
2009年からがん患者さんの就労支援を開始
法律事務所でパラリーガルとして勤務しながら、2007年社会保険労務士の資格を取り、2008年10月にはご自身の事務所を開業した近藤さん。がん患者さんの就労支援を始めたのは、2009年2月からでした。 「『がんと就労』の第一人者である、キャンサー・ソリューションズ株式会社代表取締役・桜井なおみさんとご縁があってお会いしたのがきっかけです。2011年3月には、桜井さんたちとともに一般社団法人CSRプロジェクトを設立、副代表理事となりました。以来、CSRプロジェクトではがん患者さんの就労相談やサポートグループなど担当させていただいています」(近藤さん) また2010年には、職業訓練やキャリアカウンセリングを行う「KSRキャリアスクール」を設立。2011年6月からは、賢見卓也氏が理事長を務めるNPO法人「がんと暮らしを考える会」(当時は「医療・生命保険・制度をつなぐ」ブレストの会)に参加し、がん罹患に伴う経済的な問題の解決を目指す活動も開始しました。 「私ががん患者さんの就労支援活動を始めた頃は、関係各所が『具体的にどうすれば?』と模索していた時期でした。制度に強い社労士と病院で連携して、患者さん達の相談にのれたらと考えていたのですが、『社労士って、何?』というような感じで、なかなか実現できませんでした」(近藤さん) しかし、2012年に発表された第2期がん対策推進基本計画に個別目標として「がん患者の就労への取り組み」が明示され、近藤さんも国の事業に参加したり、厚生労働省の研究班に呼ばれたりしているうちに、三井記念病院から声がかかり、2013年からがん患者さんを対象とした、社会保険労務士による就労相談会が始まりました。現在近藤さんは東京医科歯科大学、埼玉県立がんセンターを加えた3ヶ所の病院で就労相談会を行っています。一度立ち止まらざるを得ない時に、必要な情報提供を
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