連載更新「働く女性と乳がん -がん治療と乳房再建のいま」(辻 直子/セルポートクリニック横浜院長、杏林大学形成外科非常勤講師)を更新しました。2017年9月26日に開催された「働く女性の乳がんセミナー」のアンケートのご質問をまとめて回答していただきました。
働く女性の乳がんセミナー「乳がん患者さんの恋愛・婚活・結婚生活」
費用はどのぐらいかかりますか?各再建方法について、教えて下さい。
費用は再建方法によって異なります。 皮弁法は30~60万円程度、インプラント法はまず皮膚を拡張するエキスパンダーを挿入する手術が10~20万円、インプラント挿入の手術が30万円程度です。脂肪注入は、当院のCAL法の場合は1回で70~90万円必要になります。複数回注入の必要な場合はその回数分の費用が必要になります。 (上記、皮弁法及びインプラント法は健康保険適用時の費用で、高額療養費制度と合わせて利用することで実質的な負担額はより軽減されます。脂肪注入法は自費診療での費用となります。)再建した後(2年くらい)の生活や、できないことについて知りたいです。
皮弁法もインプラント法も脂肪注入も再建後2年で再建した胸に大きな変化はないと思います。 もっと短期間で言いますと、それぞれ侵襲性(身体が受ける影響)に差がありますので、術後の安静期間に多少の差はあります。 皮弁法では筋肉も一緒に移植する為、ドナーとなる部位の筋力が多少低下します。インプラントの場合は被膜拘縮が起これば抜去する必要がでてきます。 また、破損などがなくてもインプラントは10年程度で入替が推奨されています。脂肪注入は、侵襲性は低い術式ですが注入した脂肪が生着するまで(手術後3カ月程度)は激しい運動は控えて頂くようお勧めしています。現在、圧迫感が強くて辛いです。老後に、この辛さに耐える自信がなく絶望的な気分です。
インプラントで再建をされたか、ティッシュエキスパンダーを入れられている方だと思いますが、皮膚が十分伸びれば圧迫感は多少緩和されると思います。 ただ、圧迫感が"0"にはならないと思いますので、現状がとてもつらいようであれば皮弁や脂肪注入などの自家組織での再建を検討された方が良いかもしれません。 他のQ&Aはこちらから>>No.11 乳房再建、皆さんのご質問にお答えします。(2017年9月開催 働く女性の乳がんセミナー:会場の皆さんのご質問)乳房再建説明会のお知らせ
セルポートクリニック横浜は、乳房再建の説明会を定期的に開催しています。辻先生に質問やCALだけではなく乳房再建について網羅できる良い機会ですので是非、ご参加ください。 次回説明会は東京開催です! 2018年1月10日(水)13:00~14:30 乳がんで失った胸を取り戻したい方へ。乳房再建説明会開催画像提供:セルポートクリニック横浜
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