第2位、第3位はともに「将来における経済的不安」 ~家計を圧迫する住宅ローン~
がん経験者から「がんとお金の問題」について多くの相談を受けている看護師でありファイナンシャルプランナー(以下FP)の黒田ちはるさんからうかがった「がん経験者からのお金の相談Top3」。一番相談が多い「がんでも入れる民間保険」に続くのは、2つとも将来に対する経済的な不安が現れたものでした。不安を解消するためには「公的制度を知って活用すること」そして「家計の問題点を明らかにして手を打つ」ことが必要だと黒田さんは言います。
住宅ローンが家計を圧迫......固定資産税や管理費、修繕積立金も負担に
FPとして相談対応の際、その方の話を全てうかがって「何に困っているのか」「どこが問題なのか」を見つけていくのですが、金額が大きいことから「住宅ローン」の返済が家計を圧迫している場合が多いです。それまでは普通に支払えていた住宅ローンが、がんにかかったことで収入が減り、支出が増えたため、払いきれなくなってしまうのです。
住宅ローンの返済が厳しいからという理由で、ご家族や友人からお金を借りてしまう人もいますが、これはお勧めしません。。お金のやりとりが発生すると、どんなに仲のいい相手でも関係が悪くなり、修復するのが難しくなってしまうからです。もしご家族だったら、お金を借りるのではなく、一緒に住まわせてもらうなど、違う形で協力を仰いでみてはいかがでしょうか。解決策としては、売却や賃貸、返済額の調整や家を担保に借り入れるなどがあります。しかし、残っている住宅ローンや家や土地の価値、そして今後の治療方針から予想される収入や支出の見通し、今後の信用情報なども関係してきますので、FPなどの専門家にご相談されることをお勧めします。
なんとかローンの返済は続けられたとしても、マンションの管理費や修繕積立金が払えなかったり、固定資産税が払えなかったりというケースもありました。そして、自己破産をしたとしても税金の支払い義務は消えないということも、ぜひ知っておいてください。
住宅ローンの支払い義務がなくなる「がん団信」
一生涯で2人に1人はがんになる今、住宅ローンを組んで家を購入する方に検討してほしいのは「がん団信(団体信用生命保険)」です。これはローンを組むときに加入が義務付けられる団体信用生命保険のがん特約のことです。がん(悪性新生物)と診断されれば、保険会社から住宅ローン残高相当額の保険金が銀行に支払われ、ローンの支払いはなくなります。団体信用生命保険だけでは、亡くなられた場合は保険金が支払われますが、がんになっても保険金が支払われることはありません。ローン借り入れ額の約0.1%(取り扱い会社によって異なる)ですから、保障の大きさから考えれば、つけておく方がいいかと思います。
がん団信は内容がだんだん進化していて、ローンを組んでいる人の配偶者ががんになった場合でも一時金が支払われるというものもあります。残念ながら、がん経験者の方の入ることができませんが、配偶者の方ががんに罹患なさっていなければ、特約をつけることで大きなリスクに備えることができます。
■取材協力/黒田ちはるさん 黒田ちはるFP事務所
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