厚生労働省の「2016年国民生活基礎調査」が発表された。男性では肺がん、胃がん、大腸がんの検診の受診率が伸びて4割を超えたが、女性では肺がん以外では4割未満で伸び悩んでいる。特に乳がんと子宮頸がんについては、およそ3人に2人が検診を受けていない状況だ。
男性の肺がん健診の受診率がはじめて50%超
厚生労働省の「2016年国民生活基礎調査」で、40~69歳の男性の肺がん健診の受診率が、国が目標とする50%を超え51%となったことが判明した。ただし、それ以外のがんでは50%を下回っている。 女性では肺がんを除く4種類のがんで受診率が3割台にとどまり、乳がんでは36.9%となっており、3人に2人が検診を受けていない状況だ。20~69歳を対象とする子宮がんでも受診率は33.7%にとどまった。 がん検診には、大きく分けて市区町村が公共サービスとして実施する検診と、職域で保険者が提供する検診がある。この調査では、市区町村、職域、個人において受診したがん検診を全て含んだ受診率を算出している。 がん検診の受診率を2013年と2016年とで比較すると、男性では、胃がん(45.8%→46.4%)、肺がん(47.5%→51.0%)、大腸がん(41.4%→44.5%)となっている。 女性では、胃がん(33.8%→35.6%)、肺がん(37.4%→41.7%)、大腸がん(34.5%→38.5%)、子宮頸(子宮)がん(32.7%→33.7%)、乳がん(34.2%→36.9%)となっている。
がん検診の受診率の向上は重要課題
がん検診を受けない理由としては、「がん対策に関する世論調査」(2016年、内閣府)では、「受ける時間がないから」「心配なときはいつでも医療機関を受診できるから」「費用がかかり経済的に負担」「健康状態に自信があり必要性を感じないから」などが挙げられている。 より効果的な受診勧奨や普及啓発、受診者の立場に立った利便性への配慮などの対策を充実させる必要がある。 厚労省は今夏に閣議決定する「第3期がん対策推進基本計画」で、がん検診の受診率の向上を重要課題に位置づけている。 同省は自治体などと連携して積極的な受診を呼びかけていく方針。▽市町村は、検診受診手続の簡素化、▽効果的な受診勧奨の実施、▽職域でがん検診を提供されていない者に対して市町村で受けられるような連携、▽対象者の網羅的な名簿管理に基づく個別受診勧奨・再勧奨、▽かかりつけ医や薬局の薬剤師を通じた受診勧奨を進める――といった対策を進める。 「2016年国民生活基礎調査」は全国の世帯を対象に無作為抽出し、2016年6月に健康についての調査票を配布。約22万世帯(有効回答率77.5%)が回答した。 平成28年国民生活基礎調査の概況(厚生労働省 2017年6月27日)関連ニュース・トピックス
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