米国では、がん生存者は、一般集団に比べて肥満になりやすいことが、新しい研究で示された。とくに大腸がん(結腸直腸がん)や乳がん生存者で肥満率が高かったという。
この研究は、1997~2014年の米国健康聞き取り調査(National Health Interview Surveys)に参加した米国成人(18~85歳)53万8,000人強のデータを解析したもの。対象者のうち3万2,000人強ががん生存者であった。
解析の結果、肥満者の割合の推移は、がん既往のない人では1997年の21%から2014年には29%だったのに対し、がん生存者では22%から32%に増加していた。
肥満の年間有病率は、がん既往のない人に比べてがん生存者で高く、とくに大腸がん生存者と乳がん生存者で大きく増加していた。なかでも黒人の大腸がん、乳がん、前立腺がん生存者で増加率が高かった。
肥満の有病率が大きく増加した大腸がん、乳がん、前立腺がん生存者それぞれの特徴を男女別にみると、女性の大腸がん生存者では、若年、黒人、過去2~9年以内にがんと診断された人、男性では高齢、黒人、がんと診断されてから10年以上経過した人が多かった。乳がん生存者では、若年、白人、過去1年以内にがんと診断された人、前立腺がん生存者では、若年、白人、過去2~9年にがんと診断された人といった特徴がみられた。
研究責任者を務める米コロンビア大学(ニューヨーク市)メイルマン公衆衛生学部のHeather Greenlee氏は、この知見の一部は、近年、肥満に関連すると考えられている乳がんや大腸がんの患者数が増加していることで説明できるが、その他のがんについてはさらなる研究が必要との考えを述べている。
また同氏は、「肥満によって、がん生存者の健康面での負担が増えることは明らかであり、体重管理などの目標を定めた介入策の実施が求められる」と付け加えている。
この知見は、「Journal of Clinical Oncology」オンライン版に7月25日掲載された。
記事原文 [HealthDay News 2016年8月12日]
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(参考情報) 論文アブストラクト
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