乳房や子宮・卵巣にかかわる女性特有の疾病を保障する女性向けの医療保険が、多くの保険会社から販売されていますが、さまざまな「女性特有の疾病」の中でもどの部分を保障してくれるのかについては、保険によって異なります。
また乳がんでも、乳がんの種類によっては保証対象外の場合も...
女性向けの保険を選ぶ際、ぜひ知っておきたいポイントについて紹介します。
保障の対象外であることが多い"上皮内がん"
「がんを保障する保険に入っていたのに、"上皮内がん"だったから保険金がもらえなかった...」
このような話はよく耳にします。
古いタイプの保険は特に多いようですが、がん保険であっても「上皮内がん(上皮内新生物)」は保障の対象外、もしくは保障が小さいという保険商品もあります。
この上皮内がんとは、上皮内にとどまっているごく初期のがんで、大腸、胃、皮膚などさまざまな部位にできます。
「非浸潤がん」が上皮内がんに当たります。
確かに上皮内がんは、適切な治療を行えば、再発や転移をする可能性は低いのですが、薬物療法や手術といった治療は必要となるので費用はかかるので、保険金はもらっておきたいところです。
2010年に20代から40代でがん・上皮内がんと診断された人は、女性が6.0万人、男性が2.0万人。そのうち女性特有の疾病である乳房、子宮、卵巣のがん・上皮内がんは全体の75%を占めています。
また、2010年に乳がんと診断された人は7.6万人でしたが、そのうち10%は上皮内がんでした。
マンモグラフィなど乳がん検診の普及にともなって、今後も上皮内がんの段階で発見されるケースはさらに増加していくと考えられます。
乳がんで失われた膨らみをとり戻す 「乳房再建」保険も
また最近では乳房再建手術の増加にともない、その費用を保障対象とした女性向けの保険が増えてきています。
例えば、第一生命保険株式会社が2015年12月に販売を開始した無配当女性特定治療特約「レディエール モア」
乳がんまたは乳房の上皮内がんの治療で、乳房切除術(全摘術)や乳房温存手術を受けた場合に100万円が、その後乳房再建手術を受けた場合には20万円(1乳房につき1回)が支払われます。
楽天生命保険株式会社の女性疾病保険「楽天生命レディ」では、乳房再建術を受けた場合に給付金を受けられ、健康保険の適用とならない乳房再建術も支払いの対象となります。
保険商品を検討する際にはご確認を!
- 「上皮内がん」が保険の適用範囲かどうか?
- 「乳房再建術」が保障の対象であるか?
※現在既に保険に加入している方もその保険の適用対象について再確認することをおすすめします。
ちょっと一言
10数年前に乳がんになったNさんの経験談。
上皮内がんは保障されない保険に入っていたNさん。しかし、診断が浸潤がんだったので保険金受け取りの申請に行ったところ、窓口の人から『これは保険金が支払えないタイプのがんですね』と言われ、あやうく追い返されそうになりました。
ちょうど放射線治療中だったNさんは、フラフラになりながらもがんばって説明をして保険金を受け取ったそうです。
「窓口の人が勘違いをする場合もあるので、やはり自分の入っている保険について、しっかり理解をしておくことが大切ですね。あのとき、追い返されてたら損するところでした...」と話してくれた。
参照・関連
レディエール モア(プレスリリース)
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