乳がんにはたくさんの治療法があるので、ご自身の乳がんの状態を知り、最適な治療を選ぶために、焦らず落ち着いてじっくりと考えることが大切です。また信頼できる専門医を見つけること、乳がんという病期に関する正しい情報を集めることも必要となります。また乳がんの治療では、入院や定期的な通院が必要となるため、仕事や家事、社会活動、日常生活にも影響が及びます。できれば周りの人に病気のことを伝え、理解と協力を得ておいたほうがよいでしょう。
乳がんの治療は自分で決めることがいっぱい
まずは気持ちを落ち着かせて
乳がんの治療は手術、薬、放射線などを組み合わせて行い、何通りもの治療法があります。どれが最適な治療なのかを、担当医できちんと話し合った上で、ご自身が決めなくてはいけません。
しかし乳がんと告げられるのは大きな衝撃で、誰しもが混乱し、気持ちが焦ることでしょう。とはいえ、不安な気持ちに取りつかれているとじっくり考えることができませんから、まずが気持ちを落ち着かせることが大切です。医療者や経験者、家族や親しい友人につらい気持ちや不安を吐き出すことで、気持ちが少し軽くなるかもしれません。身近な人に話すのが難しい場合には、全国のがん診療連携拠点病院に設置されている「相談支援センター」のスタッフに話を聞いてもらうのもよいでしょう。電話でも直接会って話すこともできます。
がん相談支援センターを探す
その後は、信頼できる専門医を見つけること、情報を集めることが大切です。
信頼できる医師とは、がん治療に精通していて、患者さんの病状や希望を十分理解した上で、最も良い治療を一緒に考えてくれる医師です。例えば......
- 患者の顔を見もしない
- 患者が理解できるようなわかりやすい説明をしない
- 質問をするといやな顔をする
- 治療法の説明をして「あとはあなたの選択ですから」と放り出す
というような医師と信頼関係を築くのは難しいと思われます。
情報についてですが、本やインターネットには有用な情報もありますが、不確かな情報や、時代遅れの情報が載っているものもありますので注意しましょう。
これから始まる治療のため、周囲の理解と協力が大切
乳がんの治療では、入院や定期的な通院が必要となるため、仕事や家事、社会活動、日常生活にもある程度影響が及びます。できれば周りの人に病気のことを伝え、理解と協力を得ておいたほうがよいでしょう。
今後は、病気のことや治療内容について聞かれる機会が増えるかと思います。必ずしも詳細に伝える必要はありませんが、「病名」「治療内容」「今の状態」「今後の見込み」など、聞かれそうなことについては、あらかじめ答えを準備しておくと尋ねられたときに動揺せずにきちんと伝えることができます。
また就業している人は、会社の就業規則の「休職/欠勤」の項目をよく確認しましょう。休職は法律に定められている制度ではありませんので、休職制度を採用しているのか、そしてその内容は会社の裁量で決めることができます。主治医の診断書を提出し、人事部や総務部、できれば職場の上司も一緒に、就業規則をもとにどれくらい会社を休むことができるのかを、事前に相談しておきましょう。
ちょっと一言!
夫が入院した時、どうしても担当医、看護師の対応に納得できず、その日のうちに夫と家に戻り、別の病院を探すことに。数日後、信頼できる専門医に巡り会え、夫もすっかり元気になりました。「あの時、脱走してよかったね」と今もよく話をしています。受診や入院してしまったら最後!その病院にしなければいけないということはありません。きちんと自分に合った環境で治療を受けましょう。