からだに関する用語
乳腺
にゅうせん
mammary gland
乳房の中にある、乳汁を分泌する器官。15~20の腺葉と呼ばれる組織で構成され、腺葉は乳管と小葉という組織で構成されている。乳がんの約9割は乳管に発生。
乳頭
にゅうとう
nipple
乳首の別名で、乳房の中央にある乳腺の開口部。
大胸筋
だいきょうきん
greater pectoral muscle
胸の前面を覆う筋肉。
小胸筋
しょうきょうきん
musculus pectoralis minor
大胸筋の下にある筋肉。
乳がんの様子に関する用語
病期(ステージ)
びょうき
stages
乳がんの進行を表すもの。しこりの大きさ(T)、リンパ節への転移(N)、遠隔転移(M)で0・I・II・III・IVの5期に分類される。
病変
びょうへん
issue
病気になって起こるからだの変化のこと。狭義では、腫瘍など異常な組織を指す。
進行乳がん
しんこうにゅうがん
advanced breast cancer
しこりが5cm以上、リンパ節への転移がみられる乳がん。病期(ステージ)がⅢ期以上。また炎症性乳がんのことを示す。
局所進行乳がん
きょくしょしんこうにゅうがん
locally advanced breast cancer
がんが乳房表面の皮膚や胸壁に及ぶ、また、鎖骨上リンパ節にまで転移が及んでいる病期(ステージ)3B、3C期の乳がん。
炎症性乳がん
えんしょうせいにゅうがん
inflammatory breast cancer
しこりはみられないが、乳房の表面の皮膚が赤くむくむなど、乳房に炎症があるような症状をみせる乳がん。
多発性
たはつせい
multiple-
同時に2カ所以上の場所で病変ができること。
遠隔転移
えんかくてんい
distal metastasis, metastatic
最初にがんが発生した場所から遠く離れた臓器やリンパ節にがん細胞が転移すること。
石灰化
せっかいか
calcification
乳房の一部にカルシウムが沈着したもの。様々な原因で起こるが、小さいものが一カ所にたくさん集まっている場合には、乳がんの可能性がある。
非浸潤がん
ひしんじゅんがん
non-invasive cancer
がん細胞が乳管や小葉の内側でとどまっている早期がんのこと。転移のリスクが低く、手術のみで根治できる。
浸潤がん
しんじゅんがん
invasive cancer
乳管や小葉の幕を破り、がん細胞が染み出した状態。
「リンパ」に関する用語
リンパ管
りんぱかん
lymph vessel
血管のように全身に広がる管で、過剰な組織液(細胞と細胞の間にある液体)を回収する。
リンパ節
りんぱせつ
lymph node
リンパ管にところどころある膨らみで、免疫抗体を産生し、細菌や異物を処理する。
腋窩リンパ節
えきかりんぱせつ
axillary lymph node
わきの下にあるリンパ節のこと。
鎖骨下リンパ節
さこつりんぱせつ
subclavicular lymph node
鎖骨の下、第1肋骨の上のあたりにあるリンパ節のこと。
リンパ節郭清
りんぱせつかくせい
Lymphadenectomy
リンパ節を手術で取り除き、実際に転移があるかどうかを調べること。
リンパ浮腫
りんぱふしゅ
lymphedema, lymphatic edema
リンパ節郭清や放射線療法の影響で、リンパ液がたまって腕がはれること。
手術や再建に関する用語
(乳房)温存
(にゅうぼう)おんぞん
breast conservation, breast-sparing
乳房を部分的に切除して、がんを取り除く方法。
乳房再建
にゅうぼうさいけん
breast reconstruction
乳房切除術(全摘術)で失ったり、乳房温存手術で変形したりした乳房を、形成外科の技術で新しく作り直し、乳がんになる前のような胸のふくらみを取り戻す手術。
自家組織
じかそしき
autograft
乳房再建のときに使用する、自分の体の組織。
人工物
じんこうぶつ
artifact
乳房再建のときに使用するシリコンなどの素材。自分の組織(自家組織)を使うことと区別する意味で使う。
一次再建
いちじさいけん
immediate breast reconstruction
乳がん手術と同時に行う乳房再建手術。
二次再建
にじさいけん
secondary breast reconstruction
乳がん手術を終えてから、一定の期間をおいて行う乳房再建手術。
皮弁
ひべん
flap
皮膚や脂肪、筋肉、血管をつけたまま、ひとかたまりに採取したもの。移植用の組織。または皮弁を血行のある状態で他の部位に移植する方法(皮弁法)。
インプラント
いんぷらんと
implant
シリコンなどの素材でできた人工乳房。皮膚の下に入れてふくらみを出す。
エキスパンダー
えきすぱんだー
expander
皮膚を伸ばすための、シリコン製の袋。生理食塩水を少しずつ注入して、徐々に皮膚をのばしていく。
検査や治療に関する用語
病理検査
びょうりけんさ
pathology
細胞や組織を採取して、調べる検査。
病理結果
びょうりけっか
pathological diagnosis
病理検査の結果のこと。
全身療法
ぜんしんりょうほう
general treatment
からだ全体に潜んでいる可能性があるがん細胞を死滅させる治療方法。乳がんの場合では、薬物療法のこと。
局所治療
きょくしょちりょう
local treatment
乳房の中にあるがん細胞を切除したり、死滅させたりするために行う治療。乳がんの場合では、手術、放射線療法のこと。
ホルモン受容体
ほるもんじゅようたい
hormone receptor
ある特定のホルモンと結合するたんぱく質。結合すると細胞増殖などの反応が起こる。「ホルモン療法」では、ホルモン受容体に働きかけることで、がんの増殖を抑える。
アロマターゼ(阻害薬)
あろまたーぜ(そがいやく)
aromatase (inhibitor)
体内にある酵素。閉経後は副腎からエストロゲンを作るが、そのときに必須となる。
バイオマーカー
ばいおまーかー
biomarker
尿や血液に含まれる物質で、健康状態や病期の存在などを知ることができる指標。
HER2
はーつー2
HER2
乳がんのバイオマーカーの1つ。たくさんあると細胞増殖にの制御がきかなくなる。
Ki67
きー67
Ki67
乳がんのバイオマーカーの1つ。細胞の増殖の程度を表す。
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