がん治療を楽にする口腔ケア

(情報)口腔ケアは市販のケアアイテムを上手に活用

百合草 健圭志 静岡県立がんセンター 歯科口腔外科部長
(2018年03月)
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 これまで、お伝えしてきたように、抗がん剤治療や放射線治療では、口内炎や口の乾燥が起こりやすく、普段どおりの口のケアが困難になることがあります。 しかし、お手入れをしないと、口の中が汚れて歯周病が悪化したり、免疫が低下しているときには敗血症(血液中に病原菌が入り込み、全身に回って、最悪の場合は死に至る病気)などのリスクが高まります。

 また、口の乾きにより、会話がしにくくなったり、食べ物が飲み込みにくくなるといったことも起きてきます。

 そこで、治療中に口がしみる・痛くて歯みがきができない......といったときに、試してほしいのが、低刺激・高保湿を追求して開発された口腔ケアグッズです。


患者さんや現場の医師の要望から誕生した
サンスター「バトラー口腔ケアシリーズ」

 静岡県立静岡がんセンター内にあるサンスター静岡研究所の溝口奈菜さん(歯科衛生士)に、製品の特長や上手な使い方を聞いてきました。


溝口奈菜さん

 開発の背景を教えてください

 2006年の開発スタート当時、その頃の製品の中で最も低刺激である歯みがきなどの製品を、患者さんに使ってもらったところ、「とても(しみて・痛くて)使えない」という声が出ました。そこから開発を始め、患者さんや医療従事者の方に幾度となく試作品を試していただき完成しました。それが、2009年に発売したバトラー口腔ケアシリーズです。

 どんな工夫がされているのですか?

 商品開発で重視したのは、口内の保湿ができること、そしてより低刺激であることです。糖類を原料とした保湿剤を開発し、洗口液や歯みがき剤などは、一般の低刺激よりもっと刺激の少ないもの、つまり粘膜炎や口内炎でもしみにくいようにしました。歯ブラシについては、ソフトタイプのものであっても、患者さんにとっては刺激になることがあります。歯ブラシには、特別なスーパーウルトラソフト毛を採用しています。

 口にやさしいということは、治療後も継続して使ってもよいということでしょうか?上手な取り入れ方、使い方を教えてください

 バトラー口腔ケアシリーズは、殺菌剤を使用していません。低刺激・保湿を重視している分、通常の製品よりも、やはり洗浄力は落ちてしまいます。あくまで、粘膜炎や口内炎などがあってつらいときのケアグッズとしての活用をお勧めしますね。お口の状態がよくなってきたら、洗浄力のある通常の製品に戻し、虫歯や歯周病の予防をしっかりとしていくことが大切です。お口の状態に合わせて、使い分けていただきたいですね。

 治療中、粘膜炎や口内炎で歯みがきができない、お口が乾くという方には、マウスコンディショナー(洗口液)や保湿スプレー(保湿剤)でのケアがお勧めですね。うるおいが持続するタイプになっています。スプレーは、ポーチに入れて携帯できますし、ひと拭きするだけですから手軽です。同製品は、ドライマウスの方にも利用していただいており、電話をするときにも、お口が乾きやすいということで、手元において使っている方もいらっしゃるそうですよ。

 治療に入る前に、お口の中をきれいにしておくことも、とても大切なことです。治療前は、通常の歯みがき剤やマウスウォッシュを使ってもしみないと思いますので、普段のアイテムで、いつものお手入れを丁寧に続けてください。口の中には細菌がたくさんいますから、とにかく悪い菌が増えないようにしておくことが大事ですね。

 スポンジブラシはどんなときに使うのですか?

 介護現場などでよく使われています。歯肉や粘膜についた食べカスなどの汚れをふき取ったり、たんを取ったりするのに使います。ご自分でお口のケアが難しいという場合に介助者の方などが、歯磨きを開始するまでの間にお使いになることもありますね。

 こうしたケアアイテムを上手に利用して、少しでも治療中の口のトラブルや痛みが取れるといいですね。口の保湿剤は、介護用品として販売されているものの中にもあるそうですぜひ、試してみてください。

 なお、「バトラー口腔ケアシリーズ」は、一部の病院の売店やインターネット通販で購入可能です。 ≫バトラー口腔ケアシリーズ オンラインショップ

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