2020年07月22日

乳がんのマンモグラフィ検査は女性の命を救う 50万人以上を39年間調査 「確実に受けることが大切」

キーワード:基礎知識
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 マンモグラフィ検査を定期的に受けることで、進行乳がんや致死的な乳がんを発症するリスクを減少できることが、スウェーデンの50万人以上の女性を対象に39年間追跡した調査で明らかになった。
 「40歳以上の女性が、乳がん検診を確実に受けられる仕組みが必要です」と、研究者は強調している。

検査を受けると10年以内の乳がん死亡リスクが41%減少

 研究グループは、マンモグラフィによるスクリーニング検査の対象となった女性の1977~2015年の39年間のデータを用いて、検査を受けた女性と受けなかった女性とで、乳がんの発症率にどれだけの差が生まれるかを調査した。

 対象となったのは、40〜69歳の54万9,091人の女性で、これはスウェーデンでマンモグラフィ検査を勧められた女性の30%に相当する数だという。診断されてから10年以内および20年以内に死亡を引き起こす乳がんの年間発生率を計算するために、研究グループは新しい手法を開発した。

 その結果、マンモグラフィ検査を受けた女性では、受けなかった女性に比べ、進行乳がんの発症リスクが25%減少し、診断から10年以内に乳がんで死亡するリスクは41%減少したことが明らかになった。

 「乳がんのマンモグラフィ検査を受けることで、致死的な乳がんのリスクを大幅に低減できることが明らかになりました」と、スウェーデンのファールン中央病院のタバール ラースロー氏は言う。マンモグラフィ検査を受けることで得られる利益については、これまでも多くの研究で示されている。

乳がんの早期発見に勝るものはない

 一方で、乳がんの死亡リスクが低下しているのは、乳がんの治療技術が向上したことによるという指摘もある。しかし、今回の研究は、マンモグラフィ検査の実施から39年間追跡して調べることで、同時期の乳がんの治療の長期的な影響から独立して、乳がん検査にベネフィットが多いことが示された。

 「今回の研究で、乳がんの早期発見に勝るものはないことが示されました。乳がん治療の進歩の恩恵を最大限に受けられるようにするためにも、早期発見は重要です」と、ラースロー氏は強調する。

 「乳がんがまだ小さく、転移のないうちに発見するには、マンモグラフィによるスクリーニングは効果的です。乳がんの治療法は進歩しており、死亡率は減少しています。今回の調査結果では、乳がん治療に含め、スクリーニング検査を定期的に受けることの重要さがあらためて示されました」と、ロンドンのクイーン メアリー大学のスティーブン ダフィー教授は言う。

 英国では、国営医療サービス(NHS)の提供する乳がん検診プログラムにより、50歳以上のすべての女性はマンモグラフィ検診を受けることが推奨されており、受診率は70%を超えている。しかし、低所得の世帯の多い地域などでは受診率は伸び悩んでいるという。

 「社会経済的に恵まれない地域でも、女性に乳がん検診プログラムに確実に参加してもらうよう働きかける必要があります」と、ダフィー教授は指摘する。

すべての女性が乳がん検診を受けられる仕組みが必要

 一方、乳がん検診で使われているマンモグラフィには、検査時に圧迫感や痛みがあったり、高濃度乳房の場合は、乳がんの可能性のある病変が乳腺組織に隠れてしまい、正常組織と区別できる割合が低下するという欠点もある。

 そうした欠点はあるにしても、マンモグラフィは乳がん検診の目的である乳がんで亡くなる人を減らす(死亡率減少)効果が明らかになっている検査だ。

 日本でも、乳がんが30~64歳の女性で死因のトップとなっていることから、40歳以上の女性に対して、定期的に自身の乳房の変化をセルフチェックするとともに、マンモグラフィ検査を定期的に受けることがが推奨されている。

 しかし、40~69歳の日本人女性の乳がん検診の受診率は50%未満と少ない。日本乳癌学会は「高濃度乳房であるかどうかにかかわらず、定期的に検診を受けること、そして、何か症状があれば放置せず、速やかに医療機関を受診することが大切です」と強調している。

Early mammography screening lowers risk of developing fatal breast cancer(Wiley 2020年5月11日)
Mammography screening reduces rates of advanced and fatal breast cancers: Results in 549,091 women(Cancer 2020年5月11日)
患者さんのための乳がん診療ガイドライン2019年版(日本乳癌学会)
(日本医療・健康情報研究所)

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