2019年08月21日

3年ぶりに改訂版が7月に発売 「患者さんのための乳がん診療ガイドライン2019年度版」

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最新情報をもとに、「標準治療」をわかりやすく解説

 治療の場、またはメディアなどで「標準治療」という言葉を耳にしたことがあるかと思います。乳がん治療の分野においては、世界中の最新の研究成果を集めて専門家が有効性と安全性を確認し、現時点で最善の治療として合意したものが「標準治療」です。

 「標準」という言葉が「普通の」「並の」といった意味合いで使われることがあるため、「『標準治療』なんて...もっと良い治療をうけたい」と誤解する人もいるようですが、標準治療は「現時点で、患者さんに最も効果が期待でき、安全性も確認された『最善』の治療」なのです。

 最先端の医療についても、専門家が有効性と安全性を確認し合意されれば、新たな「標準治療」となります。

 そして標準治療をまとめたものがガイドライン(治療指針)です。一般社団法人日本乳癌学会(以下、日本乳癌学会)では医療スタッフ向けの診療ガイドラインを作成していますが、日本乳癌学会のガイドライン作成に従事した専門家と看護師、薬剤師、患者会の代表が集まり、最新情報をもとに標準治療をわかりやすく解説したものが「患者さんのための乳がん診療ガイドライン」です。

 2019年7月、3年ぶりの改訂となった「患者さんのための乳がん診療ガイドライン 2019年度版」(日本乳癌学会編 金原出版)が発売されました

標準治療や診療方法について正しく理解し、納得のいく治療を

 本書は患者さんからの計64の質問に対する回答と解説というQ&A形式で構成されています。内容は乳がんの予防、検診と診断、治療、アピアランス、妊孕性の問題など、多岐にわたっています。

 今回の改訂のポイントは、医師向けの「乳癌診療ガイドライン2018年版」と日本における診療の現状を反映したことです。

 「原因と予防について」の章では、乳がん発症リスクに関する項目を分かりやすくまとめています。また、アンジェリーナ・ジョリーさんのニュースで広く知られるようになった「遺伝性乳がん卵巣がん症候群」に関連する情報、たとえば遺伝学的検査、受けられる施設や費用など、国内の現状も踏まえて記載されています。

 「治療を受けるにあたって」の章では、仕事との両立、経済的負担と支援制度、腋窩リンパ節郭清の必要性、乳房温存手術後の放射線療法など、心身のみならず、社会的にも経済的にも負担の大きい治療を少しでも軽減するためのヒントが解説されています。

 インターネットやテレビなど、私たちの周りはさまざまな健康情報であふれており、根拠の乏しい情報に振り回されることもあるかもしれません。また治療の場ですべて医師任せにして治療を受けてしまうということもあるかもしれません。

 しかし、納得のいく医療を受けるためには、患者さんが標準治療や診療方法について正しく理解した上で、医師と相談し、自分に合った治療を選択することが重要です。本書では医療用語についても、ていねいに、わかりやすい言葉で説明されているので、きっと必要な情報が得られると思います。

 そして患者さんだけではなく、ご家族、医療関係者、また乳がんという病気について正しく知りたいと思うすべての人におすすめです。

「患者さんのための乳がん診療ガイドライン 2019年度版」(日本乳癌学会編 金原出版)2019年7月11日発行

一般社団法人日本乳癌学会

■文/瀬田尚子
出版社勤務を経て、フリーランスのライター・編集者に。医療・健康分野を中心に雑誌、書籍、WEBメディアなどで取材・執筆を行う。
(日本医療・健康情報研究所)

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