2019年07月02日

乳房再建のためのブレスト・インプラントが原因のリンパ腫 日本初の症例

キーワード:乳房再建 基礎知識 治療
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 17年前に乳房再建のためにブレスト・インプラントを挿入している患者1名が、ブレスト・インプラントが原因とみられるリンパ腫(血液細胞に由来するがんのひとつで、白血球の1種であるリンパ球ががん化した病気)の診断を受けたと、一般社団法人日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会、日本形成外科学会、日本乳癌学会、日本美容外科学会の4つの学会が、2019年6月7日に発表をしました。

 このリンパ腫は、「ブレスト・インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA-ALCL)という疾患で、日本においては初めての症例となります。

 この疾患はインプラントが挿入されている人の約3800人~30000人にひとり発生するとされ、国によって発生頻度の報告は異なります(米国形成外科学会の報告では30000人にひとり、オーストラリア・ニュージーランドからは1000人から10000人にひとり、オランダからは6900人にひとり、カナダからは24000人にひとり)。

 アジアでは、タイ・シンガポール・韓国に1例ずつ報告されています。

 海外からの報告では、インプラントを入れてから平均9年ほどで発生し、インプラントの周囲に液体がたまり、大きく腫れてくることではじまるとされています。その他、乳房や脇にしこりを感じる、乳房の形が変わる、痛みがあるといった症状がみられることがあります。

「テクスチャードタイプ」のインプラントの使用例で発症が報告


 これまでのところ、報告されているのはインプラントの表面がザラザラした「テクスチャードタイプ」の使用例で、表面がつるつるした「スムースタイプ」の使用例は報告されていませんが、「スムースタイプ」では発症しないと完全に言い切ることはできません。

 この「テクスチャードタイプ」のインプラントは今年に入り、フランス、カナダ、シンガポールにて使用が制限されました。現在、日本の健康保険で許可されている乳房再建用のインプラント「ナトレル410ブレスト・インプラント」(アラガン社)も「テクスチャードタイプ」にあたります。

 治療法としては、多くの場合は挿入されているインプラントを、インプラントの周囲に形成される被膜組織とともに外科手術で切除。

 周囲にしこりがあれば一緒に切除します。発見が早ければ外科手術のみで治癒が見込めますが、遅れた場合には、薬物療法、放射線治療が必要となり、死亡例も報告されています。

 海外の動向としては、BIA-ALCLがまれな疾患で死亡率も低いため、十分な説明と同意のもとにインプラントを挿入し、その後は定期検診をすることが推奨されています。また、症状のない人に対するインプラントの摘出は推奨していません。

 まれな疾患ですが早期発見が重要ですので、医療機関での定期検診に加え、しこりや腫れがないかどうかをご自身でチェックし、もし異常を感じた場合には早めに受診をしてください。

 詳しくは、一般社団法人 日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会のWEBサイトをご覧ください。

一般社団法人 日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会
ブレスト・インプラント(ゲル充填人工乳房)による乳房手術を受けた(受ける)方へ
ブレスト・インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA‐ALCL)についてよくあるご質問

■文/瀬田尚子
出版社勤務を経て、フリーランスのライター・編集者に。医療・健康分野を中心に雑誌、書籍、WEBメディアなどで取材・執筆を行う。
(日本医療・健康情報研究所)

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