2018年11月15日

自身や家族が、がんを経験 高校生が運営するがんカフェ「どあらっこ」 (2)小・中・高校生たちに広がる、がんを学ぶ活動 前編

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 日本で初めて中学生たちが立ち上げたがんカフェとして、話題を集めた「がん哲学外来メディカルカフェ どあらっこ」(代表・中村航大さん)。2017年2月のスタートからまもなく2年、その活動は周囲の小・中・高校生たちに確実に広がっています。2017年8月から「どあらっこ」のスタッフになった寺尾拓己さんに参加のきっかけ、お母様の病気に対する想いなど、お話をうかがいました。

カフェ参加者の自らの人生と向き合う姿に、がんへの意識が変わった


2017年8月から「どあらっこ」のスタッフになった
寺尾拓己さん(高校1年)

――――――寺尾さんが「どあらっこ」のスタッフになったきっかけを教えてください。

 2017年8月に第2回どあらっこメディカルカフェに参加したのですが、その時にスタッフの彦田栄和くんから誘われたのがきっかけです。

 僕の母が乳がん経験者で、同世代のみんなの活動に興味があり、参加しました。メンバーはみんな気さくで親しみやすいので、これなら自分もやっていけそうだなと思いました。特に代表の中村くんが明るくておもしろいです。

――――――寺尾さんにとって、がんはどういうものですか。また「どあらっこ」の活動を通して、気持ちに変化はありましたか。

 母が乳がんになったのは、僕が小学5年の時でした。それまで僕にとってがんは、ときどきテレビで耳にする言葉で、「なんとなく怖いもの」といったイメージでした。しかし母ががんになってからは、病気や治療のことをいろいろ説明してもらえたので、「早期発見をすれば、回復できる病気なんだ」と理解することができました。

 「どあらっこ」のスタッフとして活動するようになってからは、がんをきっかけに自分の命や生き方に正面から向き合うようになったという経験者の方たちと多くお会いして、改めてがんに対する意識が変わりました。

親の病気を知るのはつらいけれど、説明してもらえてよかった

――――――お母様の病気を知ったときはどういう気持ちでしたか。

 やはりショックでした。また小学5年で子どもでしたし、自分は力もなく、何もできない存在だと感じていました。そうした中、僕にできるのは母に余計な心配をかけないことだと思い、うろたえたり、弱気になったり、悲しそうにしたり、そういうことはせずに、できる限りしっかりして、母が健康に過ごせるようになることを祈っていました。

 どちらかというと僕より父の方がうろたえていましたね(笑)。

――――――がんであることを、子どもに伝えるべきか、またどのように伝えるべきかは、多くのがん患者さんにとって難しい問題となっていますが、寺尾さんは、ご自分の経験からどのように思いますか。

 がんといっても種類も多くありますし、その状態もいろいろです。また家庭環境やお子さんの年齢、考え方によっても大きく違うので、ひとくくりにして答えられないと思っています。僕の場合でお話をすると、母から病気のことを伝えられたのが小学5年だったので、説明を理解できる年齢でした。

 もし周りの大人たちが僕に何も説明をしてくれなくて、いつもと違う空気感を感じ取ったとしたら、現実に起きている以上のことを考えてしまい、とても不安になったと思います。親の病気のことを知るのもつらいですが、それ以上に何が起きているのかわからないほうが僕にとってはつらかったはず。なので「できれば子どもに伝えるほうがいい」と感じています。

――――――今後の「どあらっこ」の活動で取り組んでみたいことを教えてください。

 「どあらっこ」のスタッフには、僕と同じように親ががん経験者という人が多いのですが、同じ境遇の人に会うと、僕自身、気持ちが楽になります。乳がんもそうですが、がんの治療は期間が長いので不安も長く続くことが多いと思いますが、「どあらっこ」の活動を通して、そうした人たちの助けになれたらうれしいです。


第2回「どあらっこと学ぶ会」で司会進行を務めた寺尾さん
(左は「どあらっこ」代表・中村航大さん)

【近日公開】自身や家族が、がんを経験 高校生が運営するがんカフェ「どあらっこ」(3)小・中・高校生たちに広がる、がんを学ぶ活動 後編 へ続く

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■協力
がん哲学外来メディカルカフェどあらっこ

■取材・文/瀬田尚子
出版社勤務を経て、フリーランスのライター・編集者に。医療・健康分野を中心に雑誌、書籍、WEBメディアなど

(日本医療・健康情報研究所)

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