2018年11月15日

自身や家族が、がんを経験 高校生が運営する、がんカフェ「どあらっこ」 (1) 同世代の子どもたちに、「がん」を正しく伝えたい

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自分の病気の経験が、ほかの人の役に立つのなら


「どあらっこ」の代表を務める、現在、高校1年の中村航大さん

 対がん運動に功績のあった個人および団体に贈られる「日本対がん協会賞」の平成30年度の受賞者が9月に発表になり、本人や家族ががんを経験した高校生たちが中心となり、愛知県で活動をしている「がん哲学外来メディカルカフェ どあらっこ」が日本対がん協会賞(団体部門)を受賞しました。

 「がん哲学外来メディカルカフェ」とは、順天堂大学医学部の樋野興夫教授により2008年から始められた活動です。医療現場は忙しく、患者さんやその家族の精神的苦痛を和らげるところまでは対応できていない。そうした医療現場と患者との「隙間」を埋めるため、がんにより不安な気持ちを抱えた患者さん、家族、遺族、友人など様々な人たちが立場を越えて集まれる場がメディカルカフェで、今や全国に広がっています。また樋野先生はこの活動により平成30年度の「朝日がん大賞」を受賞しています。

 「どあらっこ」の始まりも、樋野先生との出会いがきっかけでした。代表を務める中村航大さんは、小学2年の時に脳腫瘍が見つかりました。中学2年だった2017年に再発し、入院をしていた頃に樋野先生と会い、「カフェをやってみては」と声をかけられたそうです。

 「僕の病気の経験を活かして、ほかの人たちの悩みを少しでも軽くできるのなら、やってみたいと思いました」(中村さん)

 当時は中村さんが入院中だったため、友人の彦田栄和さんと弓削響輔さんが協力して準備を進め、2017年2月に、1回目のメディカルカフェが開催されました。

2018年8月、がんを学ぶ新しい取り組みをスタート


2018年10月に開催された第2回「どあらっこと学ぶ会」の様子
がんについてクイズ形式で学べる

 中村さん、彦田さん、弓削さんの3人で始まった「どあらっこ」に、2017年8月、寺尾拓己さんが参加。この高校1年の4人が中心となり、活動は行われています。中村さん以外の3人のスタッフのお母様は乳がん経験者です。

 これまでに、名古屋市内でメディカルカフェを6回開催した「どあらっこ」。2018年3月には愛知県豊明市の沓掛小学校に招待され、6年生たちを前に対談などを行いました。さらに2018年8月からは、20歳以下を対象に、がんという病気について正しく知ってもらうための「どあらっこと学ぶ会」を新しくスタートしました。

 「今は、一生のうち2人に1人ががんになる時代ですが、ほとんどの同世代の中高生は『がんという病気がある』というくらいで、それ以上のことは知りません。風邪やインフルエンザのように身近な病気ではないですし、実際にがんになった人と接する機会もないですから。最近は『がん教育』への取り組みが動き出していますが、同世代の僕たちだからこそ伝えられることもあるのではと思い、20歳以下を対象とした『学ぶ会』を立ち上げました」(中村さん)


第2回「どあらっこと学ぶ会」で行われた彦田一花さん(左)の発表
アシスタントは笠島彩楓さん(小学6年)

もっと子どもや同世代の中高生に知ってもらいたい!

 第1回の「どあらっこと学ぶ会」には小・中学生も参加。10月に開催された第2回学ぶ会(会場:赤羽乳腺クリニック[名古屋市千種区])では、中村さんによる「がんって何?」、そして中心スタッフの彦田さんの妹、彦田一花さん(中学1年)による「がんができるしくみ」の2つの発表があり、その後は参加者全員で、がんにまつわるさまざまな内容について語り合いました。

 日本対がん協会賞受賞の感想をたずねると

 「本当は朝日がん大賞を狙っていたんですけれど、樋野先生に持っていかれちゃいました」とユーモアたっぷりに話してくれた中村さん。

 今後の活動については「もっと子どもや同世代の中高生に来てもらえるようなものにしていきたいです」と力強く答えてくれました。

 「どあらっこ」の今後の活動については、公式WEBサイトがん哲学外来メディカルカフェどあらっこ に掲載されています。


第2回「どあらっこと学ぶ会」の課題発表の後は参加者が抱える悩みなど、
さまざまな内容について語り合う時間が設けられた。
中央は司会進行役のスタッフ・寺尾さん

→【近日公開】自身や家族が、がんを経験 高校生が運営するがんカフェ「どあらっこ」(2)小・中・高校生たちに広がる、がんを学ぶ活動 前編 へ続く

■協力
がん哲学外来メディカルカフェどあらっこ

■関連
自身や家族が、がんを経験 高校生が運営するがんカフェ「どあらっこ」 (2)小・中・高校生たちに広がる、がんを学ぶ活動 前編
自身や家族が、がんを経験 高校生が運営するがんカフェ「どあらっこ」 (3)小・中・高校生たちに広がる、がんを学ぶ活動 後編

■取材・文/瀬田尚子
出版社勤務を経て、フリーランスのライター・編集者に。医療・健康分野を中心に雑誌、書籍、WEBメディアなど

(日本医療・健康情報研究所)

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