2018年08月09日

自分に必要な健康情報を選び、活用する力を!ヘルスリテラシーを身につける(2)〜「全体の数を意識する」ことを忘れずに〜

キーワード:ライフスタイル
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 健康情報を見つけ、理解し、それを評価した上で、利用する力、つまり健康を決める力をヘルスリテラシーといいます。一般市民を対象にしたヘルスリテラシー教材を開発・研究している聖路加国際大学研究センターPCC実践開発研究部では、2016年度から一般市民を対象とした、健康情報の探し方・選び方・使い方を学ぶ「ヘルスリテラシー講座」を開催しています。この講座で紹介されたヘルスリテラシーを高めるためのポイントをご紹介します。


聖路加国際大学の研究事業として、一般市民向けに 開催されている
ヘルスリテラシー講座の様子(左が高橋恵子准教授)

健康情報を理解する4つのポイント

 見つけた健康情報が、どういった根拠に基づいて書かれているものなのかを正しく理解するためには、以下の4つのポイントを確認しましょう。

1.全体の数を意識する

 あるサプリメントを飲んだ5人の成功体験が紹介されている広告があったとします。なんとなく自分が飲んでも効果があるように感じてしまいますが、これが1000人飲んだうちの5人だったとしたら、全体の0.5%ですから、自分が飲んでもあまり効果がないかもしれません。このように数字を見るときには、全体の数(母数)を意識することが大切です。

2.いくつかの原因を考える

 体調が良くなったり、悪くなったりした時、ついついひとまず目についた出来事を原因だと思い込んでしまうことがありますが、1つの原因に集中しすぎてしまうと、他の重要な原因を見落としてしまうかもしれません。どのようなことにも複数の原因があると考えるようにしましょう。

3.比較して考える

 比較をすることは、情報に対して具体的に理解を深めるのに有効です。例えば、「閉経後の女性でカルシウムを摂る量が1日400g未満のグループと600mg以上のグループを比べたところ、600mg以上のグループのほうが骨の硬さを示す値が上がった」という研究結果があります。1日あたりのカルシウム摂取量が違うグループを比較することで、1日に摂るべき量の目安を得ることができました。

4.物事の両面を考える

 正しい情報を見極めるには良い面、悪い面の両方をしっかりと意識することが大切です。サプリメントでカルシウムを補給すると骨密度が上昇するかもしれませんが、あるアメリカの中高年の男女、約40万人の追跡研究では「サプリメントでカルシウムを摂っている人は、摂っていない人に比べて、心臓疾患で死亡する割合が約1.2倍になる」という結果が出ています。このようにあらゆる物事には、必ずベネフィット(利益)とリスク(危険)が存在します。

 聖路加国際大学研究センターPCC実践開発研究部 高橋恵子准教授は、これまでの調査を通して、特に一般の人に気をつけてほしいのは「全体の数を意識する」ことだといいます。

「全体の数(母数)を全く意識せずに、目の前に入ってくる体験者の声や数字(割合)だけで、その情報を鵜呑みにしたり、敬遠したりする人が多くいます。示されている数値や情報の全体の数を意識するのと同時に、どういった人たちを対象にした調査なのかということも確認することが大切です」

何かあったときに気軽に相談できる専門家を

 また、何かあったときに気軽に相談できるかかりつけ医のようなところを見つけておくことが、健康を創ることにつながると高橋准教授。

「かかりつけ医というと日本ではなかなかなじみが薄いかもしれません。ただ多くの方が、『風邪をひいた時にはこの病院に行こう』と自分なりに決めてかかっている近所の病院やクリニックがあると思うのです。そうした近所の先生に受診にかかった際に『具合が悪くなった際には、またよろしくお願いします』と、伝えて関係を作っておくとよいと思います。」

 少し具合が悪くても、誰に相談していいかわからず、受診せぬまま悪化させてしまったり、受診しても専門家に思ったことを確認できず納得のいかない治療を受けるなどという人も多いといいます。医師に限らず、看護師や薬剤師、栄養士など相談できる専門家を見つけておくとよいでしょう。

 ※2018年11月24日、12月1日にヘルスリテラシー講座が行われます。詳しくはWEBサイト をご覧ください

■参考
自分に必要な健康情報を選び、活用する力を!ヘルスリテラシーを身につける(1)〜ポイントは「いなかもち」〜
聖路加国際大学 ヘルスリテラシー学習拠点プロジェクト

■取材・文/瀬田尚子
出版社勤務を経て、フリーランスのライター・編集者に。医療・健康分野を中心に雑誌、書籍、WEBメディアなどで取材・執筆を行う。

(日本医療・健康情報研究所)

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