2018年03月14日

乳がんの死亡率が半分に減少 専門家は「乳がん検診」の重要さを強調

キーワード:治療
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 がん検診と治療が飛躍的に進歩しており、乳がん死亡率が大幅に低下していることが米国のスタンフォード大学医学部の研究で明らかになった。がん検診や治療によって乳がん死亡率は半分に減少しているという。

乳がん死亡率は49%低下 検診と治療が進歩

 「乳がんの医療の進歩は女性に大きな希望をもたらします。今後10年間に乳がんの医療はさらに進歩すると期待されます」と、スタンフォード大学医学部放射線・生体情報学部のシルビア プレブラィティス教授は言う。

 プレブラィティス教授らは、がん検診と治療が乳がんによる死亡の抑制にどれだけ貢献しているかを、2000~2010年に30~79歳の米国人女性のデータを使用し予測した。

 米国のスタンフォード大学、ダナファーバーがん研究所、エラスムス医療センター、ジョージタウン大学医療センター、アルバート アインシュタイン医科大学、ウィスコンシン大学、ハーバード大学医学部、MDアンダーソンがんセンターの6つの独立したチームのデータを解析した。

 その結果、がん検診と治療の寄与度は、2000年時点でほぼ同程度だったが、2012年には治療ががん検診を上回っており、治療の向上の方が大きく貢献していることが分かった。

 乳がん死亡率は、がん検診と治療によって、2012年には49%低下し、2000年の37%低下に比べ大きく向上している。その低減効果の37%はがん検診、63%は治療によるものだという。

乳がんの検診と治療は進歩している

 乳がん治療では、エストロゲンによって増殖するタイプ(ER陽性)の乳がんに対してホルモン療法が実施されるようになったのに加え、特定の遺伝子(HER2遺伝子)に異常があるタイプ(HER2陽性)の乳がんに対して「トラツズマブ」といった新たな分子標的治療薬が使えるようになった。以前から行われている化学療法も向上している。

 がん検診については、従来のマンモグラフィと比べて鮮明な画像が得られるデジタルマンモグラフィが普及し、乳がんの早期発見に貢献している。

 プレブラィティス教授らは、乳がんのサブタイプごとのがん検診と治療による乳がん死亡率の抑制効果についても調査した。

 その結果、エストロゲンなどのホルモン受容体であるERが陽性でHER2が陽性という、乳がんでもっとも多くみられるサブタイプについては、死亡率の低減効果のうち31%はがん検診、69%は治療による効果であることが分かった。

 一方、ホルモン受容体が陰性で、HER2も陰性の「トリプルネガティブ」と呼ばれるタイプの乳がんでは、死亡率の低減にがん検診が48%、治療が52%貢献しており、同程度であることも分かった。

マンモグラフィが乳がんの死亡率を低下させている

 「分子標的治療薬のような新しい治療薬が使えるようになったことが、乳がんの死亡率の低下に大きく影響しています。ただし、マンモグラフィが乳がんの死亡率を低下させるのに貢献していることも分かりました。がん検診の効果も依然として大きいことに注意する必要があります」と、ジョージタウン大学医学部内科のジーン マンデルブラット教授は言う。

 「乳がんは早期に発見すれば治療の成功率が高まり、副作用を減らすことにもつながります。がん検診で乳がんを早期発見して治療することで死亡リスクは低下します」と強調している。

 乳がんの検診と治療の優先順位を明確にした今回の研究により、より効果的な治療と医療政策の実現を目指し、乳がんによる死亡率を低下させることが望まれるという。

 この数十年で乳がんの治療薬が増え、マンモグラフィの技術も向上し、医療は大きく進歩している。乳がんを発症するリスクのある女性がそうした進歩の恩恵を受けられるようにすることが重要だ。

 「乳がんの検診と治療にどれだけ投資すると、死亡率を低下させることができるか、今後の研究で見極める必要があります。医療の現場で、技術を向上させ、効果的な治療薬を使うことを普及することが優先されます」と、プレブラィティス教授は言う。

 スタンフォード大学医学部は、乳がんの予防に着目し、より正確な検診により早期診断を実現し、適切な治療につなげるモデルの開発に着手しており、その成果が期待されるという。

New treatments, screening methods dramatically reduce breast cancer deaths(スタンフォード大学医学部 2018年1月8日)
Association of Screening and Treatment With Breast Cancer Mortality by Molecular Subtype in US Women, 2000-2012(Journal of the American Medical Association 2018年1月9日)
(日本医療・健康情報研究所)

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