2017年12月07日

日本のがん医療の変革を目指す「がん患者大集会」〜前編・最新のがんゲノム医療について学ぶ〜

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 日本のがん医療の変革を目指し、毎年行われる「がん患者大集会」(主催;NPO法人がん患者団体支援機構)が2017年11月26日、東京医科歯科大学M&Dタワー2F 鈴木章夫記念講堂において、開催されました。13回目にあたる今回は、「これからのがん医療が目指すもの 〜患者の力をどう活かすか?〜」というメインテーマを掲げています。


開会の挨拶を行った
NPO法人がん患者団体支援機構 理事長の浜中和子氏

 NPO法人がん患者団体支援機構理事長の浜中和子氏は開会の挨拶の中で、今年の10月24日に「第3期がん対策推進基本計画」が決定されたことに触れ、「『がん医療の充実』の項目の中で、一番に挙げられたのは『がんゲノム医療』※でした。そこで、本日はがんゲノム医療の第一人者であるシカゴ大学の中村祐輔教授をお招きしたので、ぜひみなさんにゲノム医療について勉強をしてほしい」と来場者に語りかけました。

 さらに「がん対策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項」として「がん患者を含めた国民の努力」「患者団体等との協力」ということがあげられていることを示し、

 「そのためには私たちも勉強が必要です。患者力をいかに活かすか、ということを、この場においてみなさんと考え、議論していきたい」と続けました。

※がんゲノム医療......ゲノム(DNAのすべての遺伝情報)を活用したがん医療のこと


(厚生労働省WEBサイトより転載)

ゲノム医療を活用したがん医療とは

 第一部が始まり、シカゴ大学の中村祐輔教授が登壇。「がんを治癒するために何をなすべきなのか!?」というテーマで特別講演が行われました。

 冒頭、中村教授は、日本のがんゲノム医療が、アメリカ、ヨーロッパから大きく遅れをとっている現状について触れ、

 「オバマ元アメリカ大統領が、2015年の一般教書演説において、ゲノム情報を利用したプレシジョン医療を始めようと宣言。アメリカでは、今、国をあげて個々の患者さんに合った医療を提供しようということで、医療体系が大きく変わりつつある」と話しました。


がんゲノム医療に詳しい、シカゴ大学医学部の中村祐輔教授

 続いて、中村教授は「がんの治癒率を上げるためには?」と題し、「がんのスクリーニング率の向上」「がんの超早期再発診断法の開発」「最適な治療法選択」「新しい治療薬の開発」とゲノム情報の活用の可能性を指摘しました。

 ゲノム医療の最初の鍵になるDNAの分析法については「驚くべき速度で進歩している。現在は、リキッドバイオプシー(血液や唾液、尿など)に含まれるDNAから、その人のがんがどのような性質なのかがわかる時代になってきました」とコメント。

 がんの部位によって異なりますが、乳がんについては血液中のDNAでがんが80%以上検出できるという研究結果が紹介されました。

 さらに「リキッドバイオプシーを活用して、非常に簡単に、侵襲を少なくがんをスクリーニングしたり、がんの再発をモニタリングしたりできる。薬が効いたがどうかについても、画像で診断するよりも早くリキッドバイオプシーで確認できる可能性があります」といった話がありました。

2割の日本人は、タモキシフェンが効かない

 また治療薬の選択の話の中では、乳がんホルモン療法で使われている「タモキシフェン」に触れられました。

 「タモキシフェンは体内の酵素によって活性型にならないと効かないのですが、日本人の約20%はこの酵素が無いか働きが弱く、活性型タモキシフェンをうまく作ることができません。日本の医療現場では、まだこのことが周知されていないまま、この薬剤が使われています。遺伝子検査で調べれば、他の有効な治療法に変えるということもできるのですが」(中村教授)

 その後は免疫療法の話になり、今、話題の免疫チェックポイント抗体治療の課題と、新免疫療法の開発の重要性に言及し、特別講演は終了しました。

後半へ続く≫日本のがん医療の変革を目指す「がん患者大集会」〜後編・がん患者だからできること〜

■参考
NPO法人がん患者団体支援機構
 

■取材・文/瀬田尚子
出版社勤務を経て、フリーランスのライター・編集者に。医療・健康分野を中心に雑誌、書籍、WEBメディアなどで取材・執筆を行う。

(日本医療・健康情報研究所)

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