2017年12月25日

乳がんと妊娠・出産 Part.2
薬物治療の影響について

キーワード:ライフスタイル
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乳がんの治療と妊娠についての正しい知識を!

 女性が若くして乳がんになった場合、妊娠・出産をどうするかは重要な問題です。

「乳がん治療をしても、妊娠・出産はできるのか」、「妊娠中や授乳中に乳がんが見つかった場合、出産は、治療は可能なのか」など、気になることがたくさんあります。

 将来出産を望んでいる女性が、乳がんの治療と妊孕性(妊娠する力)について、前もって正しい知識を得ておくことはとても大切。前回の乳がんサバイバーの妊娠・出産 Part.1 治療と妊孕性(妊娠する力)の正しい知識を に引き続き、乳腺外科医の土井卓子先生に、知っておきたいポイントを聞きました。

乳がんの薬物治療と妊孕性

乳がんの治療は妊孕性(妊娠する力)に影響することがあります。妊孕性保持のため、できることはあるのでしょうか。

----乳がんの治療後に、妊娠は可能なのでしょうか。また、抗がん剤やホルモン剤による治療を受けると、その後妊娠したときに胎児への影響はありますか? 

土井先生  治療中は確実な避妊が必要ですが、治療を終えた後、月経が再開すれば妊娠は可能です。

 ただし、抗がん剤の薬物が体内から抜けるのに時間が必要ですから、一定期間(数ヵ月)をおいてからのほうがよいでしょう。抗がん剤の副作用により、無月経または閉経してしまう患者さんもいます。年齢によっては、治療後そのまま閉経になる可能性が高くなります。主治医と相談してみましょう。

 問題は、術後にホルモン療法(抗女性ホルモン内服剤)を継続して受ける場合です。ホルモン療法は5年から10年という期間が必要です。薬剤で排卵を抑えた場合、卵巣機能がすぐには復活しませんし、治療開始年齢が30代後半では、年齢から考えると、妊娠出産の可能性はかなり低くなります

 妊娠できる状態をキープすることと、治療を全うすること、この2つはなかなか両立しないというのが現状です。

----化学療法の影響で卵巣機能が落ちてしまうのですね。子どもがほしい人では、前もって妊孕性の温存しておくというまた別な選択と治療が必要になってきますね。

土井先生  そうなんです。妊孕性を温存するには、無月経になった場合を考慮して、治療前に受精卵を凍結しておく、卵巣凍結をしておくなどの方法があります。

 ただし、受精卵を作るには、月経周期にあわせて採卵をしていくことになるので、ある程度時間が必要です。治療に緊急性を要する場合は、患者さんの命を優先せざるを得ない場合があることを知っておきましょう。

 医師側としては、乳がんとわかった時点で、患者さんに妊孕性が失われる可能性があることをしっかりと伝えることが大事ですね。がんと知らされて、子どものことなんて考えられないと話す患者さんもいらっしゃるし、告知後しばらくしてやっぱり子どもがほしいと気持ちが変わってくる患者さんもいます。どう病気と向き合っていくのか、自分の状況と年齢等もよく考えて、パートナーやご家族ともよく話し合っていただく必要がありますね。

----妊娠・出産と乳がん治療を両立するには、難しい問題があるのですね。妊娠を望む女性にとって、5〜10年間のホルモン療法はとても長い。そのため、休薬期間を設け妊娠・出産することができないかという臨床研究が始まっているそうですね。

土井先生  ええ。出産後にまたホルモン療法を再開することもひとつの選択になると思います。乳がんのうち、ホルモン受容体陽性乳がんは10年以上たってから再発することもあるので、ホルモン療法は長いほうがよいという傾向になってきているのです。一方で、がんの医療の現場では、患者さんの妊孕性をどうやって温存するかという課題も抱えています。医学はどんどん進歩していきますし、新しい薬剤・新しい治療法も出てきます。情報をアップデートしておくことは、患者さん側にとっても大切ですね。

 特に妊孕性温存の可能性については、患者さんから主治医に希望を積極的に伝えて、治療方法にどんな選択肢があるのかをしっかり確認しておいたほうがよいでしょう。

 本来は、乳腺専門医と産婦人科の医師などの連携が上手くできている医療機関で、相談することが望ましいですね。乳がんの手術についても、できるだけ乳腺専門医の説明をしっかり聞いてほしいと思います。治療決定までに時間がある場合に限りますが、セカンドオピニオンを受けるという方法もあります。

----土井先生、ありがとうございました。

<関連>
乳がんと妊娠・出産 Part.1 治療と妊孕性(妊娠する力)の正しい知識を

■ご協力いただいた医師

湘南記念病院 乳がんセンター長
土井卓子(どい・たかこ)先生

一環して乳腺外科分野で経験を積み、乳がん治療および乳腺分野での治療に従事。医師、看護師だけでなく、薬剤師、体験者コーデイネーターやリンパ浮腫ケアースタッフを組み込んだ乳がん治療チームの組織、また形成外科と連携した乳房再建などの総合的な乳腺治療を目指す。

日本外科学会専門医、日本外科学会指導医、日本消化器外科学会認定医、日本消化器病学会専門医、乳腺専門医、マンモグラフィ読影認定医、ICD。ピンクリボンかながわ代表。

■取材・文/及川夕子

メノポーズカウンセラーや女性の健康推進員などの資格を生かし、美容・健康・医療分野を中心に、新聞、雑誌、WEBメディアなどで取材・執筆を行っている。書籍の企画や編集、執筆も手掛ける。

(日本医療・健康情報研究所)

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