2017年09月22日

「職域におけるがん検診に対するガイドライン」 精度管理が課題

キーワード:医療費・制度 治療
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 厚生労働省の「職域におけるがん検診に関するワーキンググループ」(座長:大内憲明・東北大名誉教授)は、来年夏ごろに公表する予定の職域でのがん検診のガイドラインに、精密検査受診率などに関する目標値の設定を盛り込むことを了承した。検診の精度管理の指標も設ける方針だ。

がん検診の3~6割が職域でのがん検診

 ワーキンググループは、職域におけるがん検診の実施に関し必要な事項を定め、がんの早期発見の推進を図り、がんの死亡率を減少させることを目的に検討を進めている。

 がん検診には主に、自治体が行う検診と、職場による職域検診がある。2016年国民生活基礎調査によると、がん検診受診者の約3~6割が職域でがん検診を受診している。

 自治体が実施するがん検診が、健康増進法にもとづき、死亡率を下げる効果が認められた検査を実施項目とするなど、運営が原則、国の指針に沿うかたちになっているが、職域におけるがん検診にはそうした指針がない。

 職域検診は、法的な位置づけが明確でなく任意で実施されており、検査項目や対象年齢など実施方法がさまざまだ。

各保険者のがん検診受診率や取組みを公表

 ワーキンググループは、保険者や事業主が、がん検診の受診状況や検診結果などを把握するための統一された仕組みがないため、検診受診率・精密検査受診率の算出や精度管理が十分にできていないと指摘している。

 厚労省の「がん検診のあり方に関する検討会」では、保険者と協力し、職域において保険者が提供するがん検診の実態を早急に把握する必要があるとまとめている。

 そのためには、「職域におけるがん検診に対するガイドライン」を、職域におけるがん検診関係者の意見を踏まえつつ策定し、保険者や事業主はがん検診を任意で実施する際に、これを参考とすることが望ましいとしている。

 目標値を達成するには、モニタリングが重要であることから、各保険者が全国での位置づけを確認し施策に役立てるため、各保険者のがん検診受診率や受診率向上に向けた取組みなどを比較可能なかたちで公表することを求めている。

 なお、現在職域で行われている既存の任意型検診を妨げるものではないという。

自治体のがん検診との連携を強化

 検診対象者、保険者それぞれの特性に応じて、行動変容を起こすためのインセンティブ策およびディスインセンティブ策を導入することも課題のひとつだ。

 時間がない人でも簡便にがん検診を受けられるよう、特定健診とがん検診を同時に実施するため、都道府県、市町村及び保険者の協力を得て、同時実施体制が取られている取組事例を収集し、広く普及することにより、さらに同時実施を推進するとしている。

 より多くの人ががん検診を受診できるよう、保険者や事業主は、一部の被扶養者など、職域でがん検診を受ける機会のない者に対し、自治体におけるがん検診を受診するよう情報を提供するなどして、連携を強化する必要も指摘されている。

データフォーマットの統一化し精度管理

 また、職域におけるがん検診は、全体を定期的に把握する統一的なデータフォーマットなどの仕組みもないため、精度管理を行うのは困難という課題がある。

 職域におけるがん検診の対象者数・受診者数を含めたデータの把握のため、保険者や事業主、検診機関で用いるデータフォーマットの統一化や、がん検診データの収集のための仕組みを作る必要がある。

 ワーキンググループでは、各市町村が実施するがん検診の精度管理の水準を測る「プロセス指標」を参考にし、職域のがん検診にも精度管理の指標を取り入れることなどが提案された。

 これらの意見を受けて、大内座長は指針に盛り込む精度管理の指標案を次回の会合で提示するよう、厚労省の事務局に指示した。

第3回職域におけるがん検診に関するワーキンググループ(厚生労働省 2017年9月7日)
(日本医療・健康情報研究所)

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