2017年09月11日

がん経験者の年収は20%減少 医療費と生活費が心配 サポートが必要

キーワード:医療費・制度
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 働いているときにがんを発症した人は、休職したり仕事量を抑えたりした影響で、年収が20%減少していることが、ライフネット生命保険の調査で分かった。医療費や生活費などの支払いに困る人も多く、がんとの闘病による影響は深刻だ。

 調査は、ライフネット生命保険がNPO法人キャンサーネットジャパンの協力を得て、インターネットで6月に実施。全国のがん経験者の男女572人が回答した。

「再発や転移」の不安が大きい 相談先にも困っている

 がん罹患時に不安に感じたことの多い項目として、「再発や転移」(82%)、「仕事」(58%)、「家族への負担」(55%)、「治療費」(55%)、「生活への制限」(48%)が上位に挙げられた。未婚で子どものいない女性では「恋愛や結婚」(53%)、「がん治療による妊孕性(妊娠する力)低下」(40%)を挙げる人も多かった。

 がん罹患後の生活で困っていることは、男性では「食生活への配慮」(53%)、「治療や体調の相談」(46%)、「医療情報の取得」(35%)、女性では「治療や体調の相談」(43%)、「外見ケア」(43%)、「買い物」(39%)が多かった。

 生活全般において、がんを経験した女性が求めるサポートサービスとしては、「がんについて勉強した方やサバイバーさんによる家事・買い物サポートなどがあればいいと思います」(40代)、「薬の副作用による味覚異常や食欲不振により、料理が苦痛な時も。買い物や食事の準備の際、気軽に使えるサービスがあると良い」(40代)、「投与日に子ども(当時乳幼児)が急病の場合、預かってくれるところがないことで、自分が投与可能な状態であっても投与延期となることがある」(30代)、「がん患者向けの本格的な就労支援サービスがほしい」(20代)、「通院費や検査費がかなり負担でした。収入に応じた援助があればと思いました」(20代)、「外見ケアを個人的にレクチャーしてくれる場所がほしい」(50代)といった声が聞かれた。

平均年収は20%のマイナス 3分の1以上が休職

 がん罹患前後の収入差が小さくないことも分かった。平均年収は、がんになったことで415万円から332万円に減り、20%のマイナス。回答者のうち、収入が減ったのは319人で、全体の56%だった。

 収入の減少幅をみると、「無収入になった」が18%でもっとも多く、「1割以上2割未満」と「2割以上3割未満」がともに15%、「5割以上6割未満」が14%の順。収入が半分以下になった人が全体の47%を占めた。

 がんの罹患時の職業別に罹患前後の収入減少率をみると、「派遣社員(非正規)」がマイナス39%、「パート・アルバイト(非正規)」がマイナス29%、「自営業・自由業」がマイナス23%、「契約社員(非正規)」がマイナス22%、「正社員」がマイナス18%だった。

 複数回答で減った理由を尋ねたところ「休職」(35%)がもっとも多く、次いで「業務量を抑えた」(33%)、「退職」(25%)、「転職」(17%)と続く。

経済面では半数以上が医療費と生活費で困っている

 がん治療と就業の両立について困ったこととして「進行がんだったので、慌てて退職してしまった。ちゃんと調べて色々相談してから、先の事を考えれば良かった」(40 代・女性)、「転職し、パート社員になって収入が減りました。体力も落ち労働時間が減ったためです」(30代・女性)、「職場復帰をして2年ほど勤務したが、やはり残業や仕事量など病気になる前と変わらない業務量のため、転職することにしました」(40代・女性)といった声が聞かれた。

 収入減少後に経済面で困ったことは「医療費(入院費・手術費・薬代など)」(53%)、「本人や家族の生活費」(52%)が過半数を占め、「住居費(家賃・ローン)」と「子供の教育費」がともに25%だった。子どものいる家庭では43%が「教育費」に困っている。「習い事や進学を断念させてしまった」という家庭も。

 経済的に困っていることとして具体的には「高額療養費制度を使っていても、月をまたげば、費用負担は大きかった」(40代・女性)、「抗がん剤治療も高くてできなかった。治療できない」(50代・女性)、「子どもたちの進学でお金がいるのに治療に使ってしまうことに、とても罪悪感を感じる」(40代・女性)、「休職中であり収入が傷病手当金のみのため、住宅ローンのボーナス月返済に困った」(50代・男性)とコメントしており、医療費の負担が重いことが窺える結果になった。

がん患者が「働きやすい環境づくり」が必要

 がん罹患後の公的制度の利用状況は、「高額療養費制度の利用」は92%に上ったが、「医療費控除(確定申告時)」58%にとどまった。「傷病手当金」は37%だった。公的制度での金銭面の充足度は「足りない」が49%とほぼ半数だった。

 企業のがん経験者への治療と仕事の両立支援については、罹患時の勤務先で「サポート制度自体がなかった」(43%)がもっとも多く、仮に制度があっても「使えない」雰囲気があるという回答が61%を占めた。

 がん経験者が求める「働きやすい環境づくり」への改善や工夫としては、「がん患者だからということを理由に不利益・不自然な取扱いを受けることのないよう、がんは誰でも罹りうるものだということを前提とした意識・制度の改善が必要」(20代・女性)、「外見からはわからない痛みや辛さがあることを知ること」(20代・女性)、「誰がいつ罹患しても困らない仕事のやり方、配置換え、休職期間の見直しなどがあればうれしい」(30代・女性)、「通院時間の確保や通勤による体力消耗回避のため、フレックスタイムや在宅ワークの導入」(30代・女性)といった声が聞かれた。

ライフネット生命
キャンサーネットジャパン
(日本医療・健康情報研究所)

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