2017年07月20日

カペシタビンが一部の乳がん患者の生存期間を延長――日韓共同臨床試験

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 術前に化学療法を実施しても浸潤性乳がんが残存しているヒト上皮増殖因子受容体2型(HER2)陰性乳がん患者に対し、術後の標準的な化学療法に抗がん薬の1つであるカペシタビン(商品名:ゼローダ)を追加することで、全生存期間(OS)と無病生存期間(DFS)が延長したとする日韓共同で実施された臨床試験の成績が「New England Journal of Medicine」6月1日号に掲載された。

 米国ではカペシタビンは1998年に転移のある進行乳がんの治療薬として承認されている。今回の臨床試験には関与していない米マウントサイナイ病院(ニューヨーク市)の臨床腫瘍医であるStephen Malamud氏によると、同薬はがん治療薬として長年にわたって使用されており、錠剤であるため服薬しやすく、標準的な化学療法で使用されている薬剤と比べて毒性が少ないという。

 今回の試験は、京都大学大学院医学研究科教授の戸井雅和氏が主導して日本と韓国で実施されたもの。対象は、HER2陰性乳がん患者910人〔日本から606人(62施設)、韓国からは304人(22施設)〕。年齢は25~74歳(中央値48歳)で、全ての患者に術前の化学療法(術前ネオアジュバント化学療法)が実施されていたが、浸潤性乳がんが残存していた。なお、HER2陰性のがんは、トラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)のようなHER2を標的とする抗がん薬による効果が期待できない。

 対象患者は術後に行う標準的な化学療法にカペシタビンを追加する群(カペシタビン群)と追加しない群(対照群)にランダムに割り付けられた。なお、ほとんどの患者で放射線療法が実施された他、ホルモン受容体陽性の患者にはホルモン療法が実施された。

 この試験は、中間解析でカペシタビンの有益性が明確に示されたことを受け、早期に中止された。最終解析では、治療後5年時点で再発または二次がんがない状態で生存している患者の割合が、対照群の67.6%に対してカペシタビン群では74.1%と有意に高く、DFSはカペシタビン群の方が優れていることが示された。また、治療後5年時点で生存している患者の割合は、対照群の83.6%に対してカペシタビン群では89.2%と、OSもカペシタビン群の方が有意に優れていた。

 さらに、治療選択肢が限られているホルモン受容体(エストロゲン、プロゲステロン)陰性かつHER2陰性のトリプルネガティブ乳がん患者では、カペシタビン群と対照群との間に認められたDFSとOSの差がより大きかった。治療後5年時点のDFS率はカペシタビン群では69.8%、対照群では56.1%、OS率はそれぞれ78.8%、70.3%だった。

 なお、カペシタビン群で最も頻度の高かった副作用は手足症候群で、約4分の3で認められた。手足症候群は手のひらや足の末端部などに紅斑や腫脹が現れるもので、Malamud氏によると「ひどい日焼け」のような症状だという。こうした症状は同薬の使用を中止すれば消失する。

 今回、術前ネオアジュバント化学療法を実施しても浸潤性がんが残存する、治療後の進行リスクが高い乳がん患者において、カペシタビンがDFSやOSを延長することが示された。この試験結果について、米メモリアル・スローンケタリングがんセンター(ニューヨーク市)のElizabeth Comen氏は「これまでの治療を変えるランドマーク試験」と称賛。「副作用のコントロールのためにカペシタビンの用量を患者ごとに調整し、減量したり短期の休薬期間を設けることも可能」としている。

 この臨床試験は先端医療研究支援機構(ACRO、東京)およびJBCRG (Japan Breast Cancer Research Group、東京)の資金援助を受けて実施された。

記事原文 [HealthDay News 2017年5月31日]

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(日本医療・健康情報研究所)

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