2017年06月12日

BRCA遺伝子変異陽性の転移性乳がん
PARP阻害薬オラパリブにより、病勢進行および死亡リスクが42% 減少

キーワード:治療
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 アメリカ・シカゴで開催されていた第53回米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次集会において、2017年6月4日、BRCA遺伝子変異陽性の転移性乳がん患者に対するPARP阻害薬オラパリブの有効性に関する第3相試験「OlympiAD試験」の結果が、英国アストラゼネカ社によって発表されました。

 医師が選択した標準的な化学療法と比較して、オラパリブ錠(300mg、1日2回投与)による治療を受けた患者さんは、無増悪生存期間(PFS)が統計学的に有意かつ臨床的に有意義な延長をし、病勢進行および死亡リスクが42%減少したことが示されました。

 この発表は「Best of ASCO」にも選ばれ、転移性乳がんの患者さんのクオリティー・オブ・ライフを向上させるものとして世界的に注目をされています。

BRCA遺伝子変異とは

 遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)の原因であるBRCA 遺伝子(BRCA1、BRCA2)の変異。BRCA 遺伝子は細胞に含まれる遺伝子が傷ついた時に正常に修復するという働きがあります。BRCA 遺伝子に生まれつき変異があり、この機能が損なわれると細胞ががん化しやすく、特に乳がんや卵巣がんにかかりやすいことがわかっています。

〜遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)の特徴〜 ・若年で乳がんを発症する
・両側の乳房に乳がんを発症する
・片側の乳房に複数回乳がんを発症する
・トリプルネガティブの乳がんを発症する
・男性で乳がんを発症する
・乳がんと卵巣がんの両方を発症する
・近親者に乳がんや卵巣がんになった人がいる

※HBOCが心配な場合は、専門の医師やカウンセラーに相談して、アドバイスを受けることが勧められます。現在、BRCA遺伝子に変異があるかどうかを調べる検査には保険が適応されません。費用は20~30万円ほどかかります。

PARP阻害薬とは

 PARPとは、がんDNAの修復を行う酵素のことです。PARP阻害薬はPARPの働きを阻害する薬剤です。現在、オラパリブはBRCA遺伝子変異陽性の進行卵巣がんの薬剤としてアメリカで承認を受けていますが、日本では未承認です。

第3相試験とは

 薬剤の安全性や有効性の調査を人間で検証することを「治験」といいます。治験には三段階あり、その最終段階が第3相試験です。

アストラゼネカ株式会社のプレスリリース

■取材・文/瀬田尚子
出版社勤務を経て、フリーランスのライター・編集者に。医療・健康分野を中心に雑誌、書籍、WEBメディアなどで取材・執筆を行う。

(日本医療・健康情報研究所)

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