2017年05月08日

「乳がん」リスクは食物繊維を多く摂ると低下 4万人超の女性を調査

キーワード:ライフスタイル
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 食物繊維摂取量が非常に多いと乳がんリスクが低下することが、国立がん研究センターなどが実施している「JPHC研究」で明らかになった。45~74歳の4万4,000人超の女性を平均14年追跡して調査したはじめての大規模研究の成果だ。

 乳がんの発症に食事やホルモンが深く関わっている

 乳がんは、女性の罹患率が世界的に最も高いがんで、日本人でも乳がん罹患率は増加傾向にある。乳がんの発症には、食事やホルモン関連のメカニズムが深く関わっていることが知られている。

 海藻類や豆類に多く含まれる水溶性食物繊維は、乳がんリスクに関わっているとされる「インスリン抵抗性」や「インスリン様成長因子1」を調整する効果があるとされている。

 その一方で、穀類や野菜に多く含まれている不溶性食物繊維は、乳がんリスクに関わっているとされる女性ホルモンのひとつである「エストロゲン」の腸内吸収を抑制させる可能性があることも示唆されている。欧米の疫学研究でははっきりとした結果は得られておらず、日本では食物繊維摂取量に焦点を当てた先行研究はほとんど行われていない。

 そこで今回の研究では、食物繊維摂取量と乳がんリスクとの関連について調査した。日本人での食物繊維摂取量とホルモン受容体別乳がん罹患との関連を検討した、はじめての大規模なコホート研究だ。

 4万4,444人の女性を14年間調査

 「JPHC研究」は日本人を対象に、さまざまな生活習慣と、がん・糖尿病・脳卒中・心筋梗塞などとの関係を明らかにする目的で実施されている多目的コホート研究。

 今回の研究では、岩手、秋田、長野、沖縄、新潟、茨城、高知、長崎などの9保健所管内に在住していた45~74歳の女性約4万4,444人を2011年まで追跡して調査し、その結果にもとづいて、食物繊維摂取量と乳がんリスクとの関連を調べた。

 追跡期間中に、681人が乳がんを発症した。研究チームは、5年後調査のアンケート結果にもとづいて総食物繊維摂取量、水溶性食物繊維量、不溶性食物繊維量、納豆および米の摂取量を4つのグループに分け、グループ間での乳がん罹患リスクを比較した。アンケート調査に含まれていた食品のうち、納豆は水溶性食物繊維、米は不溶性食物繊維を多く含む食品のため今回の分析に含めた。

食物繊維の摂取量が非常に多いと乳がんリスクが低下

 その結果、総食物繊維摂取量、水溶性食物繊維量、不溶性食物繊維量、納豆及び米の摂取量と乳がん全体のリスクとの明らかな関連はみられなかったが、総食物繊維摂取量がもっとも多いグループをさらに3つのグループに分けてみると、摂取量が非常に多いグループでは乳がんリスクの低下がみられた。一方、非喫煙者に限った解析や閉経状況別の解析では、統計学的に有意な関連はみられなかった。

 乳がん組織のホルモン受容体別にみると、水溶性食物繊維の摂取量がもっとも少ないグループに比べ、摂取量がもっとも多いグループにおいて、ホルモン受容体陰性(エストロゲン受容体とプロゲステロン受容体がともに陰性)乳がんのリスクが5.45倍高くなった。一方、食物繊維摂取量と他のホルモン受容体別の乳がんの関連はみられなかった。

 今回の結果では、食物繊維摂取量と乳がん全体のリスクとの関連はみられなかったが、総食物繊維摂取量の非常に多いグループでは、乳がんリスクが低下していた。一方で、水溶性食物繊維の摂取量が多いグループにおいて、ホルモン受容体陰性乳がんのリスク上昇が観察された。

 「摂取量の非常に多いグループやホルモン受容体別の検討では解析対象者が少なくなり、結果は慎重に判断する必要がある。食物繊維摂取量とホルモン受容体別乳がんに関する研究は国内外からもまだ少なく、今後さらなる研究結果の蓄積が必要」と、研究チームは述べている。

 研究成果は医学誌「Cancer Causes & Control」に発表された。

多目的コホート研究(JPHC Study)(国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究チーム)
Dietary fiber intake and risk of breast cancer defined by estrogen and progesterone receptor status: the Japan Public Health Center-based Prospective Study(Cancer Causes & Control 2017年3月23日)
(日本医療・健康情報研究所)

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