2017年04月26日

低用量アスピリンはがん死亡率を低減させるのか? 米国の大規模調査から

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 多くの米国人が心血管疾患の一次予防のために低用量アスピリンを毎日服用しているが、こうした定期的なアスピリンの服用は一部のがんによる死亡リスクも低減させる可能性が、新たな研究で示された。

 13万人を超える米国人を対象とした大規模研究から、低用量アスピリンを定期的に服用している成人では、服用していない人に比べて数十年以内のがんによる死亡率が女性で7%、男性では15%低いことが分かった。アスピリンの定期的な服用者では大腸がん、乳がん、前立腺がん、肺がん(男性)による死亡リスクが低減したという。

 ただし、「アスピリンには出血リスクも伴うため、がん予防の目的でアスピリンの服用を開始すべきではない」と、研究を主導した米ハーバード大学医学部および米マサチューセッツ総合病院(ともにボストン)のYin Cao氏らは強調している。

 2016年の米国予防医療作業部会(USPSTF)による勧告では、50~59歳の男女は心血管疾患と大腸がんの予防に低用量アスピリンを毎日服用するよう推奨している。ただし、アスピリン服用によるベネフィットが消化管出血などのリスクを上回るのかについて、主治医と相談すべきことも付け加えている。

 米テキサス大学MDアンダーソンがんセンター教授のErnest Hawk 氏(本研究には参加していない)は、アスピリンには消化管出血や出血性脳卒中を引き起こすリスクがあることに加えて、USPSTFの勧告でも50~60歳代における低用量アスピリン(通常は81mg/日)の服用は、10年以内の心血管疾患の発症リスクが10%以上であるなどの条件を満たす場合に推奨されるとしており、同薬はこうした年代のすべての男女で等しく有益であるわけではない点を指摘している。

 今回の研究は、米国の医療従事者13万人強〔Nurses' Health Studyの女性看護師8万6,206人(1980~2012年)およびHealth Professionals Follow-Up Studyの男性医療従事者4万3,977人(1986~2012年)〕を対象に最長で32年間追跡したデータに基づくもの。対象者には研究開始時および2年ごとにアスピリン使用に関する調査を行った。追跡期間中に1万2,862人ががんで死亡した。

 解析の結果、アスピリンを服用していた人では服用していない人に比べて、全死亡リスク(女性で7%、男性で11%)とがんによる死亡リスク(それぞれ7%、15%)が低下していることが分かった。最も効果が大きかったのは大腸がん(それぞれ31%、30%)で、また、乳がんによる死亡率は11%、前立腺がんによる死亡率は23%、肺がん(男性)による死亡率は14%低かった。

 Cao氏らは今回、複数の生活習慣因子を調整して解析を行ったが、この知見は因果関係を証明するものではなく、「アスピリンがこれらのがんを予防することを明らかにしたものではない」と強調している。

 別の専門家、米メモリアル・スローン・ケタリング(MSK)がんセンター(ニューヨーク市)のRobin Mendelsohn氏(本研究には参加していない)は、がん予防におけるアスピリンの適切な用量や服薬期間は明らかではない点を指摘しつつ、「同薬の服用を始める際には医師と相談することが不可欠であり、また、この服用が大腸がんなどの定期的なスクリーニングに代わるものではない」と述べている。

 この知見は、米ワシントンD.C.で4月1~5日に開かれた米国がん学会(AACR)年次集会で報告された。なお、学会で発表された知見は、査読を受けた専門誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。

記事原文 [HealthDay News 2017年4月3日]

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