2017年04月03日

ウォーキングは進行性がんの患者にも効果的 社会的幸福度も向上

キーワード:ライフスタイル
  • twitterでつぶやく
  • 乳がん治療と乳房再建の情報ファイル
 乳がんなどの進行性のがんの治療を受けている患者は、週に3回、1回30分のウォーキングをするだけでも、生活の質(QOL)を向上できるという研究が発表された。

ウォーキングの身体面・精神面な恩恵は大きい

 がん治療は進歩しており、再発性がんや転移性がんのリスクのある人の寿命は世界的に延びている。

 また、ウォーキングなどの運動をすることで、がん患者は有益な効果を得られるという報告も増えている。

 一方で、がん患者の運動には身体的・心理的な配慮が必要であり、運動を勧める指導が十分に実施されていない現状がある。

 進行性がんの患者が十分なサポートを得られれば、ウォーキングなどの運動は、身体面と精神面において大きな恩恵をもたらすという研究が発表された。

 研究は、英国のキングズ カレッジ ロンドンのフローレンス ナイチンゲール看護学部などの研究チームによるものだ。

進行性がんの患者がウォーキングのクラスに参加

 がん患者の治療中の患者の身体活動は、多くの場合に低下し、なかなか向上しない。

 がん患者に身体活動や運動を推奨する治療は、患者の許容度について十分な配慮があり、設備が整った施設でないとできないと考えられがちだ。これは患者にとって負担になる。

 一方で、ウォーキングには、いつでもどこでも行え、運動強度の調整を容易にでき、しかも安価であるという特長がある。

 今回の12週間の介入試験には、乳がん、前立腺がん、血液がんなど、進行性がんの患者が参加した。

 研究チームは、42人のがん患者を、ウォーキングを行うグループと行わないグループに分けて比較した。

 ウォーキングをしたグループは、1日おきに30分以上のウォーキングを行った。英国の慈善団体「マクミランがんサポート」が制作したがん患者のウォーキングについて解説した小冊子を受け取り、短い時間の動機付けレクチャーを受け、ボランティアが主導するウォーキングのクラスに参加した。

 ウォーキングをしたグループでは、心血管機能や身体能力の向上など、ウォーキングによる健康効果が検査された。ウォーキングをしないグループでは、現状の身体能力を維持することが奨励された。

がん治療に対する肯定的な感情も引き出せる

 12週間後、ウォーキングをしたグループでは、身体的・精神的な改善効果がみられた。参加者の多くで、ウォーキングはがん治療に対する肯定的な感情を維持するのに役立ち、社会的幸福度と生活スタイルの改善もみられた。

 参加者のひとりからは「ウォーキングとアドバイスの効果は絶大でした! 週に3~4時間のウォーキングを続けることで、やる気が出てきただけでなく、食事を健康的に改善し、高カロリーの食品を避けるようになりました」というコメントが寄せられている。

 「運動によってやる気が出てきました。がんであることをくよくよと悩まないようし、生活を少しでも楽しくすることを考えるようになりました。支援していただた友人たちのおかげで、命のための歩み(walks for life)を続けることができます」と、患者のひとりは話している。

「マクミランがんサポート」が公開しているビデオ
乳がんの治療を受けている患者の運動・身体活動

「少しの工夫で治療に取り入れられる」とアドバイス

 研究では、進行性がんの患者においても、ウォーキングなどの運動は忍容性が高いことが示された。患者が受け入れやすく、医療従事者も少しの工夫で臨床に取り入れられるという。

 最近は扱いやすい活動量計も安価に入手できるようになり、そうしたデバイスを利用すれば費用対効果の良いアプローチになる可能性があるという。

 「ウォーキングが進行性がんの治療を受けている患者に対しても有効であることを示した研究として、今回は第一歩になります。運動や身体活動を自由に行い、アクセスしやすいことは、がん患者のQOLを向上するために本当に必要とされています」と、キングズ カレッジ ロンドンのフローレンス ナイチンゲール看護学部のジョー アームズ氏は言う。

 「さらなる研究で、ウォーキングががん患者の健康増進と社会的・感情的幸福度を向上させることを確かめる必要があります」と、付け加えている。

Walking could improve quality of life for those with advanced cancer(キングズ カレッジ ロンドン 2017年2月16日)
CanWalk: a feasibility study with embedded randomised controlled trial pilot of a walking intervention for people with recurrent or metastatic cancer(BMJ Open 2017年2月16日)
あなたが歩む、あなたの時間(マクミランがんサポート)
健康的なライフスタイル(マクミランがんサポート)

(日本医療・健康情報研究所)

関連ニュース・トピックス

ニュース・キーワード

ニュース・トピックス
オピニオン
働く女性と乳がん -がん治療と乳房再建のいま-
辻 直子(セルポートクリニック横浜院長、杏林大学形成外科非常勤講師 )
がんと就労~本人と職場を支える産業看護職のより良い支援とは~
錦戸 典子(東海大学大学院健康科学研究科)
病気になっても仕事を続けるための支援
荒木 葉子(荒木労働衛生コンサルタント事務所)
乳がんとともに生きる人を理解する
青木 美保(帝京大学医学部附属病院 帝京がんセンター 認定遺伝カウンセラー)
キチンと手術・ホンネで再建(KSHS)~乳がんぶっちゃけ話~
溝口 綾子(一般社団法人KSHS 代表 )
遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)のいまとこれから
中村 清吾(昭和大学医学部 外科学講座乳腺外科学部門教授、 昭和大学病院ブレストセンター長)
イベント・セミナー情報
05月23日(火) 愛媛県
患者さん・一般の方向け
四国がんセンター がんと遺伝 遺伝性腫瘍セミナー「遺伝性腫瘍の考え方と特徴」
05月24日(水) 宮城県
患者さん・一般の方向け
平成29年度がんサロン「ゆい」交流会(講話)
05月24日(水) 千葉県
患者さん・一般の方向け
国立がん研究センター東病院 柏の葉料理教室 第195回 「口内炎・食道炎がある方の食事」
05月24日(水) 岐阜県
患者さん・一般の方向け
岐阜大学病院 第1回 がんセンター公開講座
05月24日(水) 愛媛県
患者さん・一般の方向け
四国がんセンター がんとからだ 放射線治療中のケア
トップページ 治療と乳房再建の基礎知識 乳がんと診断されたら 乳がんの治療について 乳房再建について 治療と仕事 医療費・制度 乳がん患者会 全国マップ ニュース・トピックス イベント・セミナー情報 オピニオン アンケート 調査・統計 このサイトについて お問い合わせ