2016年12月08日

【リンパ浮腫治療の現状 No.2】 複合的治療が2016年度から保険適用に

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 乳がん治療の後遺症のひとつであるリンパ浮腫。

 2012年には「リンパ浮腫療法士認定機構」、2016年2月には「日本リンパ浮腫治療学会」が発足し、治療を取り巻く環境も大きく変わりつつあります。「リンパ浮腫療法士認定機構」「日本リンパ浮腫治療学会」の理事長である重松宏先生に、リンパ浮腫治療の現状についてお話をうかがいました。


※前回の記事も是非ご覧ください
【リンパ浮腫治療の現状 No.1】 術後10年以上たってから発症することも

リンパ浮腫の複合的治療とは

 リンパ浮腫の治療には、リンパドレナージと圧迫療法、圧迫した状態での運動、スキンケアを組み合わせた「複合的治療」が推奨され、症状の悪化を防ぎ、改善を促すために広く行われてきました。血管外科や形成外科、リハビリテーション科、皮膚科、乳腺外科など様々な診療科が治療にかかわるだけではなく、治療を行う医療関係者も、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師など他職種にわたり、国内で統一された技術的な評価基準がない状況で行われています。

   こうした状況から、リンパ浮腫の治療の水準を上げるために、日本リンパ学会、日本脈管学会、日本血管外科学会、日本静脈学会、日本フットケア学会の5つの関連学会では2012年に「リンパ浮腫療法士認定機構」を設立し、必要な知識や技術水準を設定。複合的治療に携わる「リンパ浮腫療法士」を認定しています。

 「リンパ浮腫療法士」に認定されるには、国家資格を持つ医療従事者で、指定の研修を受けた後、試験に合格することが必要です。現在は900名ほどで、70%が看護師、15%があん摩マッサージ指圧師、10%が理学療法士です。この認定制度は厚生労働省が指定しているリンパ浮腫複合的治療に携わる人たちの資格要件と全く同じものです。さらに5年ごとの更新制度を設けて、実施症例の提出を義務づけているのですが、これもできるだけ高水準の治療を患者さんに届けるための取り組みです。

 2016年2月にはリンパ浮腫治療について、集約的に討議する学会として「日本リンパ浮腫治療学会」を設立、2016年9月24日には、第1回学術総会が行われました。今後、「リンパ浮腫療法士認定機構」の役割は学会の方へと移していく予定です。

保険適用は、第一歩

 複合的治療は、2016年度から健康保険の適用になりましたが、条件が厳しすぎて、満たすことのできる施設はごくわずか。また診療報酬点数が低すぎるため、完全に赤字となってしまうことから、自費診療で治療を行っているところがほとんどです。

 しかし、まずは第一歩ということで評価しています。日本リンパ浮腫治療学会の中にも保険適用に関する委員会も作りましたし、今後もより患者さんが治療を受けやすい環境を目指して活動していきます。

 最後に、複合的治療がリンパ浮腫治療の基本ですが、それ以外の治療法についてご紹介したいと思います。近年ではリンパ管-細静脈吻合術(LVA)が行われ、一定の成績を上げていますが、複合的治療を併用する必要があります。そして薬物を使ったリンパ管の新生療法。現在はまだ治験の段階ですが、肝細胞の増殖因子が含まれた注射薬によりリンパ管を新しく増やすというものです。根治が難しいといわれるリンパ浮腫ですが、治療は多様化してきています。

 第2回日本リンパ浮腫治療学術総会は2017年9月23日(土)、24日(日)に大阪国際会議場にて行われ、第10回リンパ浮腫療法士教育セミナー、市民公開講座も開催される予定です。


取材協力/重松宏先生
日本リンパ浮腫治療学会 理事長
リンパ浮腫療法士認定機構 理事長
山王メディカルセンター 血管外科統括部長
国際医療福祉大学臨床医学研究センター 教授
都庁前血管外科・循環器内科 理事長

■取材・文/瀬田尚子
出版社勤務を経て、フリーランスのライター・編集者に。医療・健康分野を中心に雑誌、書籍、WEBメディアなどで取材・執筆を行う。

(日本医療・健康情報研究所)

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