2016年12月06日

【リンパ浮腫治療の現状 No.1】 術後10年以上たってから発症することも

キーワード:ライフスタイル 治療
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  乳がん治療の後遺症のひとつであるリンパ浮腫。体中に張り巡らされているリンパ管が狭くなったり、詰まったりすることで、リンパ管の中を通るリンパ液が停滞し、皮膚の下にたまってむくむ状態をいいます。重症化するとむくみがひどくなるだけではなく、関節が動かしにくい、皮膚が硬くなるなどの変化が現れます。

  乳がん経験者に、ぜひ知っておいてもらいたい、リンパ浮腫の知識と治療の現状ついて、2016年2月に設立された「日本リンパ浮腫治療学会」の理事長、重松宏先生にお話をうかがいました。


少しでも気になる症状があったら、すぐに相談を

 乳がんに限らず、子宮がん、卵巣がん、前立腺がんなどの治療において、リンパ節を切除する、または放射線療法を行った場合、リンパ管が障害を受けて、リンパ浮腫を発症する可能性があります。現在、その患者数は10万人以上と推定されています。

 発症時期には個人差があり、治療後1〜2ヶ月の人もいれば、10年、15年、20年たってから発症する人がいます。

 もし乳がんの治療として、リンパ節の切除(リンパ節郭清、センチネルリンパ節生検)や放射線療法を受けた人は、ずいぶん時間が経っていたとしてもリンパ浮腫になりうるということを覚えておいてください。

 もう1つ知っていてほしいのは、リンパ浮腫は一度発症してしまうと根治が非常に難しいということです。しかし、完治はできなくても管理をすることはできます。まずは早い段階で気がついて、専門医やリンパ浮腫療法士に相談することが大切です。

 左右を比べて差が出てきたり、むくんできたり、少しでも気になることがあったら、症状の悪化を防ぎ、症状を改善するために、できるだけ早く診断を受け、リンパ浮腫療法士などの指導のもと、リンパ浮腫のセルフケアを始めたほうがいいでしょう。

リンパ浮腫の治療ができる病院は?

 現在、がん診療連携拠点病院でもリンパ浮腫への指導を行うようになってきたのですが、リンパ浮腫療法士認定機構の調査では、がん診療連携拠点病院のうち、リンパ浮腫の専門外来を設けているのは100施設くらい。

 まだ全体の4分の1にすぎません。リンパ浮腫に対応してくれる病院が少ないため、患者さんがどこにいっていいのかわからず困ってしまうという「リンパ浮腫難民」といわれるような状況が起こっています。

 現在、リンパ浮腫の相談、治療の窓口となる病院は以下の通りです。参考にしてください。

1. リンパ浮腫外来のある病院
「がん情報サービス」のWEBサイト から検索可能 

2. 一般的な血管外科の専門医

3. 脈管専門医
「日本脈管学会」のWEBサイト から、認定されている約1000名の脈管専門医の名前と施設名が検索可能

4. リンパ浮腫療法士が在籍する施設
「リンパ浮腫療法士認定機構」のWEBサイト から検索可能 

 4のリンパ浮腫療法士とは、医療従事者としてリンパ浮腫の診療に従事するのに必要な専門知識と高度な技術を持ち、「リンパ浮腫療法士認定機構」の認定を受けたスペシャリストのことです。続いてはリンパ浮腫療法士と複合的治療について、中心に取り上げます。

≫【リンパ浮腫治療の現状 No.2】複合的治療が2016年度から保険適用に(近日、公開予定) に続く


取材協力/重松宏先生
日本リンパ浮腫治療学会 理事長
リンパ浮腫療法士認定機構 理事長
山王メディカルセンター 血管外科統括部長
国際医療福祉大学臨床医学研究センター 教授
都庁前血管外科・循環器内科 理事長

■取材・文/瀬田尚子
出版社勤務を経て、フリーランスのライター・編集者に。医療・健康分野を中心に雑誌、書籍、WEBメディアなどで取材・執筆を行う。

(日本医療・健康情報研究所)

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