2016年12月03日

乳がん化学療法の費用、治療レジメンで大きな差――米調査

キーワード:治療
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 米国では乳がん化学療法にかかる費用は、医師が選択する治療レジメンによって数万ドルの差が出ることがわかった。治療効果が同程度とされるレジメン間でも最大2万ドル(約208万円)の差が生じており、治療法によって患者の負担額も大きく変わるという。

※(抗がん剤)治療レジメンとは、がん治療において、投与する薬剤の種類や量・期間・手順などを時系列で示した計画書

 「乳がん患者の経済的負担はいまだに大きい」と、研究を主導した米テキサス大学MDアンダーソンがんセンター教授のSharon Giordano氏は述べている。とくに年間自己負担額が高い保険(high-deductible health plan)に加入している人の負担が大きく、自己負担額の中央値は約5,000ドル(約52万円)で、患者の10%は約1万1,000ドル(約115万円)以上を負担しているという。

 同氏らは、治療効果が同等でも費用が安い化学療法レジメンを用いれば、米国の医療費は年間10億ドル(約1040億円)削減できると試算している。たとえば、TACと呼ばれるドセタキセル、ドキソルビシン、シクロホスファミドの3薬を併用したレジメンを、ドセタキセルを除く2薬のレジメンに切り替えると1万5,000ドル(約156万円)削減できるとしている。この2つのレジメンはどちらが優るとのエビデンスはないという。「治療効果が同等であれば、治療選択の際には費用も考慮に入れるべきだ」と、同氏は述べている。

 米国臨床腫瘍学会(ASCO)がん治療評価作業部会は、各がん治療のベネフィット、毒性、費用に関する情報を医師に提供している。治療費を患者に伝える医師は少数だが、がん患者の負担額が大きい現状から、情報を提供するケースはだんだんと増えていると、作業部会長を務める米ベス・イスラエル・ディコネス医療センターのLowell Schnipper氏は述べている。

 Giordano氏の患者のなかには、保険加入しているが、化学療法から5年を経た今も治療のための借金を抱えている患者がいる。「自分が選んだ治療法が患者の人生に与えた影響にショックを受けた」と、同氏は述べている。

 この研究では、2008~2012年に乳がんと診断された1万5,000人近くの米国女性について、診断から18カ月間の化学療法の費用を、おもに民間保険会社の請求から分析した。診断時の年齢、診断された年、地域、保険プランのタイプなど多くの差を調整し、2013年の物価に換算した。

 その結果、治療にトラスツマブ(商品名:ハーセプチン)を含まない場合には、保険会社の支払い額の中央値は8万2,260ドル(約855万円)だったのに対し、トラスツマブを加えると支払い額は16万590ドル(約1670万円)に跳ね上がった。トラスツマブは一部の悪性乳がん治療に用いられ、同氏によると「命を救う治療」だという。また、トラスツマブを含まない治療レジメンでも費用に最大2万ドル(約208万円)の差がみられたという。

 患者の負担額は、トラスツマブの有無により、平均で2,700(約28万円)~3,400ドル(約35万4,000円)と幅があった。トラスツマブを治療に含まない患者の10人に1人が約7,000ドル(約72万8,000円)、トラスツマブを使用した患者の10人に1人は約8,000ドル(約83万2,000円)支払っていた。

 著者らは、この研究は民間保険に加入している若い患者集団を対象としている点に限界があるとしつつも、「保険に加入していない患者は、きわめて高い医療費の問題に直面することになる」と述べている。

 この知見は、「Cancer」10月10日号に掲載された。

記事原文 [HealthDay News 2016年10月10日]

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