2016年11月18日

患者力を高めるために 身につけたい「診察室でのコミュニケーション能力」

キーワード:ライフスタイル 治療
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 2016年11月6日、東京都港区にてがん患者さんと家族を対象にしたセミナー「診察室でのコミュニケーション入門講座」〜乳がん患者・家族のための"伝える工夫"と"伝わるコツ"〜(主催:ノバルティスファーマ株式会社、協力:キャンサーソリューションズ株式会社、日経ヘルス)が開催されました。

 納得が行く治療やケアを受けるためには、医者任せ、病院任せにするのではなく、患者の側からも上手な働きかけが必要だと言われています。最近では「患者力」という言葉もよく耳にしますが、ドクターをはじめとする医療従事者とのコミュニケーションが大事な「患者力」であることは間違いないはずです。

 とはいえ「先生の言っていることがよくわからない」「先生にこんなことを尋ねるのは失礼なのでは」など、うまくコミュニケーションがとれずに悩む患者さんやご家族は少なくありません。そうした声に応え、「診察室のコミュニケーション」をテーマにしたのが今回のセミナーです。


虎ノ門病院臨床腫瘍科部長の高野利実先生

どんなに忙しい先生も、質問が3つなら答えてくれる


がん・感染症センター都立駒込病院緩和ケア科
    心理療法士の栗原幸江先生

 セミナーの前半では、虎ノ門病院臨床腫瘍科部長の高野利実先生、がん・感染症センター都立駒込病院緩和ケア科の心理療法士である栗原幸江先生、乳がん経験者でソーシャルワーカーの桜井なおみ氏の講演がありました。

 高野先生の講演は「希望を持って、がんと向き合うHBMのすすめ」。HBMとは、Human-Based Medicineのことで「一人ひとりの、その人なりの幸せ」を意味します。「誤ったイメージで治療自体が目的になってしまっている。治療は人生のすべてではなく一部。世の中にあふれかえる情報に飲みこまれることなく、信頼できる根拠のある情報を知ることが大切」とのお話でした。

 続いて「いのちに向き合うための私たちのケア」と題された栗原先生の講演では、「自分の力を取り戻すための5つの覚書」が紹介されました。「つらいときには我慢しすぎない」から始まる覚書は、がん闘病の長い道のりを支えてくれると感じました。


乳がん経験者でソーシャルワーカーの桜井なおみ氏

 桜井氏の講演は「患者としてできる工夫」〜コミュニケーションのイ・ロ・ハ〜。診察室でのコミュニケーションで「伝わるコツ」として教えてくれたのが、聞きたいことを3つにまとめるということです。「最初に『3つ質問があります』と言ってから話し始めれば、どんなに忙しい先生も答えてくれますよ」と桜井さん。また口下手なお友達が、聞いたいことをメモにして渡していたというお話もとても参考になりました。

患者さんと同じように医者も緊張。同じ人間だと思って


パネルディスカッションの様子

 後半は、モデレーターに日経ヘルスプロデューサー・西澤邦浩氏を迎え、「もう一歩近づくためのヒント」というテーマでパネルディスカッションが行われました。

 「3ヶ月に1度の外来で、いつも聞きたいことがたくさんあって困る」という患者さんの声に対して、桜井さんからは「先生にたずねる質問と、相談支援センターにする質問を分けるといい」、栗原先生からは「看護師さんに味方になってもらうのも一案です」とアドバイスがありました。

 ほかに「本当は痛みがあるのを伝えたいのに、『体調はどうですか?』と聞かれると、ついつい『大丈夫です』と答えてしまう」「今の治療を続けたいけれど、主治医からは別の提案が......」「家族の付き添いは必要か?」といった様々な悩みに対して、ディスカッションが行われました。

 今回のセミナーのまとめとして、高野先生からは「実は医者も緊張しているんです。相手も同じような人間なんだと思ってください。例えば『靴がステキですね』とか、治療とは関係のないちょっとした一言でコミュニケーションが進むものです。ぜひ今回得たコツを活かしてみてください。すべての医療は患者さんみなさんのためのものです」とメッセージが。

 まさに明日から診察室で使えるヒントが詰まったセミナーでした。

■取材・文/瀬田尚子
出版社勤務を経て、フリーランスのライター・編集者に。医療・健康分野を中心に雑誌、書籍、WEBメディアなどで取材・執筆を行う。

(日本医療・健康情報研究所)

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