2016年11月08日

傷跡を自然にする「医療補助タトゥー」で患者満足度が向上

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 がん手術でひどい傷跡が残ってしまった患者でも、医療補助(パラメディカル)タトゥーで傷跡を隠し自然な外観に近づけることで、患者の満足度が向上する可能性が、オランダの研究者により報告された。

 頭頸部の外科手術後に、傷跡に医療補助タトゥーを施した患者56人を対象に調査したところ、患者の多くが施術後に外観への満足度が向上したという。

 研究共著者の1人、マーストリヒト大学(オランダ)耳鼻咽喉・頭頸部外科のRick van de Langenberg氏は、「これまで医療補助タトゥに対する患者の評価は明らかにされていなかったが、今回の研究で、患者は施術後に傷跡の外観による心理的なストレスが減り、悩みも減ることがわかった」と述べている。

 米国顔面形成外科学会(AAFPRS)の次期会長であるFred Fedok氏によると、医療補助タトゥーは、米国では既に数十年にわたって行われており、「この技術は、皮膚に色素を入れて傷跡を自然にみせることのできる部位であれば、どこにでも用いられている。気になる部位の色が薄すぎれば濃くするなど、多くの場合は、皮膚の正常な色素に真似るように色をつける」と、同氏は述べている。

 また、皮膚科専門医のJessie Cheung氏(米イリノイ州ウィローブルック)は、医療補助タトゥーは乳がん手術後の女性患者で最もよく行われており、乳房全摘後や乳房再建術の際に、乳輪周辺の皮膚の色に対する違和感を改善できるとしている。

 今回の研究では、頭頸部腫瘍への外科手術を受けた患者に着目し、2007~2015年にアムステルダムの病院で医療補助タトゥーの施術を受けた56人の患者を対象に調査を行った。患者の平均年齢は56.6歳で、75%が女性だった。

 施術例のなかには、手術により色が失われた下唇に赤色をつけたケースや、頸部に残った長い傷跡の赤みを隠すためにタトゥーを施したケースなどがみられた。

 対象患者に、施術前後の外観に対する満足度を0~10点で評価してもらったところ、平均スコアは施術前の3.8から施術後には7.8まで向上した。Langenberg氏によると、施術後には患者の全般的な満足度やQOLも向上したという。

 医療補助タトゥの適応となる患者について、Cheung氏は、皮膚に炎症がない限りはどのような変色も施術の対象になると説明している。費用については、再建術の一部である場合には保険適用になるという。一時的な赤みや痂皮(かひ)の形成、感染症などの副作用が考えられるが、「こうした合併症を回避するための傷跡のケアについて、患者は説明を受けるはずだ」と同氏は述べている。

 一方で、AAFPRSのFedok氏によると、ほとんどの患者は医療補助タトゥーの存在を知らず、皮膚科医や形成外科医もその多くはタトゥー施術の知識をもちあわせていないという。タトゥー施術には、特別な訓練と経験が必要とされるが、同氏の場合は、傷跡や乳頭再建の経験豊富なタトゥー施術師と協力していると述べている。

 皮膚科医のTerry Cronin氏(フロリダ州メルボルン)も、「皮膚科医や形成外科医の多くは、パーマネントメイクアップやパラメディカルタトゥを専門とする美容アーティストと連携している」と述べている。

 この研究は、「JAMA Facial Plastic Surgery」オンライン版に9月22日掲載された。

記事原文 [HealthDay News 2016年9月23日]

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