2016年08月15日

適度な運動が乳がん患者の「ケモブレイン」を改善する

キーワード:治療
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 乳がん生存者にしばしばもたらされる慢性的な記憶障害や注意力の低下の一部は、過度なストレス負荷によって引き起こされており、適度な運動を行うことでこうした障害を軽減できる可能性が、新しい研究で示された、

 「今回の知見から、中強度から激しい運動を行うと精神面にベネフィットをもたらし、記憶障害の低減にもつながることがわかった」と、研究を主導した米ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部助教授のSiobhan Phillips氏は述べている。

 がん患者に生じる記憶障害や思考力の低下は「ケモブレイン」と呼ばれ、おもに化学療法や放射線療法後にもたらされるものと考えられているが、「今回の知見から、これらの障害の一部は精神的なものに起因する可能性が示唆された」と、同氏らは指摘している。

 同氏らは、「乳がん生存者は恐れやストレス、倦怠感をつねに抱いており、情緒面が不安定で、自信を喪失している場合も多い。こうした状態が長く続くと精神的な重荷となり、その結果、記憶障害と思われる状態になりやすくなる」と説明している。

 今回の研究では、乳がん治療後の生存者1,400人強を対象に、研究開始時点と6カ月後における運動量や自己効力感、抑うつや再発への懸念といった精神的苦痛の程度、疲労感に関する自己申告による調査を行った。さらに、ランダムに抽出した362人の女性には加速度計を装着してもらい、運動量を追跡した。

 その結果、対象者全体と加速度計で運動量を計測したサブグループではいずれも、早歩きや自転車走行、ジョギング、運動教室への参加といった中強度から激しい運動による身体活動量の増加に伴い、自己効力感が高まり、ストレスや倦怠感が軽減することがわかった。同氏らによると、こうした精神的なベネフィットは記憶力の向上にもつながっているという。

 この研究は、直接的な因果関係を証明するものではないが、運動量の増加に伴って女性は自信を回復し、精神的苦痛の程度も軽減しており、これらの改善が記憶障害の軽減にも関連している可能性が示された。

 なお、この知見は「Psycho-Oncology」7月8日オンライン版に掲載された。

記事原文 [HealthDay News 2016年7月8日]

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